【イベントレポート】「ダイバーシティと人づくりの今」~ダイバーシティ・トークイベント2014

5月29日、丹青社でNPO法人ユニバーサルイベント協会主催の「ダイバーシティ・トークイベント2014」が開催され、ディスプレイ、イベント業に加え、製造業などさまざまな業種から60名が参加した。

同イベントは、組織内の人材やコミュニケーションのあり方の多様化が進む昨今、いかにタイバーシティ(多様化)に向き合うかを共に考えようと企画されたもの。

トーク1では、京王プラザホテル・櫨山博文氏(人事部副部長兼人材開発支配人)が「社員の体験的な学びの場“バーズアイ”~京王プラザホテルの人材育成の取り組み」と題し、具体的な取組み事例を紹介。1988年にリハビリテーション世界会議の会場となったことを契機に、施設ハード面での整備を進め、ユニバーサルルームや補助犬用トイレの設置など設備を推進していること、またソフト面では社内横断的プロジェクトとして活動するエコロジー&バリアフリープロジェクト“バーズアイ”について、その使命や特徴を解説した。
櫨山氏は「京王プラザホテルの考えるCSRは、環境にやさしいエコロジー、人にやさしいバリアフリー、社会にやさしい社会貢献活動であり、本業の事業活動と一体化した社会貢献であること、また社内横断的推進組織の設置という2つの特徴をもっている。
一方で従業員満足(ES:Employee Satisfaction)はホテルの土台づくり。従業員満足が高いと、良いサービスを受けたお客さまは笑顔で再来店してくれ顧客満足は高くなり、会社にとっても利益・業績向上につながる。
ESに取り組むことで、CS、業績向上と循環するサービスプロフィットチェーンを実現できるのです」と説明した。

 
トーク2では、NPOユニバーサルイベント協会・内山早苗氏(理事長)が「東京オリンピック・パラリンピックに向けたユニバーサルイベント推進の必要性について~最新動向とユニバーサルイベント協会の取り組み」と題し講演した。

内山氏は冒頭に、2014年1月20日に障害者権利条約の批准書を提出し日本が140番目の締約国となったこと、また2015年度の発足を目指すスポーツ庁設置や2013年4月から施行されている改定高年齢者雇用安定法など、近年動きのある法令や行政の体制を紹介。社会の変容と共に同質から多様性へとシフトしている昨今ではイベントも同様との考えを示し、多様な人々が活発に社会参加するための支援を提供することが重要で、その機会を企業が提供することが必要だとした。
そのうえで、自身の活動しているユニバーサルイベントについて、その定義を「来場者の普遍性への対応構造をもったイベント」と説明し、イベントに来場・参加を希望するすべての人々が、性別・年齢・国籍・使用言語等の違いにかかわらず、高齢者も障がいのある人も、みんなと一緒に、快適に来場でき、豊かで充実したイベント体験が享受できる会場構造と施設機能、運営体制をもったイベントだと解説。ユニバーサルイベントへの対応には、頭で考えるだけでなく、実際に様々な特性のある人との交流が重要とし、自身のNPO法人で開催しているペタンクなどのユニバーサルスポーツ体験会や交流イベントを紹介した。
そのほか、内山氏はツールを活用したユニバーサル対応についても実際にデモをしながら導入を推進した。紹介したツールは、アプリで提供している「UDトーク」や遠隔手話システムを活用した「UD会議」、放送とデジタルデバイスのシームレス化による新しいコミュニケーションモデルで多言語観光案内サービスにも採用された「サウンドコード」など。
内山氏は「2020年オリンピック・パラリンピックでは、交通機関やホテルなどのインフラだけでなく、ボランティアスタッフの資質も問われる。多様な特性の方々に十分堪能していただけるユニバーサルなおもてなしをみんなで楽しんで提供したいですね」とメッセージを贈った。

「ダイバーシティ・トークイベント2014」の最後には、NPOユニバーサルイベント協会が主催し、東京八丈島八丈町、(株)UDジャパン、(株)丹青社が共催する「ユニバーサルキャンプin八丈島」について、(株)丹青社の工藤鉄也氏が解説した。
「ユニバーサルキャンプin八丈島」は、多様な参加者との交流・共同体験を通して、多様な人材の力を引き出すリーダーシップのあり方を学ぶ、2泊3日のキャンプイベント。ユニバーサルキャンプの場を活用した研修プログラムとして企業・団体向けに提供しているもの。対象は経営者や管理職・幹部社員や、プロジェクトリーダー、次世代リーダーなど。10周年目となる今年は、9月13日(土)~15日(月・祝)の日程で開催をする。9月3日(水)都内での日帰り研修「ダイバーシティ・リーダーシップ研修」を単独で受講することもできる。
問合せ・申込みは、http://u-event.jp/site/uc2014.htmlまで。