MICE(マイス)とは?わかりやすく解説|展示会とMICE

「○○地区にMICE施設建設予定」など、MICEという言葉をニュースで見かけるようになりました。でも意味を調べてもいまいちピンとこない、わかりづらいと思う人も多いはず。みなさんを悩ます「MICE」、わかりやすく解説したいと思います。

就職したい企業のHPにMICEの文字があったり、「キミ、MICE部署に異動ね」と上司に急に言われたり…イマイチわかりづらい『MICE』

1.はじめに

MICEの語源

MICEとは、Meeting(会議・研修)、Incentive travel(報奨旅行)、Convention(国際会議・学会)、ExhibitionまたはEvent(展示会・イベント)の総称です。

会議(M)は企業が主体となって開催するセミナーや研修を、報奨旅行(I)は企業の優秀な営業マンなどを招待・表彰する旅行を、国際会議(C)は「G20」や「世界○○学術会議」、展示会・イベント(E)は「東京モーターショー」や「国際△△展」といった産業見本市のほか、食フェスやスポーツ大会などをイメージするとわかりやすいと思います。

「それぞれの意味なんてとっくに知っている!」と言う声が聞こえてきますね。たしかに、多くのメディアでこの説明を見かけるようになりました。

みなさんが気になっている点は
「なぜまとめて呼ぶのか?会議は会議、展示会は展示会でいいのでは?」
「MICEという言葉自体は誰がどんなタイミングで使うの?」
ということではないでしょうか。

疑問を解決するために、ここでは大きく
・MとIとCとEが持つ2つの共通点について
・MICEの構造で重要な3つのポジション
・MICEという言葉はどのようなタイミングで誰が使うのか
・MICEに眠るビジネスチャンス
という順で解説していきます。

2. MとIとCとEの共通点について

2つの共通点を持ったため、MとIとCとEは結び付けられた

近年「GAFA」の文字をいたるところで見かけます。Google、Apple、Facebook、Amazon の総称です。これらは“ITに関連する超大手企業”で“アメリカに本拠地を置いている”という共通事項から結び付けられ、議論の的になっています。MICEも同様で、総称というからには共通するものがあるのです。

それは “たくさんの人と情報が一堂に集まる行事”であり、これらを開催することで“大きな経済効果や新たなイノベーション(技術革新)を生む可能性を秘めている”ということ。この2つの共通点により結び付けられました。ちなみにEは一般消費者向けイベントを含んでいますが、行事の多くは語源を見てわかるとおり、ビジネスイベントがほとんど。MICE≑ビジネスイベントと捉えて大丈夫です。

ここから先の解説ではMICEというワードを積極的に使っていくので、単語自体に引っかかる人は「ビジネスイベント」や「人がたくさん集まる行事」といったワードに置き換えて読んでみてください。

”経済効果が大きい”ってどういうこと?

イベント(E)で考える

MICE≑ビジネスイベントとお話ししましたが、経済効果について考えるのであれば、みなさんになじみのある“たくさんの人が集まる一般消費者向け(BtoC)イベント”を例に説明しましょう。オリンピックやW杯など、多くの人が集まるBtoCイベントもまた、大きな経済効果をもたらすことで有名ですね。

例えばコンサート。好きな海外アーティストが東京でコンサートを開催するとなればファン(来場者)は遠方からでも参加し、交通費、宿泊費、飲食代、コンサートのチケット、会場でのグッズなど、たくさんのお金を消費します。また消費するのは来場者だけでなく、アーティストが滞在する高級ホテルの手配や警備、コンサート会場のステージ設営、グッズ製作などコンサートの主催者が各ジャンルのイベント専門企業へ仕事を依頼し、ビジネスが生まれます。前者のような参加者がイベントに参加するための消費と、後者の主催者がイベント周辺産業へ消費する2点を中心に、イベントの経済効果が生まれるのです。

MICE参加者の消費額は約2倍

ただでさえ大きいBtoCイベントの経済効果ですが、それがビジネスイベントならどうでしょう。MICEの経済効果の特徴として挙げられるのは「参加者の消費が大きい」ということ。
みなさんも個人旅行と社員旅行で考えたとき、社員旅行の方が少し贅沢な食事をとったり、ホテルもランクアップされていたりしませんか。交通・宿泊・飲食費を会社が負担するから、個人的なお土産だってちょっといいものを買えます。つまり旅行先の地域にとっては、より多くの消費が生まれていることになりますよね。

2018年、観光庁は2016年度のMICEの経済波及効果を初めて算出しました。そこでは日本で開催したMICEに参加した外国人が滞在時に消費する額が算出され、1人当たり平均33.7万円と発表されました。一方、同じく観光庁が発表した2016年の訪日外国人1人当たりの旅行支出は15.6万円となっており、MICE(ビジネスイベント)の参加者は、一般の旅行者よりも消費額が大きいという結果が出ています。


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このように、MICE(ビジネスイベント)を開催すると、開催地やイベントに付随する産業へ大きな経済効果をもたらすことが明らかとなっており、「MICEを日本で開催すると日本経済発展につながるのでは?」「MICEって注目すべき産業かも」と認識されたのです。

先に伝えたようにビジネスイベントと言っても問題ありませんが、国際会議と展示会ではビジネスモデルに違いがありますし、少し抽象的です。そこで形態の違う会議/報奨旅行/国際会議/展示会に分け、その頭文字M、I、C、Eを合わせてMICE(=ビジネスイベント)と呼んでいるのです。

なんとなくMICE全体に共通する形態やメリットについてイメージしやすくなったのではないでしょうか。次はMICEをMとIとCとEのように縦に割るのではなく、MICEの実現、つまり開催に向けて誰がどのように動き、関わっているのかを「主催」「運営・サポート・会場」「国・地域」の立場に分けて説明します。

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