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ドワンゴ、サブカルコンテンツ制作サービスの提供を開始

ドワンゴは2024年1月9日、サブカルチャーを軸としたコンテンツ(動画・生放送・イベントなど)の企画から制作までワンストップで行い、クライアント企業のマーケティング課題の解決につなげるサービス「Subculture Contents Studio」を開始した。

同社が「ニコニコ」のWebプラットフォーム事業や「ニコニコ超会議」などのイベント事業を通じ、サブカルコンテンツ制作を行ってきたノウハウとクリエイターとのネットワークを活用し、クライアント企業が抱える課題の解決に向けて動画・生放送・イベントなどのコンテンツを企画から制作までワンストップで行う。

制作可能コンテンツはWebCM、生放送・収録番組、楽曲・PV、音声広告素材、イベント(リアル/オンライン)、イラスト、LP/特設サイト、振付など。対象ジャンルはボーカロイド、ゲーム、声優・アーティスト、踊ってみた、コスプレ、VTuberなどとなっている。

制作したコンテンツは、ニコニコのサービス内に限らず、Web CM・ネット番組・イベントなどあらゆるプラットフォームで自由に活用することができる。

コングレが大阪で新たに2つの「コングレスクエア」を開設

コングレは大阪に新たに開設する2つのMICE施設の名称を決定した。

同社はこれまで「ハイクラスな空間と+αのサービスの提供」というコンセプトのもと、東京にMICE施設「コングレスクエア日本橋」「コングレスクエア羽田」を展開してきた。そしてこの度、大阪に2024年春頃「コングレスクエア大阪中之島」を、2025年春頃「コングレスクエア グラングリーン大阪」を開設する運びとなった。

「コングレスクエア大阪中之島」は医療機関と企業、スタートアップ、支援機関等が一つ屋根の下に集積することを特徴とする全国初の未来医療国際拠点「Nakanoshima Qross(中之島クロス)」(運営:未来医療推進機構)の1階に位置し、320㎡のメインホールと150㎡、100㎡のカンファレンスルームを有する。16~26㎡の会議室も5室備えており、未来医療共有の場としてはもちろん、国際会議、ワークショップ、配信イベント、懇親会等、あらゆるシーンに対応する。

「コングレスクエア グラングリーン大阪」は2024年9月に先行まちびらき予定のうめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」に2025年春頃開業予定。南街区パークタワー4階に位置し、約750㎡の大ホール、約450㎡の小ホール、大小12の会議室等を有する。リラックスしたミーティングから、イノベーティブなイベント、人と知が集う国際会議等、うめきた公園や周辺施設と協力・連携しながら、より豊かな「つながり」を育む場所となることを目指す。

同社は今年10周年を迎えた「グランフロント大阪」の「ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター」に加え、「コングレスクエア大阪中之島」、「コングレスクエア グラングリーン大阪」と3つのMICE施設を運営する強みを生かし、今後さらに周辺地域と連携した催事の誘致や企画等に積極的に取り組み、大阪を起点とした情報発信や国際集客・交流の促進を図っていく。

 

[インタビュー]展示会の多様な側面を理解する – シーマ・石丸 隆 氏

本記事は2023年12月15日発行の『見本市展示会通信』912号で掲載した内容の一部をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

 

 出展者や来場者、サービスプロバイダーという異なる視点から展示会を見ることは、展示会の全体像をより深く理解するのに役立つ。それぞれの視点から豊富な経験をもつシーマ・常務取締役の石丸隆氏に話を聞き、展示会出展の成功要因を探る。

●出展者として
――出展者として展示会をどのように活用していますか
 年に5回程度、定期的に出展しており、直近では「第4回大阪・関西万博開催支援EXPO」に出展しました。IP/ITプラットフォーム「KAIROS(ケイロス)」を展示し、使い方や機能の提案を行いました。またLEDディスプレイの展開にも注力しており、毎回の出展では主力製品のアピールの場として活用しています。
 展示会の魅力は、普段の営業活動の中では出会うことが難しい来場者と直接コンタクトが取れること。コロナ禍を経てさらに、Face to Faceである展示会の必要性が再認識されたと考えています。
 また、映像機材を扱う当社としては、来場者に実機やデモを見てもらえるのは意味があり、カタログ以上の情報を知れる場として貴重だと考えています。展示会場で交換する名刺は、非常に価値の高い情報ですが、私たちは名刺交換を目的とするだけでなく、出展後も継続的なコミュニケーションを取るように心がけています。

●映像のプロとして
――映像機材を使った展示でユニークな事例を教えてください
 展示会ではありませんが、以前、京都府宮津市にある元伊勢籠神社で開催された京都府域展開アートプロジェクト「もうひとつの京都 ALTERNATIVE KYOTO」で、インタラクティブインスタレーション作品「CONTROL NO CONTROL」の展示をサポートしました。神社仏閣のそばに一辺4mの立方体LEDキューブを設置するという、非日常的な空間のアート作品です。
――相当大きなサイズです
 動画などをディスプレイの1ドットごとに対応させて表示することを“ドットバイドット”といいますが、アーティスト側からは拡大したり圧縮したりせず、1ドットを解像度ぴったりに合わせることを求められました。そうでないと、アーティストが本来表現したいものが再現できず、作品として完成しないからです。LEDのサイズ感は、現場設置環境と表示解像度を妥協しない組合せによって生まれた結果です。


▲京都府宮津市・天橋立(元伊勢籠神社)で開催されたアートプロジェクト「ALTERNATIVE KYOTO 2022 」でシーマがサポートした作品「CONTROL NO CONTROL」には3.9mmピッチ屋外用LEDディスプレイが使われた。LEDディスプレイの上部にセンサーが設置され、画面に手を近づけることでインタラクティブなコンテンツが体験できる。

――技術や製品の進化についての考えをお聞かせください
 機材の目まぐるしい進化の中で、特筆すべきは軽量化とコンパクト化。軽く小さくなることで、運搬したり設置したりする我々の作業負担が軽減することはもちろんですが、設置できる場所や使い方が増えることで演出の自由度も上がったといえます。例えば、LEDディスプレイは、以前より天井から吊ることも、床に設置することもできましたが、今ではより薄くなり、曲げることもできます。機材そのものの高性能化は今後も進んでいくので、コンテンツの最適な組合せと多様化が期待できます。
 また、その進化に伴って機材オペレーターの一人の対応領域が広がっています。従来は二人必要だった演出が、自動化やプログラムによって一人で実現できるようになったことは、省力化という観点でみると大きな恩恵です。その一方で、オペレーターに求められるスキルは高まっています。機材を使いこなせることも重要ですが、加えてコンテンツデータの扱い方にも配慮が必要になっています。このように、オペレーターの負担が増えている側面もありますし、今はオペレーター不足も喫緊の課題です。我々としてはそれらの課題解決に向けた実現性のある製品を積極的に導入したいと考えています。
――展示会でも映像機材は多く使われています
 来場者に映像を届けるサポートを行う立場として最近思うことは、機材のハイスペック化が展示ブースの意匠を潰していないかということ。昔の映像機材は映像が暗かったり、画面が小さいなどの課題がありましたが、現在はそのようなことはありません。今は逆に明る過ぎることで、来場者を疲れさせたり、本来見せたいはずの出展品が目立ちづらくなるのではないかと懸念しています。実際の現場では、機材スペックの半分の明るさで調整することさえあります。映像は視覚効果なので、押しつけがましさを感じるくらいに表現することもできますが、ブース全体のバランスに配慮して調整できるスキルや判断は必要になってくると考えています。
 私自身が来場者として展示会に行ったときにも感じますが、数分程度の映像を見て「綺麗!だけど疲れた、目が痛かった」と来場者に思わせてしまっては、せっかくの訴求映像も台無しになります。

●来場者として
――バイヤーの立場で海外の展示会にも足を運んでいるようですね
 映像業界の代表的な海外展に「Integrated Systems Europe(ISE)」や「InfoComm(インフォコム)」があります。2024年、日本映像機材レンタル協会(JVRA)という業界団体が主催する視察ツアーに私も同行します。情報収集のみならず、現地で商談や機材購入を行うこともあるため、重要な機会であると位置付けています。
 海外の展示ブース空間には来場者を満足させるホスピタリティの工夫が見受けられます。ゆっくりと商談できるスペースも日本より重要視されています。展示会のブース内で、最終的な受注決裁が行われているのではないでしょうか。
――製品選定のポイントは何でしょうか
 機能面や性能面はもちろんですが、我々の業務にとっては機動性や機材設置のしやすさが大きなポイントです。性能は優れているし、映像は美しいが、非常に重量のある製品は検討しづらい。さらに現実的な問題として、我々は機材のシステム管理やオペレーションなどはバックヤードで行いますが、そのスペースは限られています。そのため、機材設置面での省スペース化につながる製品は選びやすいです。基本的には、機材の軽量・コンパクトという特徴はプラス要素でしかありません。
 さらに付け加えるなら「映像技術の未来」を感じられる製品に対しては心が躍ります。日々、新製品のテクノロジーには驚かされますし、今後も止まることなく進化を続ける分野だと期待しています。

●シーマとして
――シーマや業界の今後の展望をお願いします

 近年、コロナ禍による業界全体の困難を経験しましたが、当社はこれを機に時代の流れに沿って、新しいフェーズへの移行を進めています。MICE関連事業の映像分野における機器レンタルやシステム運用、オペレーション、常設設備の機器提案、設計、施工、保守、販売、さらにコンテンツ制作やシステムプログラム事業と幅広く展開する中で、機材の価格高騰や人件費の上昇、人材不足、働き方の見直しなど、乗り越えるべき課題も多く存在しています。
 しかしながら、映像機材に関連する業界は今後も成長を続けるものと認識しています。これまでの歴史を振り返ってみても衰退期はなかったのではないでしょうか。大型映像はますます多様性を増しており、国内外の通信環境の整備とともに、IP化の潮流が映像業界に新たな可能性をもたらしてくれます。2025年の大阪・関西万博に向けて、大阪に本社を置く当社としましても、しっかりと向き合い取り組んでいきます。今後も「人を育てて、学び、成長する」をスローガンに事業拡大に邁進します。

東京ドームシティ内新劇場「IMM THEATER」オープン こけら落とし主演は明石家さんま

東京ドームシティ内の新劇場「IMM THEATER(アイエムエムシアター)」が2024年1月10日にオープンする。こけら落とし公演はシアターの名付け親でもあるタレント・明石家さんまが主演の「斑鳩の王子(いかるがのみこ)ー戯史 聖徳太子伝ー」。

IMM THEATERは東京ドームと吉本興業ホールディングスが共同で建設し、2022年12月12日に着工、2023年11月に竣工した。705席の座席数を有しており、運営は吉本興業ホールディングスのグループ会社であるLIVE FORWARDが行っている。

2023年2月28日に行われた記者発表会の場で明石家さんまがDM(Don’t Manager=マネージャーではないが舵取りを行う存在)に就任すると発表され、座右の銘である「生きてるだけで丸もうけ」からIMMという名称が付けられた。

今回、明石家さんまがIMM THEATERに込めた思いを表現し、IMMを「愛」「笑」「夢」の3種の漢字でビジュアル化した新たなロゴを作成し、劇場正面入口にモニュメントとして掲示。「愛笑夢笑夢(あいえむえむ)」は今後、「IMM THEATER FANCLUB」名としても使用される。ロゴと同様、奈良・薬師寺の安田暎胤(やすだ・えいいん)長老が揮毫した書に、ジミー大西の絵を融合させた。

開業を記念し、こけら落とし公演期間中には明石家さんまDMの期間限定フォトスポットを東京ドームシティ内に設置する。

【能登半島地震】石川県産業展示館に支援物資集まる

令和6年能登半島地震をうけ、各社による石川県への支援物資の提供が実施されている。

ファミリーマートは、おむすび、パン、水、簡易トイレといった支援物資を提供。

セブン&アイ・ホールディングスは天然水・セブンプレミアム 醤油ヌードル・カレーヌードル・シーフードヌードルといった支援物資を提供。

届け先は石川県産業展示館などとなっている。

県では企業・団体からのまとまった規模の義援物資の提供を受け付けている。

ただし現地への直接の搬入は、交通渋滞等により救命活動等の妨げとなる場合があるため、まずは石川県厚生政策課への連絡を呼び掛けている。

https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kisya/r6/documents/0105_1630_kouseiseisaku.pdf

「第913号 見本市展示会通信」発行しました


 

 

展示会やMICEなどに関する最新ニュースを伝えるタブロイド判の業界紙「第913号 見本市展示会通信」を発行しました。

主な記事
・〈座談会〉「持続可能」を目指す社会にイベントはどう寄り添うか
 /サステナブルイベント協議会
・年頭所感
・〈連載〉「米国流の展示会ビジネス実践法⑩」管埜寛之氏
・〈分析〉2024 年の見本市展示会開催状況

発行について:第913号 2024年(令和6年)1月1日

☞「見本市展示会通信」の詳細はこちら<

【新たな仕組みを策定】「東京2025世界陸上」は代理店通さずスポンサーシップ販売

一般財団法人東京2025世界陸上財団は2023年12月に第6回理事会を開催し、「東京2025世界陸上」の財政計画やスポンサーシップ販売方針の策定について発表した。

公正で信頼される、新しい国際スポーツ大会を実現していくため、新たな仕組みとして、スポンサーシップ販売については代理店を通さず、公募により入札を実施する。

【スポンサーシップ販売方針の策定について】

世界陸上のスポンサーシップは、WA(ワールドアスレティックス)スポンサーと東京2025世界陸上スポンサーに区分されている。

<スポンサーシップ販売方針>

⚫ 財団による直接販売
⚫ 公募・入札の実施により透明性の高いオープンで新しい手法を採用
⚫ 1カテゴリー(業種)1社
※カテゴリー:スポンサー企業が自社を東京2025世界陸上に関連付けて広告宣伝することが
できる製品又はサービス
⚫ 公募のうえ、協賛金額による入札を実施(入札額が大きい企業を選定)

<販売方式>

【原則】
• スポンサー権利の行使期間を十分に確保できるよう、協賛基準額の高い東京2025世界陸上公式プリンシパルサポーターから販売を開始(1月中に公募開始予定)
• カテゴリーごとに公募のうえ、協賛金額による入札を実施(入札額が大きい企業を選定)
• スポンサー契約にあたっては、外部有識者も含む財団内の契約・調達委員会において、入札前・入札後の状況を確認し、契約手続きの妥当性・公正性を担保したうえで、全件を理事会で決定

【例外】
• 特別契約(個別契約)に移行する場合
1)WAからの条件が付された場合(例:WAスポンサー等への権利販売)
2)入札の結果、応札者がいない場合
• 早期に大会までの調達規模を提示できるカテゴリーについては、協賛金額と調達金額を同時に入札
(この場合、スポンサーとなった企業の調達金額を公表)

<情報の取り扱い>

【公表】契約者、カテゴリー、権利概要、協賛基準額、入札参加者数
• 公正で信頼される、新しい国際スポーツ大会を実現していくため、新たな仕組みとして公募・入札方式を採用するとともに、スポンサーの協賛基準額や、入札における参加者数等を公表し、公平
性・透明性を確保していく。
【非公表】契約金額及び各社入札額並びに契約者以外の参加者
• 契約金額及び各社入札額:協賛金額は、各企業が様々な要素を踏まえた経営戦略に基づき入札する金額であり、公表することによって企業経営に影響を及ぼす恐れがあるため。
• 契約者以外の参加者:入札の結果が明らかになることで、各社の企業イメージ及び経営に影響を及ぼす恐れがあるため。
※ 非公表情報に係る妥当性・公正性の担保
外部有識者も含む財団内の契約・調達委員会において、入札前・入札後の状況を確認し、契約手続きの妥当性・公正性を担保したうえで、全件を理事会で決定

【東京2025世界陸上 財政計画(支出)】

仮設等 30億円
・仮設設備 <大会運営のためのオーバーレイ>
・情報設備 <情報システム、通信インフラ、音響/映像機器、IT環境の整備>

輸送等 15億円
・国内輸送 <アスリートをはじめとする大会関係者に対する国内輸送サービスの提供>
・警備 <観客や大会関係者などの安全・安心を確保するための警備の実施>

オペレーション 55億円
・競技関連 <トラック&フィールド競技、マラソン・競歩競技の運営、競技用物品の調達、
アスリートに対する賞金の負担、イベントプレゼンテーションの実施に必要な経費の負担>
・会場関連 <競技会場等における観客の案内・誘導、こどもの観戦>
・宿泊・飲食・渡航 <アスリートをはじめとする大会関係者に対する宿泊・飲食・渡航サービスの提供>
・ボランティア <ボランティアの選考・採用、研修の実施>
・医療 <アスリートをはじめとする大会関係者に対する医療サービスの提供、アンチドーピング活動>
・会場等の装飾 <会場などの装飾の計画・実施>
・式典 <開閉会式、メダルセレモニーの実施>

オペレーション 55億円
・競技関連 <トラック&フィールド競技、マラソン・競歩競技の運営、競技用物品の調達、
アスリートに対する賞金の負担、イベントプレゼンテーションの実施に必要な経費の負担>
・会場関連 <競技会場等における観客の案内・誘導、こどもの観戦>
・宿泊・飲食・渡航 <アスリートをはじめとする大会関係者に対する宿泊・飲食・渡航サービスの提供>
・ボランティア <ボランティアの選考・採用、研修の実施>
・医療 <アスリートをはじめとする大会関係者に対する医療サービスの提供、アンチドーピング活動>
・会場等の装飾 <会場などの装飾の計画・実施>
・式典 <開閉会式、メダルセレモニーの実施>

予備費 5億円
計 150億円

 

 

今週の展示会のスケジュール(1/9~1/14)

1/9~12/14 開催の展示会

▽千葉

1月12日(金)〜14日(日)
幕張メッセ
東京オートサロン2024

▽東京

1月11日(木) ~ 12日(金)
東京ビッグサイト
WOODコレクション(モクコレ)2024

【リニア中央新幹線】品川-名古屋間の開業が「2027年以降」に変更

東海旅客鉄道株式会社は12月28日、中央新幹線品川・名古屋間の工事の完了時期について、令和9年から「令和9年以降」へと変更する認可が、国土交通大臣に受領されたと発表した。

南アルプストンネル(静岡工区)のトンネル掘削工事に未だ着手の見込みが立たない状況を踏まえた延期となる。

工期の見通しが立った段階で、改めて工事の完了の予定時期の変更申請を行う。

画像出典:国土交通省

【インタビュー】
「夢を見る、売る、買う」 空間を創る【山元】

大手百貨店やイベント会場、商業施設などへの什器レンタルを手掛ける山元は2023年8月に創業60周年を迎えた。

近年はM&Aと事業拡大にも取り組んでおり、レンタルサービスのみならず装飾や設計などを含めた包括的な空間提案へと事業の幅を広げさらなる成長を目指している。

今回は代表取締役山元彩容子氏に話を聞いた。

(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2023年10月15日号)に掲載された内容です)

ディスプレイや改装も含めた包括的な空間を提案

 
―新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されてから数カ月、変化は感じますか

コロナが始まってから数年間、人が集まるイベントや祭りは減少しましたが、最近は弊社の仕事量も元の状態に戻りつつあります。百貨店を始めとする様々な場でイベントが再開されてきていますね。

―近年、取り組んでいるM&Aと事業拡大について

実は、特に積極的なM&A戦略を採っているというわけではないんです。アートクリエイティブスタジオとは以前から協力会社として一緒に仕事をしていました。ある日、先方の社長と話す機会があり、もっと多くのことに挑戦したいという思いを知りました。

今、彼らはラグジュアリーブランドとの取引が多く、業績も右肩上がりです。我々はお互いに一緒になることで多くのメリットがあると感じていました。アートクリエイティブスタジオはソフト面、つまりデザインや装飾に長けており、山元はレンタル什器に特化しているためハード面で強く、互いの強みを活かすことでより強固で良い形が生まれるのではとなったんですね。

ウエタニは、後継者問題でM&Aの買い手企業を探しているという紹介を受けたことがきっかけでした。彼らは大阪に本拠地を置く創業100年以上の家具製造業者で、ラグジュアリーブランドの店舗内装や、駅ビルといった大きなプロジェクトで強みを持っています。

山元も内装事業に興味を持っていました。特に関西地域での拡大も考えていた時期で、内装は人手不足も問題となっていたため、M&Aのタイミングとして非常に良かったんです。

コスモ企画とは、百貨店の食品売り場などで長年一緒に仕事をしてきました。大規模な食品イベントでは両社とも必要なときにお互いの資源を活用し、助け合ってきました。なぜ什器レンタルという近い業種でM&Aをするのか、疑問に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに我々も食品の見本市や各種イベントで什器を提供しているのですが、コスモ企画は食品会社やスーパーマーケット、食品関係のフェスなど、食に関してより多様な案件まで細かく、多数をカバーしています。

得意分野が違うため重なる部分も少なく、また山元は食品関連だけでなく他の什器も持っているので、それがコスモ企画の取引先で活かされることも期待できます。その高い営業力も評価しています。

我々は基本的にM&Aを行う場合も、流通業界からはみ出るつもりはありません。我々の目指すビジョンは、流通業界で「山元がいるから安心」と言われるような立ち位置を確立することです。

今回ご縁があって3社にグループへ入ってもらったのですが、全て同じ業界内で展開しています。彼らがこれから先、さらに進化して大きくなるにあたって、「山元の力が一緒になるともっとこんなことができるよね」と夢を持ってお話をいただいた感じなんですよね。

各社の連携はすでにスタートしています。例えば、山元のレンタル什器を使っているクライアントが関西や九州方面のショップの内装変更を考えている際はウエタニにお願いしたり、ラグジュアリーブランドの仕事はアートクリエイティブスタジオが長けているので、そちらにお願いしたり、各案件で山元のレンタル什器のオプションをお客様に提案することもあります。

グループ内での協力が進んでいくことで各社の持っている強みを活かしつつ、必要なものを一緒にご提案でき、より多くのお仕事ができるようになっています。お互いに強みや足りないところをどんどん話して、じゃあこれをアートクリエイティブでやって山元としてはこっちでサポートしますよとか、これはウエタニが得意な分野だからバトンタッチして山元はこっち側でフォローしますよとか、そういうことも今やり始めています。

山元グループの強みとは

 
―環境問題への取り組みについてお聞かせください

社会のSDGsや環境問題に対する関心の高まりを受けて去年、ISO認証を取得しました。認証がないと外資系の得意先やラグジュアリーブランドと今後取引が難しくなる可能性もありました。

元々レンタル什器はその性質上、SDGsにも貢献しています。使用が終わった什器はセンターに戻り、必要な修理や清掃が行われ、再び出荷される。このサイクルによって無駄な廃棄が防がれ、持続可能な利用が実現しています。

間伐材を活用した什器や、衣料品素材を再利用した什器なども社内で製作しているんですよ。

―山元の強みや顧客に評価されている点は何だと思われますか

山元はレンタル什器の業界では最も歴史ある会社です。そのため、保有している什器の種類や台数も一番多いんです。自社で全てがまかなえるという点は弊社の特長です。例えば、一軒の百貨店を一社で手がけられるのは、おそらく我々しかいないと思います。

多種多様なレンタルニーズに応えられるのも、弊社ならではの強みです。グループ全体で装飾や造作も手がけられますし、内装関係も対応可能です。

また、自社でトラックも運転し、社内で製作した機動力の高い什器を使用していますので搬入搬出もスピーディで、お客様からも高い評価をいただいています。多くのベテランスタッフがおり、みな頼りにされています。倉庫の機械化、自動化も進んでいます。

「夢を見る、売る、買う」空間を創る

 
―今後の方針、ビジョンについてお聞かせください

我々は「夢を見る、売る、買う」空間を創ることをビジョンに掲げています。

たとえば、高額な車や時計を「買う」ためにお金を一生懸命貯めるとき、目標に向かって努力を続けようやく手に入れたときに感じる達成感は、まさに夢を果たしたという感覚に近いです。あるいは絵画展などで芸術を「見る」ことで感性を育み、何か夢を見てもらえることもあるかもしれない。

我々の商品やサービスは、単なる物品以上の価値がある「夢を売る」ことにもつながるのではと考えています。

私が子供のころ、創業者である父はよく百貨店に連れて行ってくれました。当時の百貨店は、楽しいおもちゃ売り場や憧れのお子様ランチ、食料品売り場に行けばおいしそうなケーキがたくさん売っていて、母から「明日デパート行くよ」と言われると嬉しくなって、何を着て行こう何を買ってもらおうと、ワクワクドキドキする空間でした。

百貨店は今どんどん変化していますが、さっき話したような「夢」を買いに来られたりする方たちも結構多いのでないでしょうか。そういう空間づくりのお手伝いをさせて頂けることは、とてもありがたいと思います。

山元グループは流通業界という枠の中で多角的な事業を展開しており、日々、何ができるのか常に模索しています。

最終的な目標は、流通業界において山元グループが欠かせない存在になること。これは夢のような話かもしれませんが、そこまでしっかりと根を張り、自分たちのできることをやらせて頂きたいと考えています。

まだまだ自分たちでも見えていない可能性が多数あると思うので、勉強しながら様々なチャレンジをして、山元を必要としていただける、お客様に満足していただける空間づくりをこれからもずっと目指していきたいと思っています。