
ヘリコプターによる空撮とCGの鳥との ハイブリッド・アニメーション

ビジネスジェットによる空撮とCGの廃墟とのハイブリッド・アニメーション

ヘリコプターによる空撮とCGの鳥「百禽」とのハイブリッド・アニメーション

「百禽」の床面映像

パビリオンの透視図
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展示内容の具体化にあたっては、1カ月に1度の割合で「テーマ展示開発会議」を開催。参加4社の代表者が集まり、進捗状況の確認と共に意見交換を行い、出展者側の意図を押井監督サイドに伝えた。また、アニメ映画「千と千尋の神かくし」で、アカデミー賞受賞の宮崎駿監督が所属するスタジオジブリの鈴木敏夫事業本部本部長らにアドバイスを受けた。さらに、本製作前に作ったデモ映像によるモニター会議(2003年11月10日)を開き、名古屋大学の堀内守名誉教授、ソプラノ歌手の下垣真希さん、劇団四季のシアターアドバイザーの小鹿智子さんらのメンバーから、内容についての意見を広く集め、内容の充実に努めた。
ペーパー上及びデモ映像上での展示開発段階を経て、2003年12月16日、東京都調布市の日活撮影所を会場にして、実際に使用する予定の機材を用いた映像テストを実施。併せて、「千と千尋――」など数々のジブリ作品の録音演出を担当し、テーマシアターの音響監督を務める若林和弘氏が音響テストをした。
万博会場では、床面映像などの展示があらかた出来上がった2004年11月29日には、日本心理学会理事長の辻敬一郎(中京大学大学院心理学研究科長、名古屋大学名誉教授)さんを現場に招いた。世界初の映像装置だけに心理学の側面からも来場者に負担がかかることの無いように問題個所をチェックいただき、万博本番での運営にも万全を期した。

パビリオンは出展面積の800?uを目一杯生かした、床面が楕円の円筒形状(長径29m、短径25m、高さ20m)。「20世紀に壊れかけた地球環境を取り戻そう」をメッセージとし、名付けられたタイトル「めざめの方舟」には、「シアターに入った瞬間、実写とCGを駆使した映像と巨大な美術造形群に圧倒され、日常感覚と縁を切り、普段使わない五感を呼び覚まし、地球環境にめざめてもらいたい」という押井監督の思いが込められた。
床面、壁面、天井が映像と照明で演出され、特に床面には、世界初の「床面プラズマ・マルチ・ディスプレー・システム」が設置され、50インチPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)96台を敷き詰めて、ネットワークでつないだ。高精細映像を面積約100?uのほぼ正方形に近い大画面に一枚絵としても映し出すこともできた。周りには、動物のキャラクターを立像化した「六将(りくしょう)」と呼ぶ、巨大擬人像139体がずらりと立ち並ぶ。大きさは人の背丈を越えて、2.3〜3.5mになり、会期中2カ月ごとに変わる演出テーマ「青鰉(しょうほう)−水の記憶」「百禽(ひゃっきん)−時を渡る」「狗奴(くぬ)−未生の記憶」と連動し、「六将」の頭部も「魚」「鳥」「犬」と変化するなど、リピーターをも飽きさせない仕掛け。胴体は、マントを模した薄いグレーの紗幕で覆い、立体的なスクリーンの役目も果たして、映像や照明で演出された。
天井は、太古の森をイメージし、降り積もった落ち葉の間からキノコがニョキニョキと生え出した様子を黒皮の鉄製造形物で表現。所々に世界初の長径5メートルに及ぶアクリル製のタマゴ形スクリーンが取り付けられ、透明感ある立体的な映像が展開される。天井中央部には、押井監督が「天と地の間にあるもの、人間を取り巻く世界を包括した象徴、宇宙モデル、そしてパビリオンの核としての存在」と話す、精霊「汎(ぱん)」と呼ぶ巨大な人形(天井人型投射体)も存在。こうして観客も含め、館内に存在する全てがスクリーンという、アニメ映画監督が総合演出するパビリオンならではの独特の世界観の中で、「自然に対する畏敬(いけい)の念を来場者に体感してもらう」企画となった。

非常にたくさんのお客様を迎える館故に、数多くの来場者に対する運営上の取り組みは、「日々改善」だった。一人でも多くの来場者に見てもらいたい、少しでも待ち時間の苦痛をやわらげたい、との思いから、最良と思われる運営方法の模索は、最終日まで欠かさず続けられた。
開幕時から夏場までは、15分間隔で観客を入れ替え、各上演時間は約10分で、9時15分(春先の開幕1カ月間は9時45分)からの初回上映は自由入館。満員になり次第、12時15分までの12公演分(春先の開幕1カ月間は10公演分)の整理券(時間予約券)を配布。以後、12時から、15時15分までの12公演分の整理券を、15時から、18時15分までの12公演分の整理券を、18時から、20時45分(春先の開幕1ヶ月間は20時15分)まで10公演分(春先の開幕1カ月間は8公演分)の整理券配布を行った。それぞれ、天候や待ち列の状況に応じて、配布予定時間を前倒しするなどして対応した。
夏場から最終日までは、待ち列での熱射病などを考慮し、それまで毎日4回だった配布回数を暑い日中を避けて3回に。「夢みる山」の大屋根でできる影を有効に利用することで、暑さをしのげる時間も算出し、配布時間を決めた。変更後は、第1回配布を9時15分からの初回上映分が満員になり次第スタートし、16時15分までの28公演分の整理券を一括配布。第2回配布は、16時からで、16時30分〜18時15分までの8公演分を配布。最終の第3回目配布を18時から、18時30分〜20時45分までの10公演分の整理券を配布した。こちらも天候や待ち列の長さなどに応じて、配布予定時間を前倒しするなどして柔軟に対応した。
最大でも1時間程度待つだけで整理券を入手することができ、多くの観客から「長時間待たなくて楽」との評価を得た。また、ずっと待ち続ける必要もなく、整理券を手にすれば、開演時間の5分前までに入場口に集合すれば良いため、来場者から「運営方法が(客に)優しいシステム」との高い評価につながった。
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