日本映像機材レンタル協会(JVRA)海外視察ツアー報告会
パネルディスカッションパートⅠ:ISE 2018

JVRA は7月20日、ホテルイースト21で「業務担当責任者会議」を開催し、JVRA 視察ツアー2018(ISE・InfoComm)の報告会をパネルディスカッション形式で行った。そのようすを紹介する。


パネルディスカッションパートⅠ:ISE 2018

■登壇者
コーディネーター:シーマ 石丸 隆 氏
アシスタント:ヒビノ 菊地 利之 氏
パネラー:教映社 角谷 賢一 氏
光響社 村瀬 達彦 氏
ヒビノメディアテクニカル 森 麻耶 氏

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菊地 今年で15回目の開催となるISE は、過去最大の出展者数・来場者数と聞いています。出展者数が多かったため、本来は駐車場だったところを展示会場として使用していました。来場者8万923人のうち約2万人が初参加らしく、ISE の勢いの強さを感じましたね。会場では、人をかき分けるように進みながら展示を見ました。

石丸 我々の関心が高い展示会であるInfoComm(インフォコム)と比べると、ISE の方が出展者数は多いです。今回、皆さんが気になった製品や展示を教えてください。

写真C

■ディスプレイ

角谷 私が気になったのはまず、有機EL ディスプレイ(LG) ですね。会場に入ってすぐの場所に、大きく設置されていました。見入ってしまうほどの迫力で、湾曲しているディスプレイは、どの角度から見ても綺麗でした。

菊地 湾曲したディスプレイは取り外すとフラットに戻るのでしょうか。

角谷 現段階では、実際の設営現場には曲がった状態で固定したものが納品されています。大人の腕力でも曲げられるのですが、アクリル下敷きのようにすぐ戻ってしまうためです。メーカーは、将来的には現場で曲げられるようにしていきたいと言っていました。

村瀬 私も有機EL は、手に入れておきたい製品であると感じました。薄さも魅力ですね。ただし堅牢性の検証は必要ですが。

石丸 画面の焼き付きの問題もありますしね。確かに有機EL は発色が綺麗でインパクトもありますが、一方で扱いが難しい。また有機EL は、新しい蒸着方法が開発されている段階なので、今後、明るさが上がるという可能性もあります。

写真B

■プロジェクター

村瀬 私が今すぐ欲しいと感じた製品は、解像度ネイティブ4K で明るさ1万2,000ルーメンのプロジェクター(エプソン)。ゼロオフセット投影ができる超短焦点レンズに対応している点も良いです。現場で(超短焦点レンズを)使用したときに、非常に調整しやすいと感じたので。

 プロジェクションマッピングを投影したときの、カメラを用いた補正や調整のデモンストレーションは、複数のブース(CHRISTIE / Dataton/ disguise)で見ることができました。
一旦映像を消すことなく、投影し続けながらズレてしまったブレンディングを直すことができたり、動くオブジェクトに対して映像を自動追従させたりするものがありました。複雑なオブジェクトでも違和感なく追従しながら映像を合わせていて、今後、増えてくるのかなと思いました。

石丸 国内メーカーでもハイスピードトラッキングのシステムはありますし、どんどん進化していますね。しかし日常的に活用できる環境が我々の現場にあるのかどうかは別問題で、現状こういった技術を駆使できるのは特別な案件に限られそうです。今後、機会が増えてくれば、(レンタル会社)各社の棲み分けも進むはずなので、今のうちから取り入れているところは一歩リードできるかもしれませんね。

 会場外のプロジェクションマッピングを見ましたが、マッピングそのものよりもプロジェクタールームを見せる作りになっていたことが印象に残っています。ここでは、ガラス張りのコンテナに催事名やインフォメーションが表示されていておしゃれでした。自身の経験では、お客さんには映像だけを見せ、プロジェクター等の設備は隠した方が良いと思っていたので新鮮でした。

■ホログラム

菊地 昨年のISE でも気になったホログラムLED のHypervsn(kinomo)。今年は解像度・明るさが上がり、進化していました。メーカーブースでは24台を同期再生し大型の3D 映像を披露しており、昨年よりホログラム感・立体感が増していました。

石丸 この製品は、展示パネルよりも上部に映像が来るように本体を設置していることが多いですね。ホログラム感・立体感を出すため意図的に設置しているようです。

菊地 実は当社は今回のISE をきっかけにHypervsn を購入したのですが、海外製品は発想が斬新で、購入して初めて分かることも多く大変勉強になりました。それと同時に、日本の映像機材がいかに親切で優秀かを再認識しました(笑)。

 

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JVRA
日本映像機材レンタル協会。国内41社のAV 機器レンタル会社と国内外の映像機器メーカー24社で構成される。会議や海外視察ツアーなどを通じ、会員同士の技術情報の交換・研修の場を提供する。

ISE 2018
2月6日~9日、オランダ・アムステルダムで開催した展示会。最新AV 機器が多数出展され、8万人以上が来場した。次回ISE 2019は2月5日~8日にアムステルダムで開催予定。

 


 


◆JVRA座談会アーカイブス

第1回 ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト
第2回 ~プロが語る仕事の舞台ウラ
第3回 観客を魅了するステージ演出の舞台ウラ
第4回 日本全国で活躍するJVR協会の仲間たち
第5回 イベント・ステージ業界で活躍する女性たちの仕事
【2016年】海外展示会(ISE・InfoComm)視察ツアー報告会2016
第6回 映像演出の世界で輝く女性たち~女性が活躍できる場を目指して
【2017年】海外展示会(ISE・InfoComm)視察ツアー報告会2017
第7回 イベントを成功へ導く調整役は今日も走る