グローバル企業としての挑戦 ~システムブース創出から40年~

グローバル企業としての挑戦 ~システムブース創出から40年~

エクスポテクニク・インターナショナル
代表取締役社長
ペーター ソシンスキーさん

創業40周年を迎えたエクスポテクニク社(ドイツ)は、システムブースを創出したレンタルシステムの先駆けであり、グローバル化戦略を強化しながら発展を続ける。そこで今回、ペーターソシンスキー社長が来日したことから同社の経営戦略を伺った

 

 
ペーター氏と田中祐一氏(エクスポテクニク・ジャパン代表)

 

世界8都市に営業拠点

――エクスポテクニク社は、設立から40周年を迎えたとのことですが、展示会産業のグローバル企業として発展していますね

エクスポテクニクは、デザイナー出身の私の兄、ハインツが40年前に創業し、展示会のブース向けのディスプレイシステムを開発して創業しました。それまでのドイツではクライアントの要望に合わせたブースづくりが主流でしたが、システムブースをレンタルするというビジネスモデルをつくったのです。まさに当社はレンタルシステムの先駆けと言えるでしょう。
現在はグローバル化戦略を着実に進め、世界8都市に営業拠点を展開し、当社のディスプレイシステムとサービスを提供しています。

――会長との役割分担はどのようになっているのですか

兄は生粋の職人で、ディスプレイシステムのコンセプト開発など、当社のクオリティを維持するための経営戦略を担当しています。私は、昔から兄と一緒に仕事をしたいと考えていたのですが、残念ながらデザインの才能がなかった(笑)。その分、世界中を回って経営の修行をしてきました。経験を積んで、晴れて兄と一緒に会社を経営することになったのです。

継続的に使用しトータルコストの削減

――エクスポテクニクのディスプレイシステムの特徴とサービスを教えてください

当社には、(1)高品質のデザインを提供する、(2)クライアントへは、ブースの完成品引き渡し(Turnkey)を原則とする、(3)ロスを最低限に抑えて、トータルサービスをクライアントに提供するという強み、メリットがあります。
エクスポテクニクのディスプレイシステムは、直営店でしか取り扱いません。それは、クライアントに責任をもって高品質のブースを届けたいという姿勢です。部材そのもののデザイン性や堅牢性にも自信をもっていますが、それ以上に、ブースが完成するまでの企画や設計、マーケティングといった過程で、当社のスタッフが、クライアントの要望や展示商品の特性に合わせたブースづくりをトータルにサポートできるということが最大の強みなのです。
だからこそ、部分的に部材だけを貸し出してそのレンタル料で商売をすることはしないのです。Turnkeyはわれわれの大切なコンセプトであり、その血は世界中のエクスポテクニクスタッフに流れています。
当社のディスプレイシステムは、単なるコスト安のレンタル商品ではありません。しかし、継続的に使用することで、トータルコストの削減に貢献し、クライアントは商品展示や企業PRに、最大限のパフォーマンスと効果を発揮する空間を手に入れることになるのです。

ネットワークとクオリティ

――こうしたクオリティの高いサービスをグローバルに展開していることが強みであると

展企業の立場から見て、見本市への出展活動をグローバルに展開するために必要なことは、(1)全体のコスト、(2)ブランドイメージの質、(3)部署管轄などの内部コスト、の3つの管理ポイントを抑えることです。
つまり、世界のどこで出展しても、高いクオリティを維持することが成功のポイントであり、むずかしいことなのです。そのためにもパッケージ化したシステムを利用することが有効ですし、自社が求めるクオリティやポテンシャルを世界のどこでも発揮できるネットワークが必要です。
エクスポテクニクのネットワークとスタッフのクオリティの高さは、その要求に充分応えられると自負しています。それは、グローバル企業として知られる日本のトヨタやアマダが、当社のシステムを利用しているという実績が、証明しているかと思います。

洗練された日本企業のブース

――日本の展示会産業についてはどのような感想を抱いてますか

日本経済は世界を動かすだけの規模と力をもっていますが、展示会産業のマーケットでは、明らかにドイツの方が大きいですね。逆に考えれば、それだけ日本には、マーケットを拡大するだけのポテンシャルが残っているのだと思います。
また、日本企業がわれわれに求めるデザインへの要求は高く、これは世界のどの地域よりも上だと思います。実際、日本の展示会を見ると、非常にクオリティが高く、洗煉されたデザインのブースが多いと感じます。
特に、会社ロゴを含むブランドイメージの統一はむずかしいのですが、日本企業はうまく表現していますね。
ヨタのブースはまさにその最高峰。世界中のモーターショーでトヨタブースに携わり、成功を収めましたが、われわれも多くのことを学び、育てていただきました。

――エクスポテクニク・ジャパンは、昨年から田中氏が代表を務めていますが、ペーター社長はどう評価しますか

いつ日本市場を任せてもいいだけの経験と実績を積んできた人物ですし、デザイナーとしてもディレクターとしても、彼のことを信頼しています。何より、エクスポテクニクの哲学や目指しているものをしっかり理解して仕事をしている。先日、ブース施工の現場に立ち会いましたが、クライアントが、私が聞かなくても「田中は素晴らしい仕事をしてくれている」と話してくれました。

展示会産業のビジネスクラスを目指して

――今後の業績目標を教えてください

5年以内に世界ベースで売上げを倍増することが目標です。米国マーケットでは順調に推移していますので、日本でもマーケットの拡大を目指し、エクスポテクニクのクオリティの高さとグローバルなサービス展開を広くPRしていきたいと思います。
ただ、数字的な成長はもちろん重要ですが、決して急ごうとは考えていません。
われわれは、展示会産業のビジネスクラスを目指していますし、当社のデザイン性や品質へのこだわりを理解してくれる会社の役に立ちたいと思っています。
大切なのは、エクスポテクニクのクオリティを維持、向上させることで、決して数字だけを求めているのではありません。

――ありがとうございました

「見本市展示会通信」2008年12月1日号掲載