〈連載〉あすへのアプローチ 第5回
㈱丹青ディスプレイ  渡部 正隆 氏

 あすへのアプローチ02

◆第5回 情報は営業マンの「命」


営業にとって情報は「命」である。知っていてよかった事より知らなくて大損したことの方が圧倒的に多い。ビジネスに必要な情報の90%は新聞等に公開されているといわれる。新聞を読まなくても論文を書ける学者や新聞を買えない学生はともあれ、商売の上では新聞は必需品である。

新聞は、ある興味を持って読むと多くのビジネスチャンスを見つける事がある。直接に出ている場合もあるが、経済面、社会面、文化面…と一見バラバラの様だが実は水面下(この場合紙面下?)でつながっていて、〈水脈〉をたどると大きなビジネスチャンスを発見することがある。深読み、裏読みがやや面倒だが、新聞はそれほど読者に対して親切ではないので自らの想像力を働かすしかない。けれども量的には結構多い。
あとの10%は〈人脈〉で、確度が高く質のよい情報に当る。ただし、クローズな情報とはいえガセネタやプライベートにかかわるので取扱いは慎重にしなくてはならない。

余談だが上司、同僚、部下の人脈情報にも要注意である。文字通り公けにできない部分があるが、鵜呑みにすると後々に腹痛を起こすかもしれない。人類学者の梅棹忠夫さんが京大の人文研所長の頃の話で、若き研究者が多くの資料を基に自信ありげに研究成果を発表した後にお褒めの言葉を期待したものの、氏は「あんた、これ見たんか聞いたんか?」と言って、他人の作ったデータや見解を鵜呑みにしている研究者をたしなめた記事があった。記事の出どころより経緯が重要である。情報やデータの取扱いは場合によって本人の人間性までも試されるようだ 。

水脈にしろ人脈にしろ、情報には情報が集まるという性質がある。蓋し情報の見える化は功罪あるが、量質ともオープンの方が結果良いようだ。一時の秘匿は一生の後悔。
いずれにせよ情報は「命」であるけれども、半分は信じて、あと半分は自分で確かめるしかない。結構な力仕事である。

 

丹青社 渡部さん
執 筆 者 :株式会社 丹青ディスプレイ 取締役 渡部 正隆 氏
連載時期:『見本市展示会通信』2016年8月1日号~2017年1月1日号
※所属・役職などは連載執筆時のもの

☞第6回目はコチラ

 

 

<アーカイブス>

・第1回 営業職事始め

・第2回 異動・退職認められず

・第3回 デザイナー頑張れ!

・第4回 “お客様は神様です…か?”

・第5回 情報は営業マンの「命」

・第6回 農耕民族たれ、営業マン諸君!