「マヨテラス」の設計思想を明らかに ~キューピー・乃村工藝社~ 

6月末に開業し、多くの子供たちの人気を集めるキューピーの見学施設(オープンキッチン)マヨテラスで、8月25日、プレスツアーが実施された。施設見学とともに基本設計から施工まで2年半にわたるプロジェクトについて、設計・デザイン・施工を手掛けた乃村工藝社の担当デザイナーらが語った。

マヨテラスは1951年に建造されたキューピーの仙川工場を見学用施設に建て替えたもの。マヨネーズにまつわるさまざまな情報やトピックを体感しながら楽しく学べる施設。

マヨネーズのおいしさの秘密や工夫を展示する「マヨドーム」、マヨネーズとキューピーの歴史がわかる「キューピーギャラリー」、野菜型ソファや卵を思わせるランプなどの「サラダホール」、工場の生産工程をたどる「ファクトリーロード」、野菜やマヨネーズおいしさを試食する「キューピーキッチン」の5つのゾーンで構成されている。

乃村工藝社のプランナー斉藤雄一氏とデザイナー鈴木志乃氏は、来場する子どもたちに楽しんでもらいたいという想いを具現化するための5つのポイントを説明した。

1)主役はコミュニケーター
パネルや映像ではなくコミュニケーターと呼ばれる社員が見学者を案内することで、会社のバックグラウンドをもった話を伝えられる。客に合わせて複数のシナリオを用意したり、トリビアを数多く用意することで、何度来て観異なる体験ができる工夫がなされている。

2)マヨネーズをシンボルに
マヨネーズの容器を50万倍にした木枠のドーム設置。このデザインはデザイン会議中に青図の上にマヨネーズをボトっと置いたことから採用された。その後さまざまな素材構造のものを検討、実物大のものを制作し現場で田益など検討に多いに時間をかけた。ドームの入り口のマヨネーズキャップもこだわった。実物のマヨネーズキャップの形状では、突起が鋭角すぎて、出入りに支障があることからRをつけるがリアリティを出すためにいくつものパターンを制作して、イメージに合うものを選んだ。

3)デザインはつかみがカンジン
キューピーのクリエイティブは3D空間デザインが少なく、一からつくるものが多かった。目指したのは楽しさをふやすデザイン。ファクトリーには工場と同じエアシャワー、野菜ホールには野菜型ソファ、というように各セクションの入り口に驚きを配置した。

4)あそびゴコロにこだわる
いろいろなところにキュピー人形をこっそり配置するほか、照明がマヨネーズ型など受付がココット型などマヨネーズに関わるさまざまなデザインが隠されている。

 

 

5)お客様への想いを伝える
品質に対するこだわり工夫を、説教くさくならないように、1コマ漫画のメッセージにして館内のあらゆる場所にさりげなく配置した。

キューピーと乃村工藝社のアイデアを出し合った成果であるマヨテラスは、子供たちに楽しい体験を提供する施設として人気を集めており、2か月先まで予約が埋まっているという。

新たなユニークべニューとしての可能性も見えてきそうだ。

◆マヨテラス施設概要
調布市仙川町2-5-7
キューピー(株)社屋 仙川キューポート内
京王線仙川駅より徒歩7分

予約や詳細については同施設のウェブサイトまでhttp://www.kewpie.co.jp/mayoterrace/reservation/index.html