千葉市は、ZOZOマリンスタジアム(千葉マリンスタジアム)の今後の方向性について検討している。
マリンスタジアムはJR海浜幕張駅から徒歩約15分。
2023年7月には「あり方検討基礎調査」を公表しており、スタジアムの老朽化が進む中、改修または建替えの複数パターンを想定し、それぞれの整備費、維持管理費、収入見通し、経済波及効果などを比較・分析している。
今回は過去のデータにはなるが、そちらの概要をまとめた。
<2023年7月「ZOZOマリンスタジアム(千葉マリンスタジアム)のあり方検討 基礎調査結果 」概要>
老朽化と課題
現在のスタジアムは竣工から30年以上が経過し、塩害などによる施設の劣化が顕著。雨漏りや配管の詰まり、観客席や通路の狭さ、バリアフリー未対応など、多くの改善点が指摘された。また、周辺の交通インフラの課題も浮き彫りとなっている。
6つの整備案と費用試算
調査では、3つの「改修案」と3つの「建替案」、計6パターンが検討された。建設費や維持管理費など30年間での総支出は以下の通り(概算、税込):
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A-1:現状維持改修:約978〜1,000億円
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A-2:機能向上改修:約1,439〜1,472億円
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A-3:開放屋根付き機能向上改修:約1,746〜1,779億円
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B-1:オープン型建替:約1,716〜1,772億円
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B-2:固定屋根型建替:約2,297〜2,354億円
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B-3:開閉屋根型建替:約2,449〜2,505億円
収入面では、最も高いパターンで1,658億円とされており、整備方法によっては費用対効果に課題が残るものもある。
経済波及効果と地域への影響
市が試算したところによれば、スタジアム整備による生産誘発額(建設時)は最大948億円、雇用誘発効果は最大8,314人。運営やイベントによる年間の波及効果も含めると、県内経済への影響は大きいと見られている。また、市民や来場者にとってもスポーツ・文化に触れる機会が増え、地域のシビックプライド向上や観光振興への寄与が期待されている。
整備手法とスケジュール
整備手法としては、公共整備のほか民設民営やPFIなどの官民連携手法も検討されており、整備にあたっての柔軟な事業スキームが模索されている。改修・建替えいずれの場合でも、関係者との合意形成や法的手続き、設計・工事などを含めて供用開始までにはおよそ10年を見込んでいる。