【JVRA新会長インタビュー】人の集まる場づくりに必要不可欠な“映像” 中島 義人 氏

■世の中の動きとトレンド
―世間では働き方改革が叫ばれていますが、イベント業界では改革が難航している部分もあるかと思います。これについてどのようにお考えでしょうか

実を言うと、非常に悩みの種なんです。働き方改革の必要性は理解できますが、どうしてもその人にしかできない仕事というものがあって、それ故にオーバーワークになりがちです。同時に、働く側の考え方を見てみても、どんどん仕事をやりたいと思っている人が多い業界でもあります。制限しすぎるのは良くない。しかしながら推進すべき取り組みであることは間違いないので、各社、頭を抱えながらも工夫し、対応しているのが現状です。
一方でイベント業界全体の統制がしっかり取れていないと感じることもあります。例えば、ヨーロッパでは施設に夜10時以降は入れない。そういった規約があるとそもそもオーバーワークになり得ないので、より改善が進むと思います。働き方改革については協会内でもよく話題に上るので、今後協会としての指針を出す必要があるかもしれません。

―人材に関する面での現状はいかがでしょう

各社の制度が整ってきて産休や育休が取りやすくなったこともあり、以前に比べて女性が活躍しているという話は協会内でも増えており喜ばしい限りです。
一方で、新人がなかなか定着しづらいという問題があります。理由はさまざまだと思いますが、土日が休めなくなってしまうことに対する抵抗感があるという話は聞きます。ですが、それはあくまで表面上の問題点に過ぎず、本質は待遇面にあるのでしょう。過酷な労働環境でもそれに見合った報酬があれば、今ほどは不満も出ないはずです。新人が夢を持って働き続けられるよう、イベント業界における我々の地位向上にも取り組んでいきたいですね。

―映像のトレンドや注目している分野についてもお聞きしたいと思います

我々は4Kの機材も持っていますが、今のところ学会や株主総会などでそこまで要求されることは滅多にありません。ハイビジョンカメラで十分な場合も多いです。ですが、12月から4Kの本放送が始まりましたし、時代は少しずつ4K8Kへ進んでいくでしょうね。
現在勢いのあるeスポーツ分野にも注目しています。
大会では大型画面が使われるので、我々の仕事も増えると思いますよ。ただ、注意しなくてはならないのは、オペレーターがゲームソフトを理解していないとカメラワークやスイッチングができないという点です。下手したらどっちが勝っているのかすら分からないときもあります(笑)。なのでゲームに詳しい若い世代がどんどん映像の世界に入ってきてくれることを期待しています。
あとはドローンがどの程度まで演出面で使えるようになるかは気になっています。今は撮影が主な用途ですが、光らせたドローンでイベントを演出する事例も増えてくるのではないでしょうか。

―最後に、新会長としての抱負をお聞かせください

今や、人が集まる場所で映像を使わないケースはなく、映像は世界を制するといっても過言ではありません。そのような時代の中で皆が楽しみながらビジネスを拡大し、協会としても成長することを望んでいます。誰にも負けないスキルと深い知識、ノウハウを各社が持ち、それを活かせる仲間と連携し合えるような協会にしていきたいです。
また、協会を拡大していくという意味では、会員増強の取り組みもしていますが、どんな企業でも加入できるわけではありません。仕事の質や考え方を重視しつつ、志を同じくする企業とは手を結んで業界発展のために尽力していきたいと思います。

―ありがとうございました


 


◆JVRAアーカイブス

第1回 ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト
第2回 ~プロが語る仕事の舞台ウラ
第3回 観客を魅了するステージ演出の舞台ウラ
第4回 日本全国で活躍するJVR協会の仲間たち
第5回 イベント・ステージ業界で活躍する女性たちの仕事
【2016年】海外展示会(ISE・InfoComm)視察ツアー報告会2016
第6回 映像演出の世界で輝く女性たち~女性が活躍できる場を目指して
【2017年】海外展示会(ISE・InfoComm)視察ツアー報告会2017
第7回 イベントを成功へ導く調整役は今日も走る
海外視察ツアー報告会  パネルディスカッションパートⅠ:ISE 2018
海外視察ツアー報告会  パネルディスカッションパートⅡ:InfoComm 2018