愛 台湾 ひぐち日記【その2.台湾MICEに乾杯編】


4月10日から15日までの6日間、MICE関連のメディアを集めた台湾MICEツアーにピーオーピーは参加しました。

先週のメルマガでは、台湾到着初日、Wi-Fi事情と、TWTC(台北世界貿易センター)やTICC(国際会議センター)など、国際展示場・国際会議場周辺エリアのナイトライフ環境視察のもようをお伝えしましたが、2日目からは、いよいよ中国・英国・日本と、3国4メディアの記者たちとメディアツアーがスタート。台湾MICEを支えるさまざまな立場の関係者からお話を聞くため、まずは台北市内の4か所をめぐりました。

■Kuei Jung Exhibition Co.,LTD.

最初にお話を伺ったのは、展示会主催・運営会社Kuei Jung Exhibitionの総経理(社長)の周孝慶さんです。BtoC展を中心に年間約40本の展示会を主催。台湾の展示会主催会社のなかでも、台北・台中・高雄の3か所に支店をもつ唯一のPEOです。旅行や玩具、電化製品など多岐にわたる分野の展示会を立ち上げてきました。同社の代表的な主催展は、漫画とアニメの展示会。昨年8月の展示会「2013 The 14th Comic Exhibition」では、これまでで最多となる58万人の動員を6日間で達成しています。
1989年の会社設立当初は、外資系主催会社の代理業務から開始、BtoBの展示会を扱っていましたが、20年ほど前に自ら主催業務をするようになり、BtoCの展示会主催へとシフトしたといいます。

58万人の来場者を集めた「2013 The 14th Comic Exhibition」

「BtoC専門のPEO(Professional Exhibition Organizer)となったのは、産業構造の変化が理由として挙げられる。消費財の展示会に関して言えば、台湾では以前より国際展示会の必要性が減少してきている。それは、輸出よりも国内需要を拡大する傾向にあるから。日本や中国でもBtoCに強い市場の産業展示会は将来性あるのではないか」と周さんは話します。
消費動向を捉え、昨年はシルバー向けの展示会、健康産業の展示会を新規に立ち上げている。また、台湾の3か所で展示会を主催・運営する上では、地元の

商習慣にローカライズすることが重要で、同じ台湾でも北と南でも違うもの。地元に密着した企業と共同で進めていくことが展示会成功の秘訣だといいます。

■TECA(Taiwan Exhibition and Convention Association)
次に訪れたのは、台湾の展示会および会議関連の企業・団体約140社が会員となっているTECA。副理事長であるKitty Wongさんに対応いただきました。TECAは2008年6月18日に設立された団体で、展示コンベンション産業の促進・経済的発展を目的に、TECAメンバーの関係を調和させ、共通の利益を促進するなど、政策や法律の実施面で政府のMICE推進を支援している団体です。会員間の交流だけでなく、国際交流の促進も大きな活動の一つで、国際団体AFECA(Asian Federation of Exhibition & Convention Association)にも加盟しています。
ちなみに、Kittyさんご本人はK&A International社、Expo Union Corporation社の社長も務めており、国際的に幅広いネットワークをもち、つい先週も日本のPCO会社の社長とミーティングをしてきたばかりだと言います。(弊社媒体では以前K&A International社の代表としてインタビュー記事を掲載しました。)

ウェルカムボードでメディアツアー一行を迎えてくれた

「TECAメンバーにはPEO、PCO、メディア、設計・デザイン、旅行会社、運輸、宿泊、人材、会場運営などさまざま。お互いにできないことや能力的にむずかしいことなどをTECAとして請け負い、補完しあうことで実現しています。たとえば、海外での展示会運営を検討していた会員会社が経験豊富な他の会員会社とコラボレーションして実施するなど、TECAはそのつなぎ役となっているのです」とKittyさんは話す。そのため、会員間の情報共有にも力を入れており、fax、e-mail、webサイトとeメールニュースで連携を取り合っているという。

 

■経済日報
3件目は、台湾の経済紙メディアで最大手である経済日報へ。35万部を発行する経済日報では、展示会主催事業も30年来続けており、さきほど訪れたTECAのメンバーでもあります。BtoBの専門展示会を年間約10件開催しており、もっとも規模が大きい自動化工業展は、台北・台中・高雄と3か所で展開。そのほか、建材、クルマなどの展示会も手がけています。また、台湾では民間で初の会場建設・運営を台中で行なっている。

逆取材を受け、メディア一行が訪れたという記事が掲載された(下部分)

総経理(社長)兼董事長(会長)の周祖誠さんは、「メディアにとって、専門展を手がけるメリットは、第一に全体の売上の12~13%のシェアがあること、第二に新聞の読者数増につながること」と話す。展示会は現在国内市場がメインとなっているが、今後は国際展示会としての拡大を目指し、UFI(世界見本市連盟)などとのコンタクトも頻繁に行なっているという。また、各国の展示会サービスについて研究開発を進めており、今年からアプリ開発にも着手、4月23日からの「高雄自動化工業展」から開始、出展メーカーの情報や会場マップ、ブース紹介などの機能を備え、来場者向けに提供していく。

そのほか、北京や香港で企業の経営者を参加対象とした経済フォーラム事業も進めており、メディア、イベント、会場と連携しながら、台湾のメイン産業の情報プラットフォームとしての役割を果たしている。

■TAITRA(台湾貿易センター)
メディアツアー1日目のさいごには、TAITRA副秘書官であり、台湾MICEの国際マーケティングプロモーション“MEET TAIWAN”の推進役である葉明水マネージングディレクターに最新動向のプレゼンテーションを受けました。場所は、TAITRA本部のある世界貿易ビルの眺望のよい一室。
MEET TAIWANは、2010年度から台湾経済部国際貿易局がMICE産業の推進業務を手がけ、2億元の資金を割り当て「台湾におけるコンベンション拡大計画(=MEET TAIWAN)」プロジェクトとして発足させているもの。
葉さんは「MEET TAIWANの推進によって、グループ団体客数は年間2400万人となりました。IT、電子部品の製造拠点でもある台湾では技術者向け会議も多く、
台北はアジア第4位の国際会議都市となっています。展示会分野でも、国内向けの展示会だけでなく国際展示会開催に向けても注力しており、今年は高雄展覧館がオープンするほか、2017年には台北のTWTC南港を拡大し、合計で10万平米・6500ブースを展開できる大型展示会場へと発展させます」と今後の計画を明かした。

MEET TIWANの説明を受けるメディア一行(世界貿易ビルにて)

その後、同じ場所でメディア一行は、MEET TIWANのメンバらーとuniplanで高雄展覧館を担当している陳乗鴻さん、TECAのKittyさんも合流し、夕食とともに、台湾式乾杯をしました。

乾杯のようす

台湾式ではグラスを少し高くかかげ「乾杯」と杯を空中で合わし、くいっと一気に飲み干します。そして、グラスの底を皆にみせて「杯を乾かしましたよ」ということを示します。グラスをテーブルに置くと、すかさず次のお酒を注がれるという格好。ワイングラスにほんの少し(日本の1/5程度)しか注がれないのは、この「乾杯」用のジャストな量だというやさしさに気づきました。発音も「カンペイ」と日本語と似た親近感も手伝って、円卓のみなさんと目が合うとこの「乾杯」を繰り返すという文化交流で1日目を締めくくったのでした。

4か所をめぐりましたが、中国の展示会専門メディアからは幾度となく台中間の連携についての質問がありました。MICE産業はサービス業にカテゴリーされる分野であり、その分野ではまだ貿易締結がなされていないことや、情報共有の必要性があることなど、まずは国家・政府間の支援が待たれるとのこと。優遇措置などの政策的対応が先決のようです。

1日目、MICEの「E」のソフト面についてBtoCの、BtoBの各主催者からの話には、20年、30年と台湾産業の成長とともに展示会を育ててきたという自負とともに、常にいまのニーズを捉え最先端のトレンドを発信・提供していくという意欲を感じました。その実現のために、TECAのメンバーシップやMICE推進に向け国策として進めるMEET TAIWANが推進力となっています。立場は違えど、お会いした4者それぞれの皆さんがもつ使命感が台湾MICEを大きく前進させているという印象を受けました。(ピーオーピー樋口陽子)

 

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その1.台北入域編~Wi-Fi事情と台北101周辺夜の散策