商工会議所「観光連絡担当」キックオフミーティングを開催~全国から140名が集結

日本商工会議所(三村明夫会頭、以下日商)は12月16日、全国町村議員会館で「商工会議所『観光連絡担当』キックオフミーティング」を開催した。

日商では、地域を越えたさまざまな商工会議所間の連携を促進するための仕組みづくりとして、「商工会議所観光ネットワーク(CCI観光NET)」の構築に取り組んでおり、その一環として、9月に全国514すべての商工会議所に「観光連絡担当」を設置している。

今回のキックオフは、各商工会議所の「観光連絡担当」らが集まり、CCI観光NETの目的や観光連絡担当の役割についての理解を深め、観光を通じたまちづくり、地域経済活性化について検討するために行なわれたもの。全国の商工会議所から約140名が集結した。

■「観光振興における商工会議所の役割と取り組みについて」
(日本商工会議所 観光委員会共同委員長 須田 寛氏)

基調講演には、「観光振興における商工会議所の役割と取り組みについて」をテーマに日本商工会議所観光委員会共同委員長の須田寛氏が登壇した。須田氏は、今回全商工会議所に設置した「観光連絡担当」について、「地域経済を活性化し、全国的な経済活性化と歩調を合わせ、中小企業が大きな支援を受けられるようにしていきたい」と趣旨を語るとともに、今後、人口減少傾向にある日本は、観光立国(観光立地域)により交流人口を増加することが必要であり、そのためには、地域社会を再活性化させるとともに、観光関連産業を発展させ地域経済を再活性化させることが重要である。全地域・全国で推進していくことで新しいまちづくり・くにづくりをすることが商工会議所の使命だとした。

こうした取り組みを推進するため、「観光連絡担当」を設置し、県内だけでなく、広域的、横断的なネットワークを構築し、テーマごとの部会やチームなど場をつくることで、情報を共有して各地域の特色をつくることを目指す。

須田氏は今後、数ブロックに分け、県単位で年に1、2回はミーティングを開催したいと語り、「新しいまちづくり・くにづくりにつなげ、新しい需要をつくりたい。ネットワークさえできれば循環していく。民間団体でありながら、特殊法人でもあるという特徴と官民の橋渡し的な機能をもつのが商工会議所。担当者は観光コーディネーターの役割を果たし、地域の中核になっていいただきたい。期待している」と結んだ。

*須田寛氏の「寛」の正しい表記は、「寛」に「、(点)」が入る

 

■「商工会議所観光ネットワーク(CCI観光NET)」の構築に向けて
(日本商工会議所 流通・地域振興部 課長 谷脇 茂樹氏)

また、日商は参加者に商工会議所観光ネットワーク(CCI観光NET)」について解説した。日商では、今後3年間の行動指針として「観光アピール」を決議。観光振興への取組みの重点として、1.産業観光、街道観光など「見る」「学ぶ」「体験する」が一体となった付加価値の高い観光の展開・充実、2.地域間連携、官民連携等による広域観光の展開、3.3地点間での広域連携観光「観光トライアングル」の形成促進を挙げ、その推進体制として514商工会議所の連携による「CCI観光NET」を構築。また、観光連絡担当の設置と、日商観光(専門)委員会―各地商工会議所観光委員会等―各地商工会議所観光担当のネットワーク構築について整備することを掲げている。

CCI観光NETでは、観光連絡担当を通じた全国商工会議所への情報提供・共有と観光連絡担当間の情報交換の促進を当面の事業展開として推進する。そのほか、谷脇氏は、ネットワークを活用した具体的な取り組み事例として、近隣地域間の情報交換・共有の場を創出した事例として、新幹線開業に向け民間交流会議を開催した11商工会議所の事例や、共同でイベントを実施した事例、広域観光ルートの策定、多地域連携による新たな経済・文化活動の創出など、近年動きのあった事例を紹介した。

 

 

■経済活動を促す観光振興の取り組みについて
(東洋大学 国際地域学部 准教授 矢ケ崎 紀子氏)

「経済活動を促す観光振興の取り組みについて」と題し、東洋大学国際地域学部の矢ケ崎紀子准教授が登壇した。矢ケ崎氏は、「観光振興を経済活動に帰結するためにはある程度の戦略が必要」だとし、主に、経済的な観点からの観光の力、いまいちばん勢いがあるインバウンド観光について、またインバウンドではMICEを切り口にした内容で、旅行者の人数でなく消費額でみるための基本的な情報や、国際比較、また、地域が陥りやすい誤謬など、ヒントになるような切り口を参加者に伝えた。

最後に、矢ケ崎氏は「観光振興は、域外からの需要を呼び込み、それを活用して地域経済が元気になる手法。商工会議所の皆さんは、商売がわかる、地域経済がわかるプロとしてリーダーシップをとって取り組んでいただきたい」とした。

 

その後、パネルディスカッションとして下諏訪商工会議所、佐原商工会議所、北九州商工会議所による観光振興への取り組みに関する課題と対応策について事例が発表された。