イベントにおけるリスクマネジメント考~前編~

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イベントを安全に運営するためには、イベントにおけるリスクを想定し、対策を整え、万全の体制で当日を迎えたい。しかし何がイベントのリスクかを考えること、そのこと自体が実は難しい。例えば、有志を募って開催するようなイベントは素人が運営することになり、知識や経験がないから、どのようなリスクが待ち構えているかを想定できない。リスクのチェックリストもつくれない。これが素人とプロフェッショナルとの歴然とした差ではなかろうか。そこで、イベントを成功に導くためのリスクマネジメントについて大山利栄・東京富士大学准教授に聞いた。(EventBiz vol.12 特集「安心・安全なイベントづくり」より)

リスクとは何か
リスクを考えてみると、リスクの意味そのものが多種多様である。
安全分野で1999年に制定されたISOの定義では、リスク関連用語をリスク、危害、危険事象、危険状態、ハザードとしているように、リスクとは危険あるいは事故、不確実性といった事故発生の可能性を指していた。しかし、現代では全国各地で増加しているマラソン大会のように、交通対策、雑踏事故対策、異常気象対策、運営資金の確保、参加者や関係者の宿の確保など多々あり、経営活動の結果の不確実性もリスクであるという。

さらにイベントの場合、企画段階、制作段階、本番時と時間軸によってそのリスクの大きさが変化してしまう。例えば企画段階で1万人の来場者を予想して警備員を多数配置したところ、本番時は1,000人しか来場しなければ、来場者誘導のリスクは著しく下がる。

大山利栄准教授

大山氏は「私はリスクを危険と不測可能性として捉えていますが、イベントは内容も形態も同じようで違いますから言葉の定義は難しいと考えます。式典のような形式的なイベントと初開催のイベントを比較した場合、明らかに初開催のイベントはリスクだらけと言えるでしょう。例えるならば、穴ぼこだらけの道を踏み外さないように、どのように前に進むか。その穴ぼこを埋めながら道を確かなものにできれば事故は起きないはずですが、イベントの現場の現状はというと、皆さん経験値で乗り切っているのではないでしょうか」と施工現場での経験談とともに、現場でのリスク管理のあり方を憂慮する。
古い常識はどんどん新しく刷新されるように、イベントの現場では新たなリスクが常に生まれる。だからこそ、このリスクとどのように付き合うか、その対応が必要であろう。