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いよいよ開幕。予想以上の好評


 11月11日。9時に会場入りして10時の開場に備えた。幸運もあったが、万全の準備を整えたつもりだ。初めて臨む世界は私たちをどう評価するだろうか。開幕。

 午前中から私たちのブースは大変な混み具合だった。予想以上の盛況ぶりにホッとするが、すぐに英語担当が圧倒的に少ないことに気付き、焦る。パンフレットも次々になくなった。用意したのは1日200部ずつ、合計600部。ところが、ラックから次々にもっていかれ、そのたびに補充してしまったので、午前中に150部を消費してしまった。これでは、商談どころか名刺も集まらないので、すぐにラックを撤去。興味をもってくれた人としっかり会話をし、そのうえで要求されたら渡す作戦にした。それでも最終的には3部しか残らなかった。私たちの前の通路は会場内で最も広く6mあったが、コンテンツが人を惹きつけたのか、多くの人が足を止め、すごい人だかりができた。

 また、隣は世界的な照明機器メーカーのマーチン社で、ブースの規模も最大級。巨大なムービングライトが遠くからでも目立ち、人がどんどん引き寄せられている。

 最初のうち、我々はほかのブースを見に行く余裕がまったくなかったので、全体がこのように混んでいるのかと思った。しかし、コマデンブースとマーチンブースの前が最も高い人口密度であると、ブースに来た人から聞き驚く。それからも「噂を聞いて来た」とか「話題になってるよ」と言ってくれる来場者がたびたび現れ、なかには「Congratulation!」と声をかける人もいて、早くも私たちは成功を祝福された。


通訳がいなくても・・・


 予想以上のウケの良さにスタッフは活気づいたが、商品が日本製であることを伝えると「じゃあ高いんだろうね」という人もいた。その場で具体的な用途を提案する人は少なかったが、いろいろな形を手でつくり、身振りを交え、空を仰ぎながら使い方をイメージしているようだった。連絡先を交換し合ったのは最終的に723名。多くはディストリビュータであり、自分らに売らせて欲しいとか、自社製品との組み合わせで売り込みたいという提案が多かった。引き合いは全体的に大規模な物件が多く、ビジネスとしても期待のもてる展示会であった。

 ところで、冒頭で焦った通訳不足の件だが、説明係の前には順番待ちも出るくらいで、英語ができないことを嘆いている暇もなかったから、もう開き直るしかなかった。発音も文法も気にせず説明にあたったわけだが、伝わることは伝わった。質問する方も、こちらが英語が話せないことがわかると簡単な単語を並べて簡潔に聞いてくれた。2日目には、顔をしかめて聞き返してくる客にも慣れた。なんとかなるものである。


アワード受賞は表現力の証明 ハードウェアは道具の一つ


 当然のことだが、私たちが参加したのは“展示会”であるから、他の出展者のほとんどはメインが商品展示で、これをデモすることで来場者とのきっかけをつくっている。しかし、私たちのブースでは、来場者は明らかにコンテンツに導かれていた。

 来場者が足を止める。近くでメッシュを確認し、その後離れてCGに見入っている。座り込んで見ている人もいる。映像が消えると同時に、いっせいに人が動く。まさに私たちが期待していた光景である。エンターテインメントの本場で、私たちのつくる空間に多くのプロたちが共感してくれたことは、これからの仕事に大きな自信となることをスタッフの誰もが感じていると思う。

 また、この好評を受けて、ESTAが主宰するアワードでイメージメッシュが“Promising Prototype賞”を受賞した。これは「これから大きな活躍が期待できる製品」に与えられる賞で、イメージメッシュの可能性が米国市場に認められた証と言える。受賞したのはあくまで商品であるが、これに表現したコンテンツがあってこその受賞と受け止めている。私たちと似たような製品がなかったわけでもないが、KAPAS?Uとイメージメッシュという装置が実現する“空間”を実際につくって見せている点が、他社ブースと大きく違った。

 私たちは徹底的に“コンテンツ”にこだわった。スタッフのイマジネーションとオペレーション能力こそ、コマデンの核であり、存在意義だからだ。確かにKAPAS?Uやイメージメッシュは、透過性のあるLEDディスプレイというオリジナル性、汎用性や機動力に優れている点などで高い評価をいただいている。しかし、これとて私たちが、自分たちの表現力を存分に発揮できるハードウエアをもとめて開発した道具に過ぎない。クライアントに買っていただきたいのは、この製品ではなく、私たちの表現力なのだ。

 「こんな空間はおもしろいだろ?」
 というコマデンの投げかけは、アメリカの人々に確かに受け入れられたという実感があった。“製品展示”をコンセプトから外し、表現力を訴え、私たちの仕事そのものが認められたことが何よりも嬉しい。日本で、現場で私たちを支えてくれたすべての人に心から感謝したい。

 私にとっても、コマデンにとっても、大変充実したLDI出展であった。しかし、そんな余韻に浸る間もなく、いつもの日常、戦場のような現場が待っている。ただ、自分の世界が拡がったことを実感しながら過ごしている。

(初出:ピーオーピー発行『季刊 展示会レポート』vol.34−2006春号−)


会社紹介
筆者 高松 晃 氏
株式会社 コマデン
東京都港区東麻布2-22-1
TEL.03-3582-9611

テレビ・演劇・イベント・テーマパーク・商業施設等の空間演出におけるコンセプトデザイン、アートディレクション、企画デザイン、設計管理、オペレーションといった業務を一貫して行うエンターテインメントデザインのトータルソリューションカンパニー。

コマデンのWEBサイトで、このレポートで紹介したLDI出展ブースのデモ映像が見られます Webへ