映像機器のオペレーターが一堂に ~JVR協会業務担当責任者会議~

日本映像機材レンタル協会(JVR協会)は7月25日、東京都江東区のホテルイースト21東京で「平成26年度JVR協会業務担当責任者会議」を開催。本会議に正会員32社・メーカー会員18社から92人、懇親会には220人が出席した。

業務担当責任者会議は、同協会に属する全国のレンタル企業から、イベントなどの現場で映像機器を設置・操作する実務者が集まり、事例の紹介や最新機器の情報など、情報交換やコミュニケーションの場として毎年1回開催されているもの。

本会議の開催に先立ち大村会長が挨拶。「プロジェクションマッピングの流行により、イベントの裏方の重要さが世間にも認知されつつあり、若者たちにこの仕事の魅力をアピールをしたい」と業界発展によせる自身の想いを語り、「世の中を素敵に、みんなを元気にする業界の発展のため、この会議を通じて多くのことを実務者のみなさんには吸収してほしい」と参加者に同会議の有効活用を呼びかけた。

セミナーでは、パナソニックシステムネットワークス(株)の菊地雅也氏が「サイネージにおける4K映像の活用について」と題して講演を行なった。

5年前にも登壇しその際にハイビジョンについて解説している菊地氏は、4Kの将来性について、「地上波放送の制限などがあり、ハイビジョン導入時のように絶対とは言い切れないが」と前提しつつも、「東京五輪にむけて普及が進む可能性が高い」という見解を明らかにした。

また、4Kのおさらいとして、2160×3840ピクセルのTVに近いUHTVと2160×4096映画用のDCIと2種類あることや、インターレース形式からプログレッシブ化することで、ハイビジョン映像の8倍のデータ容量が必要となること、4Kの規格BT2020にあるすべての色域の対応などが必須条件ではないことなどを説明。そのほか4Kカメラ、レンズ、データ形式など、過渡期にある4Kの現状について説明した。導入の手順として、表示・撮影機器すべてを4K仕様に移行することが必須ではなく、ハイビジョン映像データを複数組み合わせたり、マルチパネルによる4Kの再現など既存機器の活用や、トリミングを活かした9:16以外のフォーマットの使用などを提案。4Kを道具としてビジネスチャンスを拡げるためのアイデアを示した。

また、(株)シーマの石丸隆常務取締役がラスベガスで開催されたInfocommの視察ツアーについて報告した。

Infocommは毎年ラスベガスで開催される世界有数のAV機器の展示会。JVR協会では毎年視察ツアーを実施し、今年は過去最大の49人が参加した。

石丸氏はバルコ、NEC、シャープ、エルモ、ソニー、プリズム、デジタルプロジェクション、ティービーワン、スチュワート、ドレーパー、エリートスクリーン、ナビタ、ヴォルフビジョン、ローランド、パナソニック、クーラックス、クリスティ、サムスン、LG、エプソンといった国内外の注目メーカーの最新製品や展示のようすなどレポート。

プロジェクターの分野では、各社4K対応製品を展示し、20Kから35Kの明るいものが主流で、方式はDCI4KとUHD4Kが中心という傾向を説明。また超小型単焦点プロジェクターやマルチブレンディングによる8Kソリューションなど、プロジェクターの使い方が次世代に突入したという自身の印象も語った。

モニターは、80~105インチの大型4Kが主流で、堅牢性の高い業務用からホームユースとさまざまな設計思想の製品があることを語った。高精細表示による実物との並列展示や、体験型サイネージなどポテンシャルの高さを実感したという。

LEDでは、信頼と実績のあるメーカー以外が淘汰され出展者数が減少。その反面、品質面が高くなっており、とくに熱処理技術が飛躍的に向上し、表示が安定した製品が多かったと話した。

そのほかにも多くの新製品が展示されていたことから、業務担当者にとって同展視察の重要性をあらためて強調した。

ホームページ委員会の菊地利之HP委員長は、先日展示会とMICEウェブサイトにも掲載した札幌での座談会のようすなどを報告した。

正会員による各社近況報告では、企業概要のほか最新事例の紹介や新たなに導入した機材を報告するなどし、機材の貸借りをはじめレンタル企業の横の連携を深める情報交換を行なった。
 

別室では会員によるカタログ展示が実施され、正会員の映像センター、銀座サクラヤ、光和、シーマ、ヒビノのほか、アストロデザイン、アルモア、エクストロンエレクトロニクスジャパン、NECディスプレイソリューションズ、エプソン販売、クリスティ・デジタル・システムズ日本支社、シャープ、ソニービジネスソリューション、テクノハウス、デュープレックス、パナソニックシステムネットワークス、バルコ、ラテックなどメーカー会員も参加し、新製品などを紹介した。

会議終了後には懇親会が行なわれ、多くの業界関係者が来場し、情報交換や近況報告親睦を深めた。

また、この期間には、エクストロンエレクトロニクスジャパンが「スクールオブエマージングテクノロジー」、エプソン販売、ローランド、TOAの「メーカー協業AVシステム展示会」バルコの製品内覧会、NECディスプレイソリューションズが新商品内覧会イベントを開催するなど、メーカー企業がさまざまなイベントを実施し、全国から集まるAVレンタル企業の実務者に自社製品をアピールする機会としている。

※日本映像機材レンタル協会(JVR協会、またはJVRA)
映像機器のレンタル企業とメーカーの協会が集まり、会員交流、説明会、視察ツアー、業務担当責任者会議などを通じた技術情報の交換・研修を実施している。1980年に創立され、2013年10月現在、全国39社のAV機器レンタル会社と国内外の映像機器のトップメーカー20社が加盟している