業界4団体がチケット高額転売取引の防止を求め、初の共同声明~100組を超える国内アーティストと24の国内音楽イベントが賛同~

日本音楽制作者連盟(FMPJ)、日本音楽事業者協会(JAME)、コンサートプロモーターズ協会(ACPC)、コンピュータ・チケッティング協議会の4団体は、116組の国内アーティストと24の国内音楽イベントの賛同を得て、昨今横行している「チケット高額転売取引問題の防止」を求める、共同声明を発表した。

意見広告は関東圏、関西圏、中京圏において、朝日新聞および読売新聞の朝刊に掲載された

日本でのCDをはじめとする音楽ソフトの売上は、1998年をピークに近年まで大幅に減少している一方で、ライブ市場が急成長している。 音楽関係13団体が発行する「ライブ・エンタテインメント白書」によると、コンサートの総公演数は、2006年が4万7,632本だったのに対し、2015年は5万6,042本と約1.2倍増加。入場者数に関 しても、2006年の2,454万人から2015年は4,486万人へと約1.8倍増加。共に10年間で、明らかな成長を記録しており、ファンにとってライブや音楽フェスが“音楽をリアルに体験できる場所”として、高く支持されている。この成長に伴い、かなりのスピードでチケットの転売ビジネスが大規模マーケットとなり、以下のチケット高額転売取引問題を引き起こしているのも現状である。

・組織や個人主が利益目的でチケットを大量購入し、転売サイトを使用して通常の何十倍という高価格で取引を行ない、多額の利益を得ている。

・何らかの方法で大量購入している組織や個人主により、ファンが正規価格でチケットを購入できないという事態が発生している。

・転売チケットを購入したファンが、ライブ当日に入場出来ないという被害を受けている。

既に一部のアーティストや音楽イベントでは、チケット転売防止対策として、顔認証システムやファンクラブで購入したチケットのみ転売可能な公式トレードサイトなど様々な施策を導入しているが、いずれもシステムの導入費用や当日のファンへの長時間拘束を要してしまう。チケット高額転売取引は、ファンへ多大なる経済的負担をかけ、ライブへの参加頻度の減少やグッズの購入機会の損出を招いてしまう。

4団体は音楽業界がライブ市場へとシフトしている今、知らないところで数多くの不正取引が行われている現状に危機感を感じているが、チケット転売取引に反対している人もいる一方で、賛成し転売取引システムを利用している人がいるのも事実である。今後、チケット転売取引システムが売上を伸ばしていく中で、音楽業界としてチケット転売取引問題と向き合い、従来のチケット販売システムや座席価格の一律問題などを見直し、体制を整えていく方針だ。

 

<代表者からのコメント>

「すべてのアーティスト、スタッフ は、一人でも多くの音楽ファンに最高のパフォーマンスを届けるために、日々努力を重ね、活動しています。今日のチケット高額転売は、アーティストと音楽ファンとのこれまでの良好な関係を壊してしまう問題なのです」。

一般社団法人 日本音楽制作者連盟 理事長 門池三則

 

「本来、定価で手に入るはずのチケットが、一部の悪質な転売業者によって高額なものになり、しかもそれは新しいコンテンツの創作のためには全く活かされないのです。そのような状況を深く憂慮するとともに、根絶に向けての努力を続けたいと思います」。

一般社団法人 日本音楽事業者協会 専務理事 中井秀範

 

「コンサート数・動員数共に年々増加の一途であり、それはライブ活動がアーティストとファンにとっての重要度の高まりを示しています。そんな中で、単に金銭利益だけが目的である一部の転売ヤーのために、アーティストとファンがどれだけ多くの犠牲を払っているかを少しでも知っていただきたいです」。

一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会 会長 中西健夫

 

<オフィシャルサイト>

開設日時:平成28年8月23日(火)午前4時

URL: https://www.tenbai-no.jp

内容:音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対するメッセージやそれに賛同するアーティスト名、イベント名、団体名のほか、SNSでもタグ「#転売NO」と投稿したコメントを集約するなど、随時情報を更新していく。