[座談会]映像会社バックオフィスの今/日本映像機材レンタル協会(JVRA)×ピーオーピー 合同企画

-もっと業務の効率化を-

占部 私が入社した当時と比べて、映像業界内の働く環境はかなり改善されてきているように感じます。夜10時が夕方くらいに感じられるような状況はなくなったといいますか。鈴木さんは20年以上この業界一筋ですよね。働き方の変化は感じますか?

鈴木 確かに当時は夜中もずっと働いていましたが、今でこそ深夜の急な対応は減ったと思います。営業から遅い時間に電話で連絡が入ることは減りました。電話ではなくグループウェアでのやりとりが増えたことで翌日以降へ作業を回しやすくやりました。

水野 駆け込みで入ってきたものについては対応をしますが、時間外に機材の確保が必要になった場合は、営業や技術スタッフに独自で処理してもらうようにしています。在庫表を見ながら空いている機材の中から選定してもらい、翌日に報告を受ける。基本はこうしたギリギリの対応をしなくて良いように「早く使いたい機材を提出して!」と急かしているので、営業の人たちも協力をしてくれているように思います。ですから時間外の対応はほとんどありません。ただ、システム周りを整える仕事は自分しかできない役割のため、残業をすることもあります。課としての仕事が終わった後に自分の仕事を進めています。

野仲 以前と比べては確かに良くはなっています。営業をサポートする業務の特性上、定時間際に明日すぐ搬入しなければならない話が来ると、すぐ機材を確保する必要があるため、どうしても残業が発生します。現場スタッフをなんとか捕まえて、打ち合わせをして機材の在庫を押さえます。無事確保した機材のピッキングは現場に向かうスタッフが行いますが、人手が足りなければ私もフォローします。
こうした急を要する仕事も多く、バックオフィス業務の効率化は大きな課題です。皆さんの効率化ツールの導入について、動向が気になります。

占部 そういえば、エージーエーコーポレーションさんの倉庫はとても広いと聞きました。機材の管理に何か効率化のシステムを使っているんですか?

森川 社内のシステムで見積書を作ると、自動で機材の確保ができるようになっています。 機材の使用を押さえない、参考の見積書も作れます。

鈴木 当社でもほぼ同じようなシステムを使っています。20年前にエクセルによる管理を卒業しました。受注書を作ると機材の予約が完了します。

占部 水野さんは業務の効率化で取り組んでいることはありますか?

水野 最近、発注書を簡単に作れる仕組みを作りました。営業部がエクセルにまとめている仕入れ表から、発注書に起こすのが大変だと聞き、エクセルのマクロを使って自動で発注書ができるプログラムを組みました。営業や現場の人が困っていることを、自分の技術で解決できたため、達成感もありましたね。ほかにも話題の生成AIを使った業務効率化も進めてみたいです。生成AI による課題の解決については、自社グループでも取組みが始まるとのことで、積極的に協力して推し進めていきます。

占部 ほかに導入してみて便利だったツールはありますか?

森川 案件ごとに誰がどこまで着手しているか把握するため、プロジェクト管理ツール・Trello を使っています。クライアントとのやり取りはメール、社内とのやり取りはグループウェアで行っているため、その間をつなぐツールとして導入しました。私たちがプロジェクトの現状を把握するだけでなく、実際にイベント現場で仕事をするメンバーも使っているみたいです。情報の共有と進捗の見える化に役立っています。

水野 自社グループ全体でTeams を使用しています。社内外との打ち合わせに便利です。
鈴木 バックオフィス周りに所属するメンバーはキントーンをよく使っています。使い道は新しい機材購入の進捗確認やスケジュールの管理。整理しながら業務を進められます。

野仲 皆さんのお話を聞きながら、早く効率化のシステムを導入したい気持ちが強まりました。テレワークが進み当社でもTeams を導入しましたが、現場に応じた機材の確保と見積りは現在もアナログで行っています。細かい作業ですが、このレンタル機材のスケジュール管理にミスがあると、大きなトラブルにつながってしまう。自動で見積りと機材の確保ができれば、作業の手間を減らすだけでなく、ミスを防ぐことにもつながると思います。

 

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