【政府】80の施策を発表
「訪日旅行者3200万人」「国際会議の件数世界5位」「展示会・見本市の外国人参加コロナ前より2割増加」めざす【MICE・インバウンド】

5月30日、岸田首相は、総理大臣官邸で第20回観光立国推進閣僚会議を開催し、「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」について議論が行われた。

岸田首相は「本年3月に新たな観光立国推進基本計画で閣議決定した数値目標の実施を確かなものとし、観光需要を効果的・持続的に根付かせるため、観光の視野を広げ、ビジネスや教育・研究、文化芸術・スポーツといった、広い分野で、インバウンド拡大の取組を深化させていきます」と述べ、日本を舞台とした国際交流を回復、拡大させることを目指し、新たな目標の達成に向けて取り組んでいくと語った。

<新時代のインバウンド拡大アクションプラン 概要>

示された具体的な目標は以下の通り。

・訪日外国人旅行消費額:早期5兆円達成
・訪日外国人旅行者数:2025年までに3200万人(2019年水準)超え

・ビジネス分野において、国際会議の開催件数を2030年までに世界5位以内とすること
・国際展示会・見本市の外国人参加者数を2025年までにコロナ前より2割増加させること
・教育・研究分野では、海外からの研究者の受入れ数について、2025年までにコロナ前より2割増加させること
・文化芸術分野では、国際的なアートフェアの誘致等により、2025年までにグローバル・セブンに食い込むこと

「ビジネス分野」「教育・研究分野」「文化芸術・スポーツ・自然分野」の3つの分野を柱とし、以下の合計約80の施策によって、国際的な人的交流を伴う取組みの深化と掘り起しを図り、インバウンドの着実な拡大を図る。

Ⅰ ビジネス分野

【ビジネス分野における目標】

○ビジネス目的での訪日外国人旅行消費額を2割増加 (7,200 億円(R1) ⇒ 8,600 億円(R7))

〇国際会議の開催件数(※教育・研究分野等で行われるものを含む) ・アジア最大の開催国〔アジア主要国で 3 割以上〕(R7)に加え、さらに、 ・アジア No.1の国際会議開催国として不動の地位、世界 5 位以内(R12)

〇展示会・見本市への外国人参加者数を 2 割増加 (139 千人(R1)⇒167 千人(R7))

1 投資拡大の機会を捉えたビジネス交流の促進

日本の生産・研究拠点としての位置付けを復活させ、対内投資の最適立地場所としての実現を図るとともに、それを通じて日本への投資やビジネス拡大を目的に訪 日する海外企業の経営層や事業担当者、技術者、スタートアップ等の増加によるビ ジネス交流の拡大を図る。

(1)国内投資の拡大や開発拠点の整備、スタートアップコミュニティの国際化

円安によりコスト面で国内立地環境が大きく改善する中、ビジネス交流の拡大にも資する、海外が我が国に期待する物資等の供給力強化や企業の国内回帰など 国内での「攻めの投資」の拡大や、量子・AI 等の研究基盤や社会実装を加速化さ せるための開発拠点の整備を進める。また、海外のスタートアップ・エコシステ ムと国内の8つのスタートアップ・エコシステム拠点都市をはじめとするスター トアップコミュニティとのネットワークを強化すべく、ピッチイベントや日本市 場・国内プロジェクト等の情報提供を行うことで、ビジネス交流の拡大につなげ ていく。【経済産業省、総務省】

(2)JETRO を通じた対日投資促進のための支援

JETRO 対日投資ビジネスサポートセンターを通じ、ものづくり、ヘルスケア、 グリーン、デジタル等の分野を対象に、外資企業等に対する日本国内での事業可 能性調査支援を実施するともに、投資計画の加速化を図るため、外国企業及び地 域関係者のニーズを踏まえつつ、海外企業経営者層等の招へい、マッチング等を 規模拡大して実施する。【経済産業省】

(3)日本におけるビジネス機会の効果的な PR

外国企業による日本進出及び日本企業との協業・連携に向けた関心喚起のため、外国メディアを通じた 10 以上の国・地域におけるプロモーション、ウェブ サイトや SNS 等を活用したデジタルマーケティング等、海外 PR 会社等と連携し た複合的な活動を実施し、日本におけるビジネス機会を海外のビジネスパーソン に対して効果的に PR する。【内閣府、経済産業省、関係省庁】

(4)対日直接投資推進のための各種施策の展開

「海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプラン」(令和5年4月 26 日対日直接投資推進会議決定)を踏まえ、半導体、DX、GX、バイオ・ヘルスケ アなど戦略的に重要な分野への投資促進・グローバルサプライチェーンの再構築 に取り組むほか、ビジネス・生活環境整備、オールジャパンでの誘致・フォロー アップ体制の強化、世界への発信強化等を行うことにより、更なるビジネス交流 の拡大につなげる。【内閣府、関係省庁】

2 国際金融センターの我が国における拠点化

世界における国際金融センターとしての日本の地位向上を図るとともに、海外関 係者を積極的に日本に誘致することにより、金融事業者や海外の市場関係者、日本 の金融市場を活用しようとする企業等を日本に呼び込み、ビジネス交流の拡大を図 る。

(5)国際金融センターとしての地位向上

国際金融センターとしての地位向上を目指し、今後、海外から、より多くの資産運用業者やフィンテック事業者等の金融事業者や資金を日本の金融資本市場に 呼び込むため、行政サービスを含めたビジネス・生活環境の整備を継続するほ か、日本の金融市場の魅力(海外金融事業者にとっての日本でのビジネス機会) 向上に向け、コーポレートガバナンス改革の実質化、GX 投融資等の促進、資産運 用業等の抜本的な改革等、金融資本市場の活性化に取り組む。また、こうした施 策を、他のインバウンド拡大に向けた関係省庁や在外公館等の取組みとも連携 し、集中的に海外関係者を日本に誘致する「Japan Week(仮称)」の立ち上げや海 外主要メディアの活用等を通じ、効果的に国内外に情報発信していく。【金融庁、 外務省、経済産業省】

3 外国人に対する粒子線治療等の医療の提供

粒子線治療によるがん治療等の国際競争力の高い分野において、外国人がん患者 の受入れを推進する。また、医療機関等における多言語対応等の体制整備や、新た なマーケットとして ASEAN 等のアジア諸国に対する情報発信強化等を推進すること 等により、医療インバウンドの拡大を図る。

(6)外国人がん患者の受入れ推進等による医療インバウンド促進

粒子線治療によるがん治療等の国際競争力の高い分野において、国内患者の診 療に影響を及ぼさない範囲で、外国人がん患者の受入れを推進する。このため、 既存の医療ツーリズムの受入スキームも活用しながら、有効性及び安全性が確認 されている粒子線等によるがん治療の分野において、外国人患者の受入れも可能 な医療機関に関する情報提供や広報のあり方について検討を行うとともに、入国 前に治療適応等を含めた外国人患者の状態を事前確認するための取組(対象国の 拠点病院との連携、国内外の医療関係者間の交流・連携支援、国際メディカル・ コーディネート事業者の質向上など)を進める。 また、医療機関等における多言語対応等の体制整備(カリキュラム・テキスト の作成等を通じた医療通訳育成、多言語の診療申込書等の公開、外国人患者受入 のための医療機関向けマニュアルの整備・公開、コーディネーターの活用等)を 進める。 加えて、医療インバウンドの促進のため、従来の中国市場を見据えた支援に加 え、新たなマーケットとして ASEAN 等のアジア諸国の医療渡航患者に対する情報 発信を強化するとともに、国内外の保険会社や医療情報プラットフォーム等との 連携を含めた医療機関向けの支援を強化する。【厚生労働省、観光庁、経済産業 省】

4 ビジネスマッチング等を通じた海外企業関係者等との交流拡大

日本のスタートアップコミュニティや、ヘルスケア、デジタル等今後成長が見込 まれる分野の企業、意欲のある中小企業・地域とのマッチング等を通じて、外国企業のスタートアップ、投資家、経営者等を呼び込み、ビジネス交流の拡大を図る。

(7)世界をリードする VC 等を招へいするスタートアップイベントの開催

世界をリードするベンチャーキャピタルや機関投資家、著名な起業家等を招へいするイベントを開催し、ビジネスマッチング等を通じて海外と日本のスタートアップ関係者の繋がりを強化する。【経済産業省】

(8)海外のスタートアップコミュニティとのネットワーク強化

海外のスタートアップ・エコシステムと国内の8つのスタートアップ・エコシ ステム拠点都市をはじめとするスタートアップコミュニティとのネットワークを 強化すべく、ピッチイベントや日本市場・国内プロジェクト等の情報提供を行 う。【経済産業省】(再掲)

(9)ヘルスケア・スタートアップに関する海外 VC 等との連携

ヘルスケア・スタートアップに関して、日本発のグローバルスタートアップを 育成し、国内のエコシステムを強化するため、ヘルスケア領域に強みを持つ海外 VC やアクセラレーター等を日本に呼び込み、これらと連携したプログラムを展開 するとともに、大阪・関西万博において、課題先進国日本として新しいヘルスケ アの形を世界に発信していく。【経済産業省】

(10)外資企業と日本企業・大学等のマッチングや招へい事業の拡充

産業別に外資企業と日本企業・大学等とのマッチングを行うグローバルオープ ンイノベーション事業について、ヘルスケア分野に加え、デジタル分野でのマッ チングを実施するとともに、投資検討プロセスの加速化に向けた地域への外国・ 外資企業の招へい事業を拡充する。【経済産業省】

(11)中小企業と海外企業 CEO とのマッチング・商談の実施

日本企業との合弁会社設立や共同開発・技術連携等を希望する海外企業経営者 (CEO)を日本に招へいし、海外展開を目指す我が国中小企業とのマッチング・商 談を実施する。また、その後も再来日による継続した商談に繋げる。【経済産業 省】

(12)万博を契機とする地域企業と万博参加国企業とのビジネス交流拡大

大阪・関西万博を契機として、全国各地域における万博参加国とのビジネス国 際交流を促進するため、地方公共団体が実施する地域企業と交流相手国企業との 間のビジネスマッチング交流や万博開催年の交流相手国のナショナルデー等にお ける成果の発信などの取組を支援する「万博国際交流プログラム(仮称)」を実施 する。【内閣官房】

(13)万博を契機とする福島浜通りへの誘客、海外スタートアップ等の誘致

福島浜通りの産業復興に向け、大阪・関西万博の開催時に、復興ウィーク(仮 称)を実施するなどして海外からビジネスツーリズムも含めた福島浜通りへの誘 客を図り、海外スタートアップ等の誘致につなげる。【経済産業省】

5 国際会議、国際見本市等の積極的な開催・誘致 国際会議・国際見本市等の開催・誘致やグローバル化、企業のグローバル会議の 招致等に積極的に取り組むことにより、我が国の世界のビジネス拠点としての国際 的な位置付けや世界への発信力、プレゼンスの向上につなげつつ、日本を舞台とし たビジネス交流の拡大を図る。あわせて我が国の MICE 開催地としての誘致競争力や 魅力の向上を図るための環境整備に取り組む。

(14)経済、外交上の会合の機会を捉えた対日直接投資プロモーション

様々な経済、外交上の会合の機会を捉え、対日直接投資促進のための会合の開 催など、トップレベルでの我が国の魅力の発信や様々なプロモーションを実施す る。JETRO は、外国・外資系企業を対象とする日本への投資喚起に向けた国内外 のイベントを実施する。【内閣府、外務省、経済産業省、関係省庁】

(15)国際展示会・見本市等のグローバル化促進

これまでの自動車産業を中心に開催していたモーターショーから、他産業やス タートアップも含めた日本の全産業で創る未来を示すジャパンモビリティショー へと抜本的に発展させることや、ファッションとデザインの分野における日本版 ミラノサローネを目指した東京クリエイティブサロン等の国際的な展示会・見本 市のグローバル化を促し、ビジネス交流の拡大につなげる。【経済産業省】

(16)企業が行うグローバル会議の日本への招致

外資系企業や日本の大手企業等、グローバルに事業展開を行う企業が行う会議 の日本開催を促すとともに、参加者が会議開催地以外の地域にも訪れる機会を創 出することにより、ビジネス交流の拡大につなげる。【経済産業省】

(17)インターネット・ガバナンス・フォーラムの開催

2025 年の WSIS+20 におけるインターネットガバナンスに関する国際的議論に向 けて、2023 年 10 月、日本がホスト国として産官学等から 5,000 人規模の関係者が 参加する国連主催の会議(IGF/インターネット・ガバナンス・フォーラム)を京都 で開催し、議論を主導することにより、インターネット分野における我が国のプレ ゼンス向上を図る。【総務省】

(18)コンテンツ関連の国際見本市の開催

国内における映画祭等の国際的なイベントの開催にあわせ、海外から事業者を 招へいするコンテンツ関連の国際見本市を 2023 年中に開催し、コンテンツ関連の 海外事業者の誘客や、日本を舞台とした交流・取引を促進する。【総務省、経済産 業省】

(19)法の支配等の普遍的価値が根付く日本を発信する国際会議の開催

法の支配等の普遍的価値が根付いた安心・安全な社会は、我が国が世界に誇る 魅力(ソフトパワー)であることから、ASEAN 及び G7 各国の法務・司法分野の将 来を担う若手職員を対象とした「ネクスト・リーダーズ・フォーラム(仮称)」を 我が国で開催し、我が国のイメージとプレゼンスを向上させ、海外政府や企業に とって魅力的な MICE 候補地とすることを目指す。【法務省】

(20)法の支配に基づく新たな国際秩序形成の主導を目指す国際会議の開催

法の支配に基づく新たな国際秩序の形成を主導するため、法の支配に根ざした リーガルマインドを有する国際法務人材を育成するとともに、司法分野における 国際業務に対する若者の関心を喚起し、多様性を許容しつつネットワークを育む ための「法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」や、アジア太平洋 地域における司法当局の情報共有・意見交換、国際協力上の問題解決を進めるた めの「アジア太平洋刑事司法フォーラム」を開催する。【法務省】

(21)福島浜通りの産業復興に向けた MICE 施策の活用

福島浜通りの産業復興に向け、MICE 施策の活用によりビジネス往来を活性化す るとともに、福島国際研究教育機構(F-REI)の取組を後押しすることにより、地 域の新産業創出につなげることを目指す。【経済産業省】

(22)万博開催の機会を捉えた国際会議等の誘致・開催 大阪・関西万博の機会に世界から多くのビジネス関係者等を日本に集結させる

インセンティブを高めるため、テーマウィーク(開催期間中、地球規模の課題を 週単位でテーマとして設定し、課題解決のために産官学のメンバーが対話型プロ グラムや国際ビジネス交流を行うもの)に合わせ、関係省庁が連携し、国際会議 や国際イベント・展示会等を誘致・開催しつつ、ビジネス関係者等の誘客を促す ための活動や発信を行う。【内閣官房、関係省庁】

(23)万博と連動した復興関連イベント等の開催

大阪・関西万博において被災地の復興に関する発信を行うことと連動し、ビジ ネス・学術交流も含め、国内外からの誘客により被災地の関係人口の拡大につな がる復興関連のイベント等を開催することを検討する。【復興庁、経済産業省】

(24)MICE 開催地におけるサステナビリティへの取組促進

MICE 開催地におけるサステナビリティ(持続可能性)への取組について MICE 主 催者の関心が高まっていること等を踏まえ、我が国で開催される MICE 及びその開 催都市におけるサステナビリティへの取組を促進し、我が国の MICE 誘致競争力の 向上を図る。【観光庁】

(25)政府一体となった MICE 誘致・開催

我が国が MICE 開催地として注目が高まるよう、政府としても各種国際会議を 積極的に再開・開催する。あわせて、政府として、様々な分野で MICE 誘致・開 催への働きかけや支援を行う。その際、関係大臣による招請レター発出、在外公 館でのレセプション開催等、政府一体となった MICE 誘致・開催支援を進める。 【観光庁、関係省庁】

(26)スポーツ施設の MICE 会場やユニークべニューへの活用促進

大規模な集客施設であるスポーツ施設をまちの賑わい創出や地域経済活性化の 拠点とすべく、施設の高機能化や複合施設化等を図る「スタジアム・アリーナ改 革」の取組等を進めている。これらはスポーツ施設の MICE 会場やユニークべニュ ーへの活用にも資するものと考えられることから、モデル拠点の選定や優良事例 の横展開等、地方公共団体や民間事業者等の関係者への周知を進める。【スポーツ 庁】

(27)国立競技場の MICE への活用促進

国立競技場については、2024 年度を目途に民間事業者による運営を開始し、民 間事業者のノウハウや創意工夫を活用して、スポーツ以外の幅広い用途にも積極 的かつ有効に利活用し多くの人々が集える場や機会を提供する。その中で MICE に もより一層活用される施設としていく。【スポーツ庁】

(28)地域文化資源の MICE への活用推進

全国各地において、地域の魅力的な文化資源の活用(特別な歴史体験、夜間活 用、ユニークべニュー利用等)を推進し、我が国各都市の MICE 開催地としての魅 力向上につなげる。その際、各事業内容の高付加価値化とともに、文化資源の活 用から保存への持続可能な好循環の仕組みを可視化することにより、MICE 参加者 への訴求と文化資源の一層の活用促進を図る。【文化庁】

(29)ユニークベニューに関する情報提供の充実と活用促進

関係府省庁との連携の下、MICE 向けユニークベニューとして利用可能な文化 財・文化施設、スポーツ施設等についての MICE 関係者への情報提供の充実を図 る。あわせて、活用の好事例や活用のポイント、ナレッジ集等についての周知、 9 相談窓口の開設・紹介等を行うことにより、ユニークベニューとしての一層の活 用拡大を図る。【観光庁、スポーツ庁、文化庁、関係省庁】

6 産業資源の活用による新たなビジネス交流需要の獲得

「地域一体型オープンファクトリー」や、企業が有するデザインやアート等の産 業資源の可視化等、産業資源を誘客に活用していくことで、ビジネス交流需要の獲 得を図る。

(30)全国各地のオープンファクトリーを活用したビジネス交流促進

全国各地に広がる「地域一体型オープンファクトリー」を活かし、大阪・関西 万博を契機とした、ビジネス交流にもつながる施策展開を検討・実施する。【経済 産業省】

(31)企業が有するデザインやアート等の産業資源の可視化による観光資源化

全国に点在する企業のデザイン資産のネットワーク化、テキスタイルの産地と 海外企業との協業促進、未公開の企業アートの可視化等を通して、企業が持つ魅 力的な産業資源を観光資源化することで、ビジネス交流需要の獲得を図る。【経済 産業省】 7 人的交流の促進 ビザの要件緩和や新規創設、在留資格の要件緩和等、国際的な人的交流を促進す るための環境整備等を進める。

(32)スタートアップビザの要件緩和

現在、スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)として、外国人起業家 の入国及び最長1年間の在留を認めているが、その確認を行う者は、国が認定し た地方自治体に限られている。今後、更なる外国人起業家の誘致を加速するた め、地方自治体だけでなく、国が認定したベンチャーキャピタルやアクセラレー ターなどの民間組織も、スタートアップビザの確認手続きを行えるようにすると ともに、最長在留期間の延長を図る。【法務省、経済産業省】

(33)「特別高度人材制度」・「未来創造人材制度」の普及啓発

世界の人材獲得競争に負けないよう、更に高度外国人材の受入れを促進するた め、高度人材の中でもトップレベルの能力のある者の受入れを目的とした「特別 高度人材制度(J-Skip)」及びポテンシャルの高い若者を呼び込むことを目的とし た「未来創造人材制度(J-Find)」を新たに創設し、2023 年 4 月より運用を開始し ている。これらの制度について、JETRO 等の関係機関と連携し、普及啓発を進め る。【法務省、経済産業省】

(34)日系4世受入れ制度の一部緩和

我が国と現地日系社会との架け橋となる人材を育成する役割を一層強化するた め、日系4世受入れ制度の一部緩和等に向け、必要な対応を行う。【法務省】

(35)姉妹・友好都市提携等を生かした交流の拡大

姉妹・友好都市提携等を生かした交流の拡大を支援する。【総務省】

(36)「デジタルノマド」の呼び込みのための制度環境整備

国際的なリモートワーカー(いわゆる「デジタルノマド」)の呼び込みに向け、 ビザ(査証)・在留資格など制度面も含めた課題についての把握・検討を行い、本 年度中の制度化を行う。【内閣官房、内閣府、デジタル庁、法務省、総務省、財務 省、厚生労働省、観光庁、外務省】

(37)MICE 参加者等に対するビザ発給の円滑化

現在の商用・文化人・知識人に対する数次査証等について MICE 参加者に対して 一層の周知を行うとともに、今後の MICE の実需を踏まえつつ、査証発給要件の緩 和等の具体的な施策を検討する。【外務省】

(38)「Visit Japan Web」の機能拡充等

現在、入国者等は、「Visit Japan Web」(入国手続に係る web サービス)を利用 することで、「入国審査」及び「税関申告」の各手続をスムーズに行うことができ る。さらに、消費税免税購入手続においても、「Visit Japan Web」を利用するこ とが可能となっている。引き続き、利用者のフィードバックも反映しながら、必 要に応じ、機能拡充等を行っていく。【デジタル庁】

(39)重要ビジネス旅客や MICE 参加者等の空港における入国円滑化

重要ビジネス旅客や MICE 参加者を含む訪日旅客の空港利便性が損なわれないよ う、空港業務の省力化・自動化を推進するとともに、空港業務に係る人材確保や 業務効率化等に取り組む。また、ファーストレーン利用促進を図るため、成田・ 関西空港においては、空港の運用状況を踏まえ、利用促進の PR や利用時間の柔軟 な運用を行うとともに、今後の需要に応じ、ファーストレーン対象者や対象空港 の拡大に向けた検討を行う。【国土交通省、法務省】

(40)JNTO海外事務所と在外公館の連携強化

訪日プロモーションについて、日本政府観光局(以下、「JNTO」という。)と在 外公館との連携を強化する。その際、JNTO の海外事務所が設けられていない国・ 地域においても、当該国・地域を担当するJNTO の海外事務所が当該国・地域の在 11 外公館と連携し、訪日プロモーションを行う。【観光庁、外務省】

Ⅱ 教育・研究分野

【教育・研究分野における目標】

○海外からの研究者の受入れ数を2割増加 (13 千人(R1)⇒ 16 千人(R7))

○科学技術・自然・医療・社会分野等に係る国際会議への外国人参加者数を2割増 加 (155 千人(R1)⇒ 186 千人(R7)) 1 グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の推進 研究機能とインキュベーション機能を兼ね備えた拠点を創設し、様々な人材が協 業することでイノベーションが創出される環境を整備し、研究・ビジネスとそれら を取り巻く人材を海外から幅広く呼び込む。

(41)グローバル・スタートアップ・キャンパスの創設

海外トップ大学等とも連携しつつ、我が国にディープテック分野に特化した研 究機能と国際標準のインキュベーション機能を兼ね備えた「グローバル・スター トアップ・キャンパス」を創設する。創設にあたっては、関係自治体とも連携し 外国人材の生活基盤整備等も一体的に進めることで、真にグローバルな拠点とす ることを目指す。【内閣府、内閣官房】

2 世界トップレベルの研究人材の交流促進

主に大学への支援を通じて世界に伍する研究環境を整備し、優秀な研究者や学生 が世界から集まる環境を整備するとともに、そこで優秀な人材が質の高い研究活動 に取り組むコミュニティの形成を促進し、日本の研究環境・人材のレベルアップを 13 図る。また、共同研究等を通じて研究ネットワークを構築し、世界トップレベルの 研究人材の交流を促し、国際頭脳循環を推進する。

(42)世界最高水準の研究大学の実現

10 兆円規模の大学ファンドによる国際卓越研究大学への支援を通じて、世界最 高水準の研究環境を有する大学を実現し、世界トップレベルの研究人材の獲得を 促し知的価値創造の好循環を形成するとともに、国際卓越研究大学が我が国の学 術研究ネットワークを牽引することで、我が国の学術界における国内外の人材流 動を活性化する。【文部科学省】

(43)地域の中核大学や特定分野の強みを持つ大学の強化

我が国全体の研究力の発展を牽引する研究大学群の形成に向けて、研究活動の 国際展開や社会実装の加速・レベルアップの実現に必要なハードとソフト双方の 環境構築の取組支援を通じて、国際卓越研究大学と相乗的・相補的な連携により 共に発展する地域の中核大学や特定分野の強みを持つ大学の抜本的強化を図る。 【文部科学省】

(44)世界トップレベルの研究水準を誇る国際研究拠点の形成

世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)において、大学等への集中的な支援 により研究システム改革等の取組を促進し、高度に国際化された研究環境と世界 トップレベルの研究水準を誇る国際研究拠点の形成を計画的・継続的に推進す る。【文部科学省】

(45)各研究分野の中核となる共同利用・共同研究拠点等の整備

国公私立大学に置かれる共同利用・共同研究拠点及び大学共同利用機関法人に おける最先端の研究施設・設備や貴重な研究資料の更新・高度化を実施する。あ わせて、共同利用・共同研究拠点等が、異分野の研究機関と連携した学際共同研 究を行う仕組みの構築を支援することにより、滞在型共同研究など、組織・分野 を超えた共同研究ネットワークの拡大を推進する。【文部科学省】

(46)国際共同研究に対する戦略的・機動的な支援

政府主導で設定する先端分野における欧米等先進国との国際共同研究について 戦略的・機動的に支援することにより、国際科学トップサークルへの日本人研究 者の参入を促進するとともに、優秀な若手研究者の国際交流・コネクションの強 化を図り、国際頭脳循環を推進する。【文部科学省】

3 留学生等の積極的な受入れ

海外から留学生等を積極的に受入れ、若年層中心に早期から日本との関係性を深 14 めることで、卒業後の就業や将来的な訪日機会の増加を図る。また、自身の滞在経 験に基づき、母国で日本の良さや魅力を共有・発信してもらうことなどにより、潜 在的な訪日ニーズの掘り起こしに繋げる。また、それら海外からの留学生等を受入 れるため、キャンパスの質の向上等の環境整備を推進する。 「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)」(令和 5 年 4 月 27 日、教育未来創造会議決定)に基づき、外国人留学生の受入数 40 万人といった 2033 年までの具体的指標の下、以下の方策を実施する。

(47)リクルーティングや広報・情報発信の強化、日本語教育の充実

優秀な外国人留学生の戦略的な受入れに向けて、各国の学生の留学を巡る諸情 報の収集・分析を強化しつつ、現地の関係機関に対する一元的なリクルーティン グや広報・情報発信機能の強化、日本語教育の充実等、留学生の受入れ及び卒業 後の活躍に向けた環境整備を進める。【文部科学省】

(48)アジア高校生架け橋プロジェクトによる国際交流の促進

アジア諸国を中心に日本語を学ぶ優秀な高校生を日本全国の高校に招聘する 「アジア高校生架け橋プロジェクト」などにより、日本の高校生との国際交流の 促進などを通じて、国際交流の環境を醸成する。【文部科学省】

(49)大学の国際化、キャンパスの質・魅力の向上

我が国の高等教育の国際競争力向上とグローバル人材の育成を図るため、徹底 した国際化に大学が継続的に取り組むような環境整備を行うとともに、オンライ ン教育も活用した優秀な学生の早期からの獲得強化に向けたプログラムの構築等 により、G7 や ASEAN 等の国・地域にある大学との互恵関係が維持されるための戦 略的取組を推進する。あわせて、世界から優れた学生や教員を呼び込むためのキ ャンパスの質及び魅力の向上を図る。【文部科学省】

4 国際学会の積極的な開催・誘致

国際学会の開催・誘致は、世界の最先端の研究成果等を日本にもたらす好機で あり、その開催拡大により、日本におけるイノベーション創出や、関係者間の協 業・ネットワーキングの機会の増加を図る。また、日本の若手研究者が海外の知 見に触れる機会を増やすことで研究の質の向上を図り、日本の研究環境の国際競 争力・魅力向上につなげる。

(50)国際卓越研究大学における国際学会開催数等の評価、国際共同研究の支援 の充実

国際学会や国際的なワークショップを我が国に招致するためには、国際卓越研 究大学が国際学会等を主導的に開催すること及び我が国研究者が科学トップサークルに入ることが必須である。例えば、新たな研究領域の創出は、我が国の大学 が、関連する大規模な国際学会や会議等が定期的に複数開催されて多くの研究者 が集う国際的な研究拠点のハブとなる上で重要な要素のひとつである。このよう な目指すべき方向性の実現に向けて、採択された国際卓越研究大学の取組実績を 評価するとともに、我が国と海外のトップ研究者による国際共同研究の支援を充 実し、両国研究者の重層なコネクションの形成を図る。【文部科学省】

(51)国際学会等の開催・誘致に向けた支援

研究者・団体が、自治体・企業等からの助成や寄付金等も活用しつつ、より積 極的に国際学会等の開催・誘致に取り組めるようにすることが必要である。文部 科学省は、海外の学術振興機関との交流など学術的な国際交流を促進しつつ、研 究者・団体による国際学会等の開催に向けた支援を実施するとともに、研究者等 による今後の国際会議等の開催予定なども含めた観光庁・日本政府観光局等への 情報共有や、観光庁・日本政府観光局による国際会議誘致・開催支援のための施 策についての周知を図り、官民の施策を挙げて国際学会等の開催・誘致を促進す る。【文部科学省、観光庁】

(52)福島国際研究教育機構による国際会議の招致、シンポジウム等の開催

福島国際研究教育機構が世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指すにあ たり、機構の知名度・信頼度の向上を図り、国際的な研究ネットワークを構築す るため、国際会議を招致し、あわせて国内研究者等が参加するシンポジウムやセ ミナー等を開催する。【復興庁】

(53)学会等国際会議の主催者等への助成、政府一体となった誘致・開催支援

我が国にとって重要な学会等国際会議の誘致を促進するため、誘致に取り組む 主催者等への助成を行う。また、関係大臣による招請レターの発出、在外公館で のレセプション開催等、政府一体となった誘致・開催支援を進める。【観光庁、関 係省庁】

Ⅲ 文化芸術・スポーツ・自然分野

【文化芸術・スポーツ・自然分野における目標】

○世界のアート市場における我が国の売上額シェアを7位に引き上げ (ランク外(R1) ⇒ 7位(R7))

○スポーツ目的の訪日外国人旅行者数を2割増加 (229 万人(R1)⇒ 270 万人(R7))

1 海外向けのコンテンツビジネスの育成・発展

海外でも評価されているメディア芸術(マンガ、アニメーション、ゲーム、メデ ィアアート等)をはじめ、日本の文化芸術コンテンツについて、個別の作品の枠を 超えて作家ごとの海外展開や包摂性のあるテーマに基づいた展開が著作権の保護が 図られつつ進むよう、その価値を伝えることのできる仲介者の取組の支援を図ると 17 ともに、各種コンテンツを海外向けに磨き上げ、世界から人を惹きつけるグローバ ル拠点の形成を推進することで、インバウンドの拡大を図る。

(54)仲介者への支援によるコンテンツの海外展開支援

文学作品やマンガ等を海外へ発信・普及させるため、作家ごとの海外展開や包 摂性のあるテーマに基づいた展開がなされるよう、その価値を伝えることのでき る仲介者への支援等を行う。あわせて、海外の文化や価値観を踏まえた翻訳や批 評を行うことができる海外の専門家の発掘・育成を行う。【文化庁】

(55)関係者協議会の構築等による文学作品・マンガ等の海外普及推進

我が国の文学作品やマンガ等を海外における批評家・インフルエンサーや図書 館、博物館、学校などの制度化された枠組みの中で価値付けるため、国立アート リサーチセンター、国内外有識者、出版業界等からなる関係者協議会を構築し、 図書館等への推薦作品リストを整備するとともに、文化的な影響力の大きい施設 (美術館、博物館等)における展覧会や国際ブックフェアにおける展示機会の確 保に向けた取組を進める。【文化庁】

(56)官民連携によるトップアーティストの発掘・育成支援

我が国の文化芸術の魅力を伝え世界中の人々を惹きつけていくため、ポップカ ルチャー領域を含め、トップレベルのアーティスト等を発掘し、グローバルレベ ルでのキャリアを積むことができる場への参加支援、海外におけるネットワーク の構築やプロモーション活動に関するサポート等の総合的な支援プログラムを官 民共同で実施する。【文化庁】

(57)メディア芸術分野振興の中核となる国際拠点の整備

メディア芸術は、広く国民に親しまれているだけでなく、海外でも高く評価さ れ、我が国への理解や関心を高めており、我が国の優れたメディア芸術分野の人 材育成を推進するとともに、振興の中核ともなる国際拠点の整備に向けた制度設 計等の検討を行う。【文化庁】

(58)文化観光拠点・地域の整備・日本遺産の磨き上げ

文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律等に 基づき、文化観光拠点・地域の整備を進めるとともに、博物館・美術館等の文化 資源の魅力をより効果的に伝えるための展示解説の充実及び案内機能の強化を図 る。 また、地域の文化施設や文化資源の高付加価値化による文化観光コンテンツの 造成とともに、チケットについて宿泊・食事等を組み合わせた販売やオンライン 販売など流通の促進を図る。

さらに、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリ ーとして認定された日本遺産について、地域の文化資源としての磨き上げを促進 し、その魅力向上や発信強化を行う。【文化庁、観光庁】

(59)博物館資料のデジタル・アーカイブ化の促進

博物館資料のデジタル・アーカイブ化とその公開・発信等の活用を一層加速す るとともに、特に海外在住者やインバウンド旅行者に対し、プラットフォームに おいて多様な観点で情報発信を行う。【文化庁】

(60)ビジネスコンテンツとしての伝統工芸の育成

我が国の伝統的工芸品産業の振興を図るため、(一財)伝統的工芸品産業協会が 実施する、伝統的工芸品の国内外への普及啓発や需要開拓、産地指導や伝統工芸 士認定事業などの支援を行う。【経済産業省】

(61)映像コンテンツ産業の海外展開推進・デジタル化

日本の魅力を発信することでインバウンド効果をもたらす我が国のコンテンツ 産業の海外展開・デジタル化を推進するため、AI や仮想空間技術等の先進的なデ ジタル技術を活用した魅力あるコンテンツ創出の取組や、グローバルな競争環境 に対応した映像制作、国際見本市やオンライン基盤を活用した情報発信等を支援 するとともに、コンテンツの制作・海外発信を通じて日本各地を PR する取組を実 施する。【経済産業省、総務省】

(62)国際的なアートフェアの誘致等の拡大

我が国がアートの国際的な拠点として成⻑し、国際的なアート・エコシステム の一大拠点となることを⽬指し、我が国の国際的なアートフェアへの出展等への 支援を進めつつ、国際的なアートフェアやオークションの誘致を拡大する。これ らの取り組みを通して、日本のアート市場を拡大し、世界のアート市場における 我が国のシェアを倍増する。 さらに、日本で開催されるアートフェアを目的として来日する高付加価値旅行 客の地方への誘客や消費拡大を推進するとともに、地方のギャラリー、美術館関 係者やアーティスト等との交流を促進する。【文化庁、観光庁】

(63)世界的クリエイターと地域企業との協業による観光資源開発支援

我が国が誇る地域資源を文化によって磨き上げることで魅力的な投資先・滞在 先としての我が国の認知を高めるため、デザイナーやアーティスト等、世界に既 に強い発信力を持つようなクリエイターと地域の企業等が協業して観光資源を開 発する取組を支援し、効果的なインバウンド需要の獲得を図る。【経済産業省】

(64)新国立劇場の舞台芸術のアジア拠点化に向けた人材育成支援等

新国立劇場を世界から集客可能なトップレベルの舞台芸術のアジアの拠点と し、グローバルに我が国の文化芸術を発信するため、我が国の文化に基づいた意 欲的・先進的な日本発のグローバルコンテンツの制作や国際的に活躍するトップ レベルアーティストの人材育成を促進するとともに、海外プロモーションを強化 する。【文化庁】

(65)近現代建築の維持・活用等を通じたコンテンツ化の促進

国際的にも通用するコンテンツという観点から、訪日外国人にとっても魅力の ある芸術性を有する近現代を中心とした優れた建築や風景(ランドスケープ)の 維持・活用を促進するため、対象の台帳化や取引・継承のためのマッチング促進 等を行う。また、魅力的な近現代建築の情報発信拠点として、国立近現代建築資 料館の機能強化を図る。【文化庁】

2 スポーツコンテンツビジネスの国際展開・スポーツツーリズムの推進

スポーツのコンテンツとしての国際展開を推進するとともに、プロスポーツや日本特 有の武道の積極的な活用、大規模国際スポーツ大会の開催支援により、インバウンドの 拡大を図る。

(66)スポーツコンテンツの国際展開

日本のスポーツコンテンツの国際展開を通じて海外での関心を高めるとともに、 試合観戦、スポーツ大会への参加等を通じてインバウンド需要を取り込むための効 果的な方策をスポーツ未来開拓会議において検討し、必要に応じ策を講じる。【経済 産業省、スポーツ庁】

(67)先端技術の活用や他産業との連携によるスポーツ環境等の向上・国際展開

バーチャル空間を活用したコンディショニングデータの収集・利活用を通じた健 康・競技スポーツ環境の向上、オープンイノベーションによるスタートアップを含 めたスポーツと他産業の連携による事業創出の推進、国際的な展示会出展支援やオ ンラインサイト等を通じた海外への積極的な情報発信などを通じて、日本のスポー ツ環境の魅力を発信し、海外からの誘客・人的交流を促進する。【スポーツ庁】

(68)プロスポーツ団体によるスポーツイベントの活用

プロスポーツ団体等が開催するスポーツイベントにおいて、チームに所属する外 国籍選手の出身国等、訪日外国人も対象にした観戦ツアー・競技体験活動・食事 会・交流会等の特別なコンテンツの提供や、日本のプロスポーツ等の魅力を国際的 に発信する取組を支援する。【スポーツ庁】

(69)武道等に着目したスポーツツーリズムを契機とした地方誘客の促進

インバウンドニーズの高い日本発祥・特有の武道、世界に誇る日本の特色ある自 然資源を活用したアウトドアスポーツ等に着目し、高付加価値コンテンツの創出・ 横展開や、担い手である地域スポーツコミッションの支援を進め、スポーツツーリ ズムによる地方への誘客を図る。特に武道について、海外の道場と繋ぐオンライン 稽古や、ミニ武道体験等の機会の創出を図る。【スポーツ庁】

(70)大規模国際スポーツ大会の開催支援

大規模な国際スポーツ大会を開催することは、国際親善、スポーツの振興はもと より、経済・地域の活性化などにも大きな意義を有するものであることから、今後 国内競技団体や開催都市等による大会の招致や円滑な開催に向けて、社会的気運の 醸成、参加する外国人の受入れ、開催ノウハウの共有等の必要な協力、支援を実施 する。【スポーツ庁】

3 ナイトタイム等におけるコンテンツの充実

美術館・博物館の夜間開館等をはじめとした文化資源の活用により、ナイトタイ ム等におけるコンテンツを充実させ、新たな時間市場を開拓することで、訪日外国 人の滞在時間の増加とインバウンドの消費拡大を図る。

(71)美術館・博物館の夜間開館等をはじめとした文化資源の活用

文化資源の観光資源としての魅力の向上を図るため、美術館・博物館の早朝・ 夜間開館を始めとした文化資源の活用、特別な体験の提供といった文化観光コン テンツの充実を図る取組や、美術館・博物館周辺の飲食店・販売施設・宿泊施設 等との連携を促進する。【文化庁、観光庁】

4 国際会議・国際見本市等の積極的な開催・誘致

文化芸術に関する国際会議の開催や、世界遺産、国宝等の文化資源のユニークベ ニュー利用等の推進、国際的なアートフェアやオークションの誘致によりインバウ ンドの拡大を図る。

(72)文化芸術に関する国際会議の開催

文化交流・協力による相互理解・人的交流の強化を図るため、我が国におい て、文化芸術に関する国際会議を開催する。【文化庁】

(73)世界遺産をはじめとする文化財の抜本的活用の促進

地方誘客を促進するため、全国各地において、我が国が誇る世界遺産や国宝等 の地域の魅力的な文化資源の活用(特別な歴史体験、夜間活用、ユニークベニュ ー利用等)を推進する。その際、各事業内容の高付加価値化とともに、文化資源の活用から保存への持続可能な好循環の仕組みを可視化し、特に高付加価値旅行 者に訴求する。 また、モダン建築(明治以降に建てられた建造物)や重要伝統的建造物群保存 地区等の文化財について、高付加価値化された宿泊施設、集客施設へのリノベー ション・コンバージョン(改修・用途変更)、滞在環境の整備を推進する。 さらに、三の丸尚蔵館について整備・建替えを進める。文化財関係者や教育委 員会等が文化財等の活用に主体的に取り組むことを促すため、文化財を活用した 好事例や文化財保護法に則した活用のポイント、ナレッジ集等について、セミナ ー・ワークショップ開催等のプッシュ型で周知するとともに、文化財の活用に関 する相談窓口を文化庁に設ける。【文化庁】

(74)国際的なアートフェアの誘致等の拡大

我が国がアートの国際的な拠点として成⻑し、国際的なアート・エコシステムの 一大拠点となることを⽬指し、我が国の国際的なアートフェアへの出展等への支援 を進めつつ、国際的なアートフェアやオークションの誘致を拡大する。 これらの取り組みを通して、日本のアート市場を拡大し、世界のアート市場にお ける我が国のシェアを倍増する。 さらに、日本で開催されるアートフェアを目的として来日する高付加価値旅行客 の地方への誘客や消費拡大を推進するとともに、地方のギャラリー、美術館関係者 やアーティスト等との交流を促進する。【文化庁、 観光庁】(再掲)

5 少数限定の宿泊体験・体験型コンテンツの提供

自然や文化・歴史資源を活用した富裕層向けの少数限定の宿泊体験・体験型コン テンツの提供や民間活用による国立公園の面的な魅力の向上、農山漁村の観光資源 の高付加価値化等により、訪日外国人の増加とインバウンド消費額の拡大を図る。

(75)富裕層を対象とした限定的な体験の提供

富裕層を対象としたアドベンチャーやアウトドアアクティビティ、文化・歴史 資源の限定的な体験等、特別な機会の提供を進める【観光庁】

(76)民間活用による国立公園の面的な魅力向上・ブランド化

国立公園の利用の高付加価値化に向けて、民間提案を取り入れつつ国立公園利 用拠点の面的な魅力の向上に取り組む。このため、環境省において利用の高付加 価値化を実践するための取組方針を策定した上で、複数の国立公園について、具 体的な事業の構想や実現性の検討を行う。 その中から、重点的に事業を実施する先端モデル地域を決定し、地域内の利用 拠点において地域関係者や民間事業者と連携して構想・体制づくりを進め、滞在 環境の上質化、地域の自然や暮らしに宿るストーリーを深く体験するコンテンツ の充実、質の高いガイド等の育成、限定体験の仕組みづくり等による最先端事例 の創出を進める。 今後、国立公園満喫プロジェクトを全 34 国立公園に展開していく中で、得られ た知見を最大限活用し、国立公園のブランド化を進め、国内外からの地方への誘 客促進に貢献する。【環境省】

(77)農山漁村の高付加価値化

令和7年度末までに農泊地域の年間延べ宿泊者数 700 万人泊実現を目指し、農 泊をビジネスとして実施できる体制の構築を進めるとともに、農山漁村の観光資 源の高付加価値化を図り、ゴールデンルートから一歩踏み出すインバウンドの地 方誘客と地方消費を促す。 特に、古民家の改修、泊食分離、多言語表示、キャッシュレス対応や、日本遺 産等を活かした農山漁村の観光資源の高付加価値化を進めることにより、インバ ウンドの富裕層にも訴求する滞在型農山漁村を創出する。 また、海や漁村に関する地域資源を活かした海業を漁港・漁村で展開し、地域 のにぎわいや所得と雇用を生み出すため、体験コンテンツの造成、受入環境整備 等を推進する。【農林水産省】

(78)ガストロノミーツーリズムの推進

日本の食・食文化体験の魅力等の発信により農山漁村へのインバウンド誘客に つなげる地域・取組を創出するとともに、GI 産品等も活用し、その土地の気候風 土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、食文化に 触れることを目的としたガストロノミーツーリズムの推進を図る。 また、訪日外国人が帰国後も地域の食文化・食体験を楽しめるよう、食体験 「商品」を磨き上げ、越境 EC による輸出に取り組む。さらに、JETRO・JFOODO は、JNTO と連携に関する覚書を締結したことを受け、ウェブサイト・SNS 等を活 用したデジタルマーケティングや国内空港を始め国内外でのプロモーションイベ ント等で連携し、日本の農林水産物・食品の輸出市場とインバウンド消費を相乗 的に拡大することを目指す。【農林水産省、観光庁】