【特別座談会】展示会の人材不足について考える ~現状と2020年以降_#4

戸村 またコスト面、環境要求もあり、展示会業界はパッケージ化・省力化が進んでいる面もあると思います。そのことにより、例えばですが、配線作業が比較的簡易になってきています。木工ブースが多かった時代は、熟練した配線作業員が必要でしたが、ここ数年は難易度が下がってきていると感じます。ですから一元的な問題ではなく、増床したからすぐブースも増えて、人が必要になるかというと、必ずしもそうは繋がらないところがあるなとも考えています。

山野井 おそらく警備業は展示会業界内のほかの業種と違い、全く別の動き方をしていくと思います。まずは2020年の東京オリンピック・パラリンピックの警備に向けて、わずかでも人材を確保しながら、オリンピックを乗り切る。そして、その人員が残ってくれれば、2021年以降の業界の厳しさは承知していますが、そこで集まった人材が働き続けてくれる可能性もあるので、十分に期待しています。

警備業は1964年の東京オリンピックの際の選手村警備業務によって、業務の内容が世の中に広く認知されるきっかけとなりました。警備業の教本には必ず最初のページに記されているほど、オリンピックという一大イベントは私たちの業界にとって、踏切板のような存在です。今回の東京オリ・パラも業界として、警備という仕事をより深い周知に繋げることができれば、この先の採用の糧になると実感しています。
悲観的になってばかりでは仕方ありませんので、これをチャンスとみなし、人を守る仕事の良さを伝え、悪いイメージを払拭していけるといいですね。

福原 施工や運営においては、とにかく人がいないと仕事にならない分野であり、「人をとにかく集める」という方法はもはや現実的ではありません。景気が悪くなれば人は集まりますが、その分展示会の本数は減っていきます。このようなバランスの中で、展示会が好調であれば当然、人材面ではなかなか厳しい時代が続いていくでしょう。

以上のような状況下、21年以降の増床は間違いないとして、展示会の本数や会議の組み方など、隙間なく続いていくような状況が起こる、つまりは時間に追われて施工や運営が繰り返される状況を改善できるかどうかがポイントです。その意味では主催者の動向が私にとっては気になるところです。

 

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※「見本市展示会通信」776号より抜粋(2018年4月15日発行)

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