【環境月間特集】イベント活用で回収率80%、ごみの削減に成功したリユース食器<後編>

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◆2020年が普及のカギ

lgi01a201402120300リユース食器ネットワーク事務局を運営する(一財)地球・人間環境フォーラムの平野氏は今後のリユース食器普及に向けては2020年の東京五輪がカギとなると話す。

「2012年のロンドン五輪は高いリサイクル率を収め、環境オリンピックとして成功しましたが、リユース食器については残念ながら導入されなかった。レガシー(遺産)を残すことが求められる五輪では、1964年東京五輪は〝経済成長の発展″を残し、2020年東京五輪ではエシカル五輪としてより精神性の高い、環境への取組みや意識を定着させるきっかけを残してほしい。日本人は本来モノを大切にする哲学を持っているので、うまく社会に定着させたい。」と語り、現在も東京五輪でのリユースカップ利用に向けて提案を続けている。

また2020年はCOP21で決定した京都議定書に次ぐ温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」がスタートする年でもあるため、より一層の環境意識が高まることが期待される。

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提供:リユース食器ネットワーク

いかにエコロジーであっても、エコノミーでなければ社会で浸透することは難しいと語る平野氏。課題は経済的な面のアピールだといい、導入数・事例を増加することがコストの削減につながるため、現在リユース食器ネットワークではよりいっそうの働きかけを行なっている。

1998年のサッカーワールドカップフランス大会では観戦後、日本人サポーターがごみ拾いをしたことが世界中に伝えられ、礼儀作法や環境意識の高さが称賛された。2020年の東京五輪では、リユース食器が日本の環境意識の象徴となるかもしれない。リユース食器の普及に向けた取り組みは今後どのような広がりを見せるのか、注目していきたい。

 

【リユース食器写真の注釈として】
(提供:リユース食器ネットワーク)

LCA※で比較すると、CO2排出量と水の消費量は2.7回、固形廃棄物は4.7回、エネルギー消費量は6.3回以上の再使用で使い捨て紙カップより環境負荷の低減効果がある。環境ホルモンの出ないポリプロピレン(PP)製のリユースカップは100回以上の使用が可能(耐熱温度120℃、耐冷温度-30℃)。
※原料採掘段階から生産・使用・輸送・廃棄段階に至るまでを仮定し、製品の一生(ライフサイクル)を通じた環境への影響を定量的に分析・評価したもの

表紙

 

→この企画は季刊誌「EventBiz(イベントビズ) Vol.3」より抜粋