連載「震災に負けない会議誘致」その3

連載「震災に負けない会議誘致」その3
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IUMS国際微生物学連合2011 会議の札幌開催について

公益財団法人札幌国際プラザ 企画事業部長 根子 俊彦

「IUMS国際微生物学連合2011 会議」が、9月6日(火)~16日(金)の11日間、札幌で開催。65カ国・地域から4,800名、うち海外から1,450名の参加があり、東日本では震災後で最大の、また札幌では過去最大の国際会議となりました

東日本大震災発生で、主催団体からは中止も止むなしとの声も出ていたとのことでしたが、運営の中心である国内組織委員会委員長(北海道大学名誉教授)冨田房男氏の「こんな時だからこそ是非開催したい」との強い思いで実施が決定されました。
開催直前には、米国債の格下げとこれにともなう円高の影響から米国の参加者のキャンセルなど、参加者確保に苦労しながらも、関係者が一丸となって準備を進めた結果、多くの外国人研究者の参加を得ました。

記念式典とレセプションには天皇陛下のご臨席も賜るなど、札幌での国際会議開催としても、大きな成果を残しました。

札幌市では、この会議の前後を「MICEおもてなし月間」として設定し、参加者へ歓迎メッセージカードや市民が作成した折り紙を渡すなどして、ホスピタリティをアピールしました。また、会議参加者・同伴者向けに、安心して滞在できる街のオリエンテーションとして、シティー・ウォーク・ツアーを実施。予想を大きく上回る214名が参加し、100名あまりのボランティアが、街の魅力を紹介しながら案内することで、ふれあいとおもてなしの場となりました。さらに、日本文化体験プログラムやインフォデスクでもボランティアが活躍するなど、市民あげて歓迎するという姿勢が、参加者から称賛をいただきました。

IUMS2011は、2005年の日本誘致段階から、6年間にわたって主催者支援を行なってきましたが、37年ぶりの日本開催となった札幌会議は、このようなおもてなしや細やかなサポートなど、札幌の強みを発揮できたことで、会議成功へとつながったものであり、この結果は、今後の国際会議誘致の力となるものでした。また、震災発生・原発事故後の日本に対する不安の払しょくにも貢献することができました。

弛まぬ努力が、形となって現れるのがMICEの世界であり、さらに身を引き締めてこれからの誘致支援にあたっていきたいと思います。