MPIリレー連載2 新井 立夫 氏/国際会議とホテル

週刊ホテルレストラン × 展示会とMICE 合同企画

MPIリレー連載 その2

国際会議とホテル
MCI-JCS Japan株式会社 マネージング・ダイレクター 新井立夫

賄いがダメなホテルは選ばれない
いきなり自分たちが食べるものの話からはじめて申しわけないが、ホテルのみなさんとわれわれ国際会議に携わる者との重要な接点の一つは、会議期間中のスタッフの食事である。「賄い食」が重要なことは、仕事柄おそらくご存じのことと思う。国際会議は長丁場になる。毎日、それも昼・夜の2食、同じような味のものを食べさせられたのでは、士気があがらない。国際会議の運営中に、スタッフの朝食時間が遅れたことがある。確かに朝の早い時間にお願いしていたのだが、朝食を食べ損なうと、昼過ぎまでかなり長い時間何も食べることができない。体力を使う仕事だけに、これはきつい。人間腹が減っていると機嫌が悪くなる。お客さまへの対応が雑になるおそれだってある。私は、いつもにこやかにしている方だが、このときだけは激高した。

変化は突然、確実にやってくる
日本の会議マーケットは、米国と並んで国内マーケットが巨大なことが特徴である。そのため、大変な思いをして国際会議をやらなくても、国内学会・イベントだけで十分に食べていけると考える人たちもおり、日本のミーティング業界の国際対応が遅れる要因の一つにもなっている。しかし、われわれの業界も確実に訪れる人口減に伴う内需減と無縁ではない。また、この10年間を振り返ってみるだけでも、海外主催者との接触は着実にふえている。グローバル化の波は、ひたひたと押し寄せており「気がつけば大きな変化が起きていた」ということになる。「変化は、ある日突然やってくる」のである。

語学力よりコミュニケーション能力
グローバル化というと、すぐに語学力=英語力が問題にされる。確かに、英語力は重要だ。しかし、語学力とコミュニケーション能力はまったく別物だということに、なぜか多くの人が気づかない。不思議だ。日本人は、ほぼ全員日本語を流暢に話すが、コミュニケーションがうまくなくて「仕事ができない」と言われる人は、たいがいの職場にいる。英語でのコミュニケーションも同じである。語学力は、頑張って勉強すればなんとかなる。問題は、コミュニケーション能力の方である。しかも、英語を使ってのコミュニケーションは、日本語でのコミュニケーションとは少し違う。グローバル人材を目指す人は、ここに注目して自分を磨いてほしい。

海外から直接コンタクトがくる
最後に、トレンドを2点。一つは「時は金なり」。ほとんどの国際会議では、早期登録をすると割引がある。以前は早期登録期限直前に登録する人が多かった。いまは会議直前の登録が多くなっている。直前まで予定が確定しないからである。会議期間中しか日本にいないので、会議前や終了後のツアーも少なくなった。もう一つは、北米の主催者に多いが、国際本部が日本国内の関係者を通さずに、直接、会場やサプライヤーと折衝することが多くなってきたことである。ホテルの方々も、こうした海外主催者としっかりコミュニケーションできないと、ビジネスチャンスを失うということである。