【環境月間企画】イベント活用で回収率80%、ごみの削減に成功したリユース食器<前編>

使い捨て食器ごみを減らすには

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提供:リユース食器ネットワーク

リユース食器は、プラスチック製のカップ・皿・箸などで、使用後回収し、洗浄して何度も繰り返し使うことができるため、使い捨て容器の替わりとして注目されている。

ごみ削減や省資源、CO2削減に寄与できることから、環境への訴えとしてイベントでの導入も増加している。ではイベントでは実際にどう活かしたらよいのか。

成功事例などから、活用していく上でのヒントを探りたい。

◆国内外で広がる導入

海外で最もリユース食器の導入が進んでいるドイツでは15年以上前からさまざまなイベントでリユース食器が利用されており、多くの自治体が〝ゲシルモービル″と呼ばれる移動食器洗浄車を保有している。ビール消費量の多いサッカー場で6割以上のごみ削減が報告されているなど、導入数も大規模なものだが、コストの増加に対してはカップに広告を入れることで対応するなど、ビジネスモデルとしても成功している。

日本では、リユース食器がイベントで大きな成功を収めた例に京都の祇園祭がある。導入されたのは2014年、多くの露天・屋台が立ち並ぶ数日間で使用するために、多方面に呼びかけを行なったところ、取り組みに賛同した市民や事業所より充分な協賛金が集まり、さらにのべ2000人のボランティアが参加した。およそ22万個のリユース食器が200以上の店舗で活用され、その回収率は80%に上り、膨大なごみの削減に成功した。これを受け翌年からは市の予算が確保され、3回目となる今年も導入される予定となっている。

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エコロジーイメージ図

イベントでのリユース食器の活用は環境活動のPRとなるが、使用することだけでなく、洗浄工程風景も環境意識を高めるきっかけになる。

ゲシルモービルや、食器洗浄設備の設置を行ない、あえて来場者の目に見える場所で洗浄することで来場者が抱える衛生面での不安を払しょくでき、食器不足の解消やコストカットが可能というメリットも持っていることから、実施しているイベントも少なくない。

 

⇒レガシーを残す2020年東京五輪に向けて<後半へ続く>

【リユース食器写真の注釈として】
(提供:リユース食器ネットワーク)

LCA※で比較すると、CO2排出量と水の消費量は2.7回、固形廃棄物は4.7回、エネルギー消費量は6.3回以上の再使用で使い捨て紙カップより環境負荷の低減効果がある。環境ホルモンの出ないポリプロピレン(PP)製のリユースカップは100回以上の使用が可能(耐熱温度120℃、耐冷温度-30℃)。
※原料採掘段階から生産・使用・輸送・廃棄段階に至るまでを仮定し、製品の一生(ライフサイクル)を通じた環境への影響を定量的に分析・評価したもの

表紙

→この企画は季刊誌「EventBiz(イベントビズ) Vol.3」より抜粋