オクタノルムジャパン 代表取締役 瀬戸 健之介 氏
×
パンズ 代表取締役 犬飼 俊介 氏
ディスプレイ演出における光の役割は大きく、LED の普及にともない表現手法も多様化した。光+布という特徴的な構造をもつ「LED ファブリックフレーム」は、日本の展示会の現場や店舗施設でも注目が集まりつつある。ヨーロッパ発祥の同製品が、これからのディスプレイ演出にどのような影響を与えていくのかを探るべく、国内外の「LED ファブリックフレーム」事情に詳しい犬飼氏と瀬戸氏に論じてもらった。
ファブリックフレームの特徴
- LED ファブリックフレームは欧米の展示会や店舗施設では、かなり普及が進んでいるようですね
瀬戸 アルミフレームは軽く輸送や持ち運びが楽なので、欧米展示会の中規模以上のブースでは、木工よりもファブリックフレームを使用する割合が多いくらいです。現場での取り付けも簡単ですから、見た目のインパクトも考えると日本の需要はさらに高まると思います。また、出展者が直接購入する場合もありますね。1度購入すれば繰り返し何度も利用できるので、ブース施工代を節約し、出展回数を増やすことができる。
犬飼 もともとどうして欧米で急激に流行ったかというと、僕は人件費の面でのメリットが大きいと思います。施工が簡単なので施工時間の短縮になり、施工する職人の数も少なくてすむ。以前、車のショールームに3×4mのLED ファブリックフレームを使用した時、現場の親方がびっくりしていました。フレームを組んで壁に埋め込み布を入れ込んで1時間ちょっと。これだけ大きな施工を木工やアクリルでやると1時間では終わりません。年間でのコストメリットはすごく大きく、日本で普及が進めば、サイン業界の仕事のスタイルが変わるかもしれませんね。品質の話をすれば、LED ファブリックフレームは、構造そのものはシンプルですが、ビジュアルを美しく見せるのは実際難しいんです。例えば、素晴らしい技術を持っている日本のLED メーカーがうちのアルミフレームのみを購入して、自社のLED を付けてみても満足いく性能は得られないことが多い。アルミフレームとLED は一緒に開発してテストしないと、不均一な輝度や、影が見えてしまう問題が出てきます。
瀬戸 LED 自体もそうですが、LED に取り付けるレンズも重要ですよね。広角で均一な光を遠くに飛ばす技術・ノウハウが必要です。自社で最初に作ったレンズでは、光源の線が見えてしまう問題がありましたが、特殊なカバーを開発し解決しました。こういった経験から製品を少しずつ良くしています。
犬飼 欧米人に比べ日本人は目が黒いので、彼らが明るいと感じるものを僕らは明るく感じないんですよ。ですから日本で使うときは輝度を高くしますね。特に百貨店や自然光が入る店舗だと、もっと明るくしてほしいと言われます。
瀬戸 そこは展示会も一緒ですね。欧米の展示会に比べ、日本の展示会は明るい。照明が非常に多くて。その中で壁面電飾を目立たせるためには、LED をたくさん入れないと「あれ、光ってるの?」となるので気をつけなければいけません。
バッテリーを内蔵できるタイプのLED ファブリックフレーム。電源を確保できない場 所で行なうプロモーションイベントなどに活用できる(パンズ/ベストシステムズ)
NEXT >>LEDファブリックフレームの日本市場の現状と課題