【連載】経営視点から見る展示会活用法 第10回(最終回) 効果を最大化させる展示会の選び方

連載:経営視点から見る展示会活用法

第10回(最終回)
効果を最大化させる展示会の選び方

柴崎 智弘氏(船井総合研究所)

皆さん、こんにちは。
船井総研の柴崎です

全10回のこの連載も最終回となりました。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。

展示会についての教科書は、色々ありますが、私はブースやオペレーション、ノベルティに偏らない立場から、お伝えさせていただきました。

いかがでしたでしょうか?

最後は、展示会の選択についてお伝えさせていただきたいと思います。

私は、この連載を通じて、展示会での成果は、名刺の獲得を一番の成果としてお伝えして参りました。

そこで、しっかりと準備しても、計画したとおりの結果になるケースと、ならないケースがありましたので、その内容についてお伝えさせていただきます。
それは、出展する展示会を間違えている、もしくはその展示会にあった準備ができていないということです。

私は、IT企業様のお手伝いをすることが多いので、ITに関してお伝えすると、出展候補としては、大きく以下の4点があります。

1.ソリューションに特化した展示会(IT Weekや、IT Pro等)

2.業種特化型の展示会

3.異業種が集まる展示会(中小企業総合展や、メッセナゴヤ等)

4.地域の団体が主催する展示会

結論から申しあげると、自社のサービスを提供するお客さまが集まる展示会に出展していただきたい、ということなのです。

たとえば、運送業界向けにシステムを提供しているIT企業さんであれば、ITに特化した展示会よりも、物流総合展といった、物流業界の他のソリューションと一緒に出展し、物流業のソリューションを探しに来ている人を捕まえた方が良いです。

勿論、余裕があれば、ITに特化した展示会に出られるのは良いです。露出をふやして、顧客接点をふやすのは、とても良いことです。

しかし、そこまでマーケティングにお金を掛けられない、限られたリソースの中で展示会に出展しよう!ということであれば、上記のような考え方で出展してみてください。

要するに、展示会に出展する商品と、自社のターゲットをしっかりと見極めて欲しいのです。

(1) ターゲット業種

(2) ターゲットエリア

(3)  ターゲット規模

こちらをよく考えて、出さないと、展示会に出ても効果が出ない、ということが多にしてあります。

具体的には、物流会社向けにシステムを提供している会社が、東京の物流総合展では、620枚の名刺を獲得した企業が、大阪の中小企業総合展では、15枚くらいの新規名刺獲得にしかならなかった、という事例があります。

これは、多くの業種の中小企業が参加、来場される展示会ですので、その中で、物流会社は、さほど多くはなかった、という事例です。

逆に、多くの業種に対して、課題解決できるソリューションを持っている会社というのは、業種特化型の展示会では、機会損失になってしまいます。

その場合は、多くの業種に役立ち、対応はできるが、この業種であればこう役立つ!という風に、絞って提案、PRする必要があります。

業種を絞って提案している会社は、異業種系の展示会は、むずかしいというのが私の結論です。

まとめると、

「異業種の集まる展示会」のメリットは、幅広い業種の見込み客にPRすることができますし、また多くの商材を出展させることができます。1社で沢山の商材を持っている企業には、最適な展示会となるでしょう。逆に業種を絞って提案している場合には、その業種業界の方の来場者数は少なくなるので、むずかしくなります。

「業種特化型の展示会」のメリットは、来場者数のほとんどが、対象となるので、効率的に営業することができる。逆に、来場者のすべてがそのソリューション(IT等)を探しているわけではないので、出展するゾーンを間違えると大変なことになります。

したがって、それぞれの展示会に、メリット・デメリットがあるので、その辺をしっかりと見極めながら出展する必要があります。

私から申しあげたいのは、展示会に出れば何とかなる、といった考えは排除していただきたい、ということです。

出展者の方から聞かれる声として、「お金をかけて出展したのに効果が出ない」という声を聞くことが少なくありません。

しかし、それは、展示会のせいではありません。

出展企業の

<1>展示会の選定

<2>オペレーション

<3>計画的な事前事後のフォロー

この3点をしっかりと議論せず、また計画せずに出展してしまうと、たとえどんな集客力のある展示会に出たとしても、それは、上手くはいきません。失敗してしまいます。

ですので、最大の費用対効果を出すために、ターゲットと展示する商材を戦略的に考えていただきたいと思います。

適切な展示会に出展して、これまでこの連載の中でお伝えしたことを実践していただければ、高い確率で成功していただけると思います。

最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

皆さまのビジネスのお役に立てたら幸いでございます。

皆さんのビジネスが、この展示会を通じて、大きく飛躍されますことを心から祈念しております。

また皆様にお会いできますこと、楽しみにしております。

 

連載:経営視点から見る展示会活用法(全10回)バックナンバー

第1回:事前ミーティング~成功の鍵は社内の一体感~

第2回:目標設定~マーケティング施策の中の展示会~

第3回:コミュニケーションの重要性~成功している会社のルールとは?~

第4回:ブース設計~成功するブース装飾のポイントとは?~

第5回:第5回 オペレーション~成功するオペレーションと、失敗するオペレーション~

第6回:ブース内へ呼び込む方法と効果的なノベルティとは?~お金をかければ良いというものではない!~

第7回:アフターフォロー ~マーケティングからセールスへ その1~

第8回:アフターフォロー ~マーケティングからセールスへ その2~

第9回:展示会を主催する!~大型集客を実現するIT経営フォーラム~

 


Profile

 

柴崎 智弘

船井総合研究所

 

大學卒業後、大手金融機関にて営業を担当。
2006年より、インサイドセールスの部署の立ち上げに参画。
上場企業や中小企業を常時600社担当し、会わずしてキーマンとの関係構築をし、案件を引き出すという、法人営業、特に金融サービスとしては新しい試みを担当。
2011年10月船井総合研究所に入社。
IT企業ビジネスコンサルティングチームにて、展示会で集客した後の、電話営業でクロージングさせる営業の仕組みを得意とする。
特に、展示会のオペレーションには、成果に直結すると定評があり、展示会をテーマに、約30社のコンサルティングの実績がある。