使用頻度の高い専門用語を厳選して収録しました。
基本照明

基本照明
・展示物、パネル等の基本照度注1)の確保
会場平均照度を上回るの照度の確保。主な国内展示場では 約700 lx以上
・内照展示物の輝度注2)と展示物の照度バランスの検証
内照展示物が明る過ぎることによる展示物の視認性の悪化を防止する
注1)「照度」とは、その光がある面積を照らすときの「面が受ける光の量」を表す単位。同じ光束の光では受ける面積が広くなると照度が下がる。
注2)「輝度」とは、その光が照らした面(や物)、あるいは光源そのものを「ある方向から見たときの輝き(反射光)の量」を表す単位。
・展示会場照度と展示物照度のバランスの検証
すべての展示物照度は基本的に会場平均照度を上回る必要があるが、現実的に費用対効果を考慮した場合の展示物照度の優先順位を決定。
・光源の演色性注3)の検証
展示物をより美しく見せるには、展示物の物体色の再現性を高演色性の光源によって高めることができる。したがって、明るさのみに注視せず光源の分光分布が優れていることも重要。演色※Raの高い光源を計画することで展示物をより美しくみせることとなる。
極端な例で一般電球とトンネル等に使用されているナトリウム灯の分光分布を比較すると、後者には青の光はほとんどない。そのため青や緑の物体色は黒ずんで見えることになる。したがって白色の蛍光灯よりも演色性AAA,Ra99の蛍光灯を使用した場合のほうが幅広い物体色の再現が可能となる。
・色温度注4)の検証(単位K:ケルビン)
展示物のコンセプト、展示環境により判断する。
注3)光源となる光の中に各色の成分がバランスよく含まれているのかどうかを表すのが「演色性」。同じ色温度の光でもその光の中に含まれる色成分のバランスによって色は変わる。
注4)光の色を数値化して表現するのが「色温度」。色と温度には関係があり、光の色を温度として表す方法である。色温度が高いほど白色は青みがかり、低いほど赤みを帯びる。
照明計画

ここでは、照明という側面から展示会の視覚コミュニケーションについて考えてみよう。照明デザインを計画する際に求められる基礎知識を、空間総合演出を手がける(有)アイズ・コンプレックスの伊東保典氏に、実際のフローに合わせて図表・写真とともに体系的に解説していただいた。
また、下の写真では、最新照明テクノロジーとして注目されているLEDの可能性を示した。照明の基本メソッドを習得し、最新技術の活用事例を知って、来場者との効果的な視覚コミュニケーションについて再考しよう。
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[01][02][03]は最新のLED照明による3パターンの演出手法。これまでの照明器機では不可能とされた演出も可能に。[04]は[03]を横から見たもの。 |
はじめに
近年、展示会における照明ディレクションの必要性は重要視されてきている。しかし、現実に出展者が照明デザイナーをディスプレイデザイナーと同様な立場で起用し展示会のディスプレイ計画を進めていくことは、
一般的に難しい状況にある。予算に限りがある展示会においてはさらに状況は厳しい。
本来、展示会における照明ディレクションは、出展者が来場者に出品物を視せるための展示照明とプレゼンテーションを魅せるための演出照明の2つに大きく分けられるが、
それぞれの照明計画をしっかりと認識し、かつ実施している出展者は少ない。
実際は、ディスプレイデザイナーが照明デザイナーを兼ね、電気施工会社と打合せをおこない展示照明を実施し、プレゼンテーションステージが演出的である場合には、
プレゼンテーションを取り仕切るプロダクションにより発注を受けた舞台照明施工会社が演出照明を実施している。
この図式が展示会場で見受けられる事例のほとんどとなっている。
しかし、最近の照明に対するソフトもしくはハードへの注目度や展示会の総合的なディレクションの進化を考慮すると、
ディスプレイデザイナーは本業に専念し、最終的視覚伝達の役目をもつ照明デザイン・ディレクションは照明デザイナーが担うという図式を構築し、
それぞれの専門職がデザイン・ディレクション作業を同じテーブル上で共同作業していくことが重要となる。
これからは、どんな小さな展示会でも「明るければ良い」と言われた過去の展示会とは決別しなければならない。
それほど照明技術は進歩し情報量も増加してきている。
本稿では、展示会における照明計画を実施するにあたって参考となる照明の基礎知識をまとめた。
出品物やプレゼンテーションを彩る「照明」の意味や目的を理解することでみえかたを学び、展示会でのみせかたについて改めて考えてみよう。
照明計画の基本メソッド
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照明基本3計画の内容
サイン計画
サインの役割
展示会での「サイン」といえば、まずブースに掲出される企業名や商品名を連想します。
これは「誰が出展しているのか」という看板であり、展示会来場者はこのサインを目当てにそれぞれの企業ブースにたどり着きます。
言い換えると「サイン」がなければ、そのブースはどこが出展しているのかすら不明になることもあるのです。
そして「展示会」という特殊な場での「高揚感」や「期待感」の演出にも、サインは重要な役割をもちます。
工夫のないサインでは来場者への充分なアピールもできず、来場したであろう潜在顧客の来訪を逃すことにもなるかもしれません。
その重要な「サインの工夫」について、よもやま話も交えながら考えてみたいと思います。
サイン(標識・看板)というものは言うまでもないことですが「意味をもって設置される」ものです。
ここでの”意味”とは「見た者に行動を”促す”内容」です。
促したい行動としては「してはいけない」「してほしい」という直接的なものや「ここにある」「あそこにある」という位置表示などの間接的なものがあります。
展示会でのサインは、街での店舗看板のように出展ブースの主体を表示するために掲げられ、「ここに出展している」という「行動を促す=来訪してもらう」ために設置されるものであり、屋外サインボードなどへの単なる商品名・企業名の掲出とは違った工夫が有効となります。
その工夫には奇抜さやカッコよさなど必要ありません。
「見つけやすさ」と「分かりやすさ」、さらには「来場者からどう見えるか」「見た来場者に何をしてもらいたいのか」という視点でのサイン計画が必要なのです。
見つけやすさと分かりやすさ
まずサインは「見て」もらわなければ意味がありません。
言い換えれば「見て分かりやすい」サインを「いかに見つけやすく」設置するかが重要なポイントです。
では、目に飛び込んでくる視覚情報の「分かりやすさ」とはどういうことでしょうか。
人間は自分の目で見たものを一時的に記憶し、それが「自分にとって意味のあるものかそうでないか」を振り分けます。
その振り分けに時間や手間がかかるものより、かからないもののほうが「分かりやすい」といえるでしょう。
たとえば信号機のように「記憶された形と色」に基づいた表示であれば、表示された意味を理解するのに時間や手間は少ないのです。
これに比べて、文字情報を読まなければならない掲出物であれば「読んで意味を理解し、それに対しての判断をする」ことが必要になるため、信号機の表示よりも時間と手間が必要になります。
≪記憶された形と色≫
さて、車いすマークや非常口の表示のように、絵を用いた「ピクトグラム」は直感的に手早く意味を理解してもらうために有効です。
展示会場での企業名や商品名のサインにも、通常の広告露出で使用されているロゴなどを使えば、その『記憶された形と色』によって見る側の認知処理が早くなります。
展示会来場者というのは、そのカテゴリーに興味がある層です。
企業の通常広告を他の層よりもよく目にし、ある程度商品や企業の情報ももっていると考えられます。
前述の『記憶された形と色=通常のロゴ使用との整合』に加えてさらに「目新しい」演出手法での掲出の工夫などで「来訪してもらう」度合いを強めることもできるでしょう。
その対策としては、サインに向けて照明を当てたり(外照式)、内部に照明を仕込んだり(内照式)することで「見つけやすさ」を向上することができます。
≪見つけやすいサインとは何か≫
「見つけやすい」サインとはどういうものでしょう。
街を歩いていて「目に入りやすい」サインを思い浮かべると「大きい」「鮮やかな」「強い」サインだということに気がつきます。たとえばビルの屋上などに設置されている、商品広告のサインボードなどは物理的に「大きい」し、ネオンサインなどの明滅する表示や、電光掲示板を流れるニュース情報などは「強い」視覚情報でしょう。そしてモノトーンよりも「鮮やかな」色彩を使ったサインのほうが認知されやすいのです。信号機にLED(発光ダイオード)が使われるようになったのも、高輝度な光による視覚的な強さと鮮やかさのためです。
さて、展示会場の「地明かり(施設照明)」はそれほど明るいものではありません。ブースに大きく企業名や商品名を掲出しても、そのサインが暗くて見えにくければ見つけにくいでしょう。
その対策としては、サインに向けて照明を当てたり(外照式)、内部に照明を仕込んだり(内照式)することで「見つけやすさ」を向上することができます。
さらに、LEDなどを活用してサイン自体を発光させるものもありますが、要は「見つけやすい明るさ」をサインに与えることが重要なのです。
照明の明滅や、LEDのリレー操作によってサインの照明に「動き」をつけることも見つけやすさを増強します。ブースの上空への企業名バルーンの掲揚なども、動きのあるサインの一つといえます。
これらの「サインへの照明演出」は、企業名や商品名だけでなくブース内の各コーナーサインなどでも有効でしょう。
サインは来場者とのコミュニケーション
展示会での積極的な「サイン=表示」の設置は、来場者の「判断する手間」を省き、会場での「スムーズなコミュニケーション」につながります。
「これは何であるか」ということをサインの文字で表示しておけば、来場者が「これは何ですか?」と聞く手間が省けます。それを逆手にとって「これは何ですか?」と聞いてもらうためにサインを掲出しない企業ブースもあるようですが、これは考えすぎです。「面白さ」を優先して忙しい展示会来場者の手間を省くということを二の次にするというのは、現代的な考え方ではありません。
≪展示3点セットにキャプションサインを≫
ブース内のサインとしては、展示物群ごとのコーナーサイン、展示品ごとの商品名サイン、さらに商品の訴求ポイントを簡潔に説明するキャプションサインがあります。
最近、コーナーサインは「ソリューション」ごとなどの切り口で作られるものが多いようです。出展者側からは理屈が通った表現だとしても、それが来場者に伝わらなければコミュニケーションとして成立しないこともありえます。
展示商品ごとのサインと解説パネル、そしてその商品に関する配布物は「展示3点セット」と呼ばれるディスプレイ要素ですが、これにぜひ加えたいのがキャプションサインです。
従来のキャプションパネルのように仕様や型番の表示だけでなく、そこに商品カタログや解説パネルのアピールのポイントをまとめて表示することで、来場者への訴求力は格段に向上します。さらにブーススタッフが共通のユニフォームを着用したり、名札をつけたりすることもブース内のサインの一種だと考えられます。そのユニフォームに企業名や商品名があれば、来場者も声をかけやすくなります。つまり名札をつけないブースで「誰も声をかけてくれない」と不満を漏らしているだけでは短い開催期間を無駄にしているのと同義です。
これらブース内のサインの重層的な活用によって来場者とのコミュニケーションを深められれば、ひいては引き合い獲得や好感度の向上につながるのです。
サインのデザインについて
同じ内容を表示しても、サインのデザインや掲出方法によって「見る者」への印象の与え方はかなり変化します。たとえばサインのデザインについて、面白い例があります。
左ページ下の図は「誰でも知っている図形」の代表、日本の国旗です。図の上から、白地の部分と赤い丸の大きさの比率を変えてあります。
いちばん上の「小さな日の丸」では貧弱で安っぽい感じがしますが、丸が大きくなっていくと「安定感」を増し、さらに大きくなると「押しつけがましく」なります。内容としては同じ日の丸なのですが、図と地のバランスで伝わる意味合いが変わってきます。これはデザインによる表現の変化のシンプルな例ですが、展示会という特殊な場所と場合を考え、掲出するサインの視覚表現により「印象」を意図する方向に変えることもできるでしょう。
≪色彩(カラーリング)もポイントの一つ≫
デザインといえば、サインのカラーリングも重要なポイントです。企業名や商品ロゴでは掲出仕様が決められている場合が多いのですが、その背景や演出照明で表現が変わってきます。たとえば色彩のもつ特質として、明度や色相、彩度や補色など様々な対比によりそのデザインの印象は変化します。これらの対比による表現の変化を理解しておけば、サインだけでなくブース内の色彩計画などにも応用できます。
デザイナーにとっては当然の知識なのですが、出展担当者が理解していればブース設計が精緻化されるでしょう。
脳に入ってきた様々な刺激は、ある程度の差がないと判別できません。たとえば同じ明るさの光を2つ並べて、片方の光を徐々に強めていくとあるところで「片方が明るい」ということに気がつきます。この、気づくまでの「ある程度の差」のことを「弁別閾(べんべついき)」と言います。
視覚であれ聴覚であれ人間の感覚にはこの「弁別閾」が存在します。その「ある程度の差」は、もとの刺激が強ければ強いほど幅(閾値)が大きくなります。たとえば40グラムと41グラムの重さの差を感じるよりも、80グラムと81グラムの差を感じる方が難しくなるのです。
展示会の会場はサインで溢れています。来場者は会場を回る間に多くのサインを目にし、その視覚情報に対する瞬時の判断を繰り返しています。展示会に慣れている人でも、次第に疲労してくるでしょう。疲労は弁別能力を低下させます。正常な弁別能力で設計されたブースのサイン計画でも、疲れた来場者にとってはふさわしくなくなることも起こるのです。
それでは展示会場での「良いサイン」とはどのようなサインなのでしょうか。以下、写真で例を挙げてみましょう。
以上の例のように、「良いサイン」は表示目的がしっかり考えられて作られ、設置されていることが分かります。
サイン計画のチェックリスト
冒頭で、展示会場でのサイン計画は「来場者の視線」で考える必要があると述べました。
この「来場者の視線(来場者インサイト)」で自社のサイン計画をチェックしてみることをお勧めします。
以下に、弊社のもつチェックリストからの抜粋を記しておきます。満点が取れないようであれば対策が必要でしょう。
このチェックリストを活用して、開催中に自社社員たちで開催状況のチェックも行ってみましょう。
出展担当者の思惑とまた違った意見や、上手なサイン計画のヒントが掘り起こせるかもしれません。
展示会での「良いコミュニケーション」の記憶は、展示会以外での企業活動にとって大いに役に立つものです。みなさまの出展のご成功を、心より祈っております。
展示会について
展示会業界の啓発活動
出展者へのアドバイス
展示会への出展は、販路開拓や販売促進など経営戦略の一環として有力な手段です。
出展するにあたり基本となるポイントを5つに分けて紹介します。
⇒STEP 0 展示会って?
⇒STEP 1 展示会の選定
⇒STEP 2 出展の計画
⇒STEP 3 誘致方法
⇒STEP 4 効果&分析
知って得する豆知識
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JVR協会座談会 第1回「若手・中堅が語る仕事の魅力」-3
日本映像機材レンタル協会 & ピーオーピーPOP合同企画 座談会 <第1弾>
感動と喜びを与えることがやりがい!! ~フレッシュマン・中堅が語る日々の仕事の魅力とは~
ページ 3
◆機材管理も重要ファクター ~高度な技術と体力が勝負
――先ほどの宮川さんの話にもありましたが、みなさまにとって機材や資材の管理はビジネスのうえで重要なファクターだと思います。会社としてどのように取り組んでいますか
三島 光和では機材課という管理・整備の専門部署があって、そこで現場から戻った機材をチェックし、検査済みのシールを貼って備品の棚に戻すというしくみになっています。ケーブルは個人で片付けています。自分たちが使うものなので自主的にということです。
溝井 ウチも機材のチェックはオペレーション担当者ではなく、管理専門のセクションが行なっています。お客さまの目に届かないところほど、整理整頓が大切です。 倉庫でも現場でも、導線をきちんと確保していれば、スムーズに機材を運べますし、汚さずきれいに使用できます。モニターであれば色の焼きつきがないか白を出して確認しています。リモコンなど備品の管理も大切です。
國分 そうですね。お客さまの見えないところをきちんと整理整頓することが大切です。安全にも関わりますし。ウチでも基本的には倉庫の担当者が入出庫時のチェッ クしますが、物件担当者も極力確認の対応を行なっています。整備がしっかりしてないと現場に行くのがこわいです。じっさい、現場にもっていった機材が映らないということもありました。でも必ず予備の機材を用意していますので、大きな失敗は回避しています。
――本当に、見えない努力が現場での感動を生み出していると言っても過言ではないですね。それにしてもみなさんの仕事は、高度な技術と体力勝負だなと感じます。これまでに怪我をしたりとか体を壊したりしたことはありませんでしたか
國分 先日、深夜に現場に入って、モニターを20枚くらい設置する仕事だったのですが、1枚目で手を怪我してしまいまして(笑)。みんなが忙しく働いているときに、応援で来た私が、一人突っ立っている姿はマヌケでした。クライアントや施設の方にまでご心配をかけました。
――笑い話でもないと思うのですが(笑)。女性の三島さんは入社のころなどはキツかったのでは
三島 ケガではないのですが、1年目に肺炎になりました。1か月咳が止まらなかったので病院に行ったら即入院でした。
――休まないと(笑)。でも、みなさんの仕事は曜日も時間も関係ないようなものですよね。國分さんなんか、生活と仕事が一体化しているような・・・
國分 いやいや。休みの日まで仕事をしたいという心境にまでは至ってないですよ。でも、週末の現場が多いので土日はほとんど仕事ですね。1月前にシフトを決めるのですが、なかなかその通りにはならないです。
――溝井さんもそうですか
溝井 できれば多く休みたいですが、最近は体が慣れてきたのか、3時間眠れば大丈夫になってきました。
――それはすごい。三島さんも現場時代は働き詰めで?
三島 私の場合は、女性だからできないと思われるのがイヤなので、どんな仕事でもこなせるように頑張っているというか・・・。一度断ってしまうと次から仕事が回ってこないかもしれないと、意地を張っている部分もありますかね。
――宮川さん、すごい先輩がいるもんですね。宮川さんの先輩にはこんな人いますか
宮川 直属の上司が一児の母なのですが、仕事と子育てを見ごとなまでに両立しているのがかっこいいなと。
◆映像への情熱が生み出す
ワンドットにかける想い
――仕事の魅力とは
國分 観客の反応を生で見られることが最大の魅力です。ファッションショーなどの舞台で、自分が調整した映像を見ているお客さんが、感動した顔でそれを写メに撮っている光景などは本当に嬉しいですね。私が切り替えのスイッチを入れた瞬間、会場中のお客さんがワーっと盛り上がるとドキドキします。カッコつけた言い方ですが、私たちの仕事は、お客さんの思い出をつくることなんだと思います。だからやりがいがあります。
三島 入社したてのころ、先輩方の“ワンドットにかける想い”に驚きました。
――映像づくりにはミリ単位、コンマ何秒にこだわる人がいるんですよね
三島 そうです。正直なところ、お客さまには気づかないほどの差でしかないんです。しかし、納得できない部分があれば、徹夜してでも微妙な調整を何度も繰り返して、細部まで完璧に仕上げる。こういうこだわりや情熱があって、はじめて現場の成功があるのだと理解できるようになりました。そしてそこには、観客や来場者の目線で演出するという心がけがあります。プロの技術とアマチュアの目線でクオリティを高めることが、遠回りでもクライアントのメリットになるのではと考えています。
宮川 テレビで何となく見てきたシーンも、実際の現場を体験してはじめて、その大変さを知りました。たとえば記者会見の会場では、記者席の配置やカメラマンへの 配慮、マイクの準備、会場全体のレイアウトなど、至る所に気が配られていました。主催者のさまざまな要望に素早く対応する先輩の姿をみて、私の仕事は機材を提供するだけではないんだと実感しました。
溝井 ひとつの映像を投影するのにスイッチャー、PC、 動画など多くの担当者が関わっています。台本を見ながら、あうんの呼吸でタイミングを合わせるのですが、プレッシャーが大きいぶん、すべてがシンクロして演出がバシっと決まったときの達成感はたまりません。そして現場には、すごい技術や創造力をもった先輩がたくさんいます。こういう方々といっしょに仕事ができることは、とても光栄なことですし、勉強になります。
――宮川さんも日々勉強ですね
宮川 私はまだ、この機材を使うとどんなことができるか、ということから勉強しています。毎日、先輩からいろいろな知識や技術を教えてもらっていますが、教わったことを現場で活かせるよう、どんどん挑戦していきたいです。
三島 どの会社も同じだと思いますが、弊社は入社3か月くらいはケーブルの説明とか業界用語を、それこそ「上手はどっちです」ということからおしえています。そして当然、機材は触らないとおぼえないですよね。私はいまは現場に出ることはないのですが、お客さまにきちんと説明できるように、常に情報をアップデートしなければいけませんので、そういう大変さはどの仕事をしていても同じです。
國分 そして最後は実地で勉強しないとわからない。おぼえることは本当に多くて大変ですけど、やらないと現場で成功できないですからね。
宮川 わたしも時間の許す限り、現場に行って勉強するようにしています。
三島 楽しさがわかるまで3年かな。そこまでは、先輩に言われるまま荷物を運んだりケーブルを敷いたり、使い走りの下積みですね。こうした日常を積み重ねながら、自分のやりがいを見つけて耐えていければ、いつか仕事を任されるようになる。
この人がいれば大丈夫と 言われる存在になりたい
――どのように成長していきたいですか
宮川 まだまだ勉強の日々ですが、ゆくゆくは自分らしい素敵な映像やシステムを提案して、お客さまに指名してもらえるようになりたいです。
三島 営業職について2年目になるので、解らないでは済まされません。会社の看板を背負って仕事している以上、責任をもってお客さまの満足度を向上していきます。
溝井 目標にしている先輩がいます。その人がいればここは大丈夫と、お客さまも社内のスタッフもみんな安心できるのです。いまの自分はまだまだ勉強不足ですが、いつかそういう存在になろうと努力しています。
國分 この人なら大丈夫という安心感は私も欲しいですね。そうしたら結婚もできるかもしれません(笑)。個人的には映像の専門分野だけを掘り下げるよりも、多くの人と楽しくマジメに仕事を進められるようになりたいですね。自分が楽しくないと良いものができないし、気もちが伝わらないのではと思います。
――ありがとうございました。これからも素敵な映像世界を私たちにみせてください
日本映像機材レンタル協会のウェブサイト
JVR協会座談会 第1回「若手・中堅が語る仕事の魅力」-2
日本映像機材レンタル協会 & ピーオーピーPOP合同企画 座談会 <第1弾>
感動と喜びを与えることがやりがい!! ~フレッシュマン・中堅が語る日々の仕事の魅力とは~
ページ 2
◆アーティストのビデオ係 スライド画像1000枚
――これまでどんな仕事をしてきましたか。思い出深い仕事は
國分 昨年の11月から12月にかけて、海外アーティストのジャパンツアーに帯同して全国を回りました。その名古屋公演のとき、私の仕事は設置と撤去だったのですが、ビデオカメラを渡されて、ボーカルの人をずっと撮れと。それで楽屋から本番のステージ脇、終了後のようすまでずっと密着していました。
――それはスゴイことですよね
國分 そうですね。ずっといっしょでしたから、いろいろ話しかけられて、「Good Job!」なんて言われたときは、うわーって舞い上がりそうでした。
――それってメイキングビデオですか
國分 私もそう思ったのですが、本人が見るためだけのものだったそうです(笑)。でもスゴイ役得でした。撮影中に、彼が汗を拭いたタオルがカメラの上に乗っかったんですけど、あれはもらっておけば良かった。
――(笑)。宮川さんはどんな仕事をしてきましたか
宮川 この2月 に開催された展示会で、弊社が映像の指定業者を務め、いくつかのブースとセミナールームで映像演出をやらせていただきました。私は出展者さんからのリクエ ストを現場のスタッフにつなぐ担当だったのですが、多くの機材や資材を会場に持ち込むので、管理をしっかりしなくてはと思いました。
――入社してすぐに、メディアテクニカルが出展した展示会があったそうですね
宮川 昨年4月 に「国際イベント総合展」に出展したのですが、私は入社式を終えたあとすぐに研修の一環としてこの展示会のアテンドをしました。入社直後でまだ会社の業務 を詳しく理解していなかったのですが、「当社はこういう会社です」と現場の先輩達におしえていただきながら説明していました。社内で書面を見ながらおぼえるのでは なく、実際にお客さまと話しながらおぼえることができ、刺激的な経験でしたが、今思えば良い経験になったと思います。
――愛情はあるけど、使い方は荒いですよね、この業界(笑)。溝井さんは
溝井 昨年の10月から年末にかけて、アメリカの、かの有名なキャラクターブランドのクラシックコンサートツアーに帯同しました。3か月で38公演あったのですが、ウチからは私一人だったので、たいへんでした。
――その若さで現場をまかされるのですか
溝井 先輩が早くこの仕事を引き継がせたくて、むりやり(笑)
――どんなところがたいへんでしたか
溝井2時間の公演中にスライド画像が1000枚くらい用意されているんです。これを生の演奏に合わせて切り替えていくのですが、やはり人がやることなので、毎回タイミングが変わるんです。特に最初の3公演くらいまでは、直前の変更が多くて対応に苦労しました。でももう慣れるしかない。演奏を聴きながら小節をきざんで、キューを出す感じです。譜面も台本もありますが、それを見ていては間に合わないので、自分の感覚でやるしかないんです。
――すごいプレッシャーだったのでは
溝井 代わりがいないので、自分が遅刻したら公演が止まってしまうというプレッシャーが…
――そこですか(笑)
溝井 あと、スケジュールもきつかったですね。なかでも富山から神奈川までの深夜移動のときは、演奏の人もいっしょだったのですが、午前4時ごろに現地について、そのまま設営開始でした。でも、歴代の担当者もこの苦労をしてきたので、自分も頑張るしかないです。
――キツいですねえ。せめて2人体制にならないのですか
溝井 予算が・・・
――やはりその問題になりますか・・・
三島PAや照明さんは何人かでやることが多いのですが、映像は基本的に1人ですよね。やればできてしまうのがいけないのでしょうか。PAのマイクテストは2人必要ですから、それがうらやましいような。
國分 私が担当したツアーも1人でしたよ。
溝井2人ぐらいいてもいいと思いますけどね。
――三島さんの仕事はどうですか
三島 銀座の宝石店のショーウィンドウで、のぞくと万華鏡のようにビジュアルが動くというディスプレイを手がけました。また、長年親しまれているロボットアニメのファンイベントでは、スライドと3面スクリーンなどを使い、天井にもビジュアルを映して、大がかりな演出をしました。このように、空間づくりの一部としてのビジュアル演出という仕事がふえてきたように感じます。実際、これらの仕事はディスプレイデザインの分野から高い評価をいただきました。
――これからの時代は、空間デザインと映像が、ますます密接にかかわってくるでしょうね。それにつれて、企画の段階からみなさんが参加する機会もふえているのではないですか
三島 いま話したファンイベントは、かなり早い段階から代理店さんと打ち合わせを重ねて実現しました。なので、こちらからいろいろな提案もできて、私たちの力が しっかりと発揮できたと思います。私も思い入れが強くなって、予算は厳しかったのですが、会社にどうしてもやりたいと頼み込んで、OKをもらったことが思い出です。
3ページ目 “◆機材管理も重要ファクター ~高度な技術と体力が勝負” へ
日本映像機材レンタル協会のウェブサイト
第1展示館を2万平方メートルに拡大
名古屋国際展示場(ポートメッセなごや)ではかねてより、空調設備のない第1展示館や、施設全体の展示面積の不足が課題になっていたが、このほど「名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)整備構想」がまとめられた。
名古屋市はこの構想にもとづき計画を進めていく予定で、今年度から基本設計に着手、平成22年度に整備工事をスタートさせ、平成24年度に完成させる予定している。
具体的には、第1展示館(現在13,870平方メートル)を、新第1展示館として建て替えて2万平方メートルに拡大する。 0420
CPAが一般社団法人に(4/20)
日本コンベンション事業協会(CPA)がこのたび、任意団体から一般社団法人へと移行した。
分部日出男会長は「コンベンションを通じたコミュニケーションは重要です。今後の日本の国際的な活動、成長を側面からサポートするためにも、より社会的な責任を担うことが可能な一般社団法人化に踏み切りました」と移行の理由を述べている。
一般社団法人設立を記念して、同協会は6月7日にホテルオークラ東京で設立記念祝賀会を開催する。
ビッグパレットふくしま6月1日から開館へ、予約受付を開始(4/20)
福島県産業交流館(ビッグパレットふくしま)を管理・運営する(公財)福島県産業振興センターは、このほど、多目的展示ホールの6月1日から開館することを発表した。
開館にともなう予約受付は4月23日から開始している。
昨年3月11日に発生した東日本大震災の影響で、建物等に相当の被害を受け、これまで休館していたが、今年2月から災害復旧工場に着手。今回、6月1日から、多目的展示ホールの貸し出し再開を発表したもの。
なお、コンベンションホールなどの会議室は、工事中となっている。
「ビッグパレットふくしま」の予約受付時間は下記のとおり。
平日・土日祝日 9:00~17:00
休館日:12月29日~1月3日
問合せは、TEL:024-947-8010まで。