UCC Smile Festa 2022「環境報告書」を公開 -サステナブルなイベントに求められる結果とは-【SDGs】

UCCグループで業務用サービス事業を展開するUCCコーヒープロフェッショナル(以下UCP)と、イベントを中心に企業のマーケティング活動を支援する博展は、3月に開催した展示会『UCC Smile Festa 2022』の「環境報告書」を公開した。

『UCC Smile Festa 2022』について

 
『UCC Smile Festa 2022』は、主に外食産業の来場者を対象にした、UCCグループ企業と、食材・ドリンク・販促資材などカフェの運営を支える様々なメーカー約90社が出展する、コーヒー並びに業務用食品の展示商談会

今回はUCPと博展が、環境負荷低減やサステナブル(持続可能な)イベントの実現に向け、様々な施策に共同で取り組んだ。

詳しくは過去の記事から。

「資源循環型イベント」の実現を目指して

 
毎年開催されている同展示会について、UCPではフードロスの発生や多様なごみの排出など、環境負荷に対する課題意識が長年あり、今年度の展示会では「資源循環型イベント」の実現を目指し、UCPと同展示会をトータルプロデュースする博展によって、様々な施策が導入された。

以下は、展示会終了後に作成された「環境報告書」の概要。(環境報告書はUCC上島珈琲株式会社のHPからダウンロードできる)

UCC Smile Festa 2022 環境報告書 概要

 

1.環境配慮型の装飾

展示会造作では、再利用可能な部材の利用を促進し、一部の造作で紙素材を取り入れた。
装飾物は全体の76%をリユース部材、15%をリサイクル部材で構成した※。
※ 立米(㎥)換算

結果●発生した廃棄物量を数値化した(下グラフ)。

●木材廃棄物をバイオマス発電へ活用。
総発電量33,253kwh(111世帯分※1/月)、CO2削減量はスギの木1,097本相当 (スギの木(樹齢80年)が1年間に吸収する二酸化炭素量を基準とする)となった。

●発生した廃棄物の92%はサーマルリカバリー(熱回収)へまわった。
マテリアルリサイクル(マテリアル(物)からマテリアル(物)へとリサイクルすること)率の向上が今後の課題。

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2.展示照明/配布物の削減

消費電力が少なく、 寿命も長いLED照明を全面的に取り入れた。

案内チラシ等はコーナー内でQRコードを掲示し、デジタル化を推進することで紙の使用量の削減に取り組んだ。

※1)CO2排出係数

3.食品ロス削減について

時間帯別に来場する人数を把握し、情報を共有することで、準備する試食のロス削減を目指した。

また、社員・出展者の商品勉強会を兼ねた試飲試食を促進。

社員・出展者向けの持ち帰り容器を配布し、展示会終了後に廃棄されてしまう食品ロスの削減に取り組んだ。

結果

食品残渣の廃棄量(実績) 2.57 t
※コーヒーカスも含む。
※大阪会場分(600kg)は食品リサイクル(炭化)を実施。

今回の食品残渣の廃棄量の実績をもとに、出展メーカーと連携し、継続的な削減に取り組んでいく。

4.廃棄物処理について

発生する廃棄物に関してはリサイクル率の向上に着目し、適切な分別を徹底。
最終的な廃棄物量とリサイクル率をレポートにまとめ、継続的な排出量削減・資源循環に取り組む。

結果

ごみの回収を8種類に分別し、それぞれの排出量の計測を実施(下表)。

ごみの分別の徹底に課題。

廃棄量の実績や課題をもとに、出展メーカーと連携し、継続的な削減に取り組んでいく。

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5.ワンウェイプラスチックの削減

ドリンクは可能な限り紙カップで提供。 使用するプラカップについても 環境配慮型の容器を活用した。
試食用のフォーク・スプーン等については、試食する食品との相性を確認したうえで可能な限り紙製・木製に切替えた。

結果

プラスチック排出量 1.10 t
※会場で排出量を算定。

紙製の試食用資材の種類が限られていることが課題だった。

6.CO2排出量の算定

会場で使用する電力量を把握し 次回開催以降の削減に取り組む。
主催者分の資材や商品運搬用のトラックのCO2排出量を算定し、記録することで次回開催以降の削減へ活用する。

会場使用電力、主催者・装飾関連の運搬トラックによるCO2排出量

結果

合計 26.98t-CO2
(スギの木1,927本に相当(スギの木(樹齢80年)が1年間に吸収する二酸化炭素量を基準とする))

今回の実績をもとに、運搬効率の向上など、継続的な削減に取り組んでいく。

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7.サステナブル提案ブース

店舗でも取り入れられる、サステナブルに関する商品提案のコーナーを設けた。
コーヒー残渣の再利用事例として100%再生紙脱臭剤 (オリジナルノベルティ)をアンケート回答者に配布。

環境報告書ではこのほか、「資源循環型イベントに向けての課題と対策」として、ゼロウェイストやカーボンニュートラルに向けた、今後の取り組みなどが述べられている。

博展はサステナビリティ(持続可能性)に関する企業や地方自治体のニーズの高まりに対応し、「サステナブル・ブランド国際会議」などのイベントやメディアを通じて2015年より「サステナブル・ブランド」コミュニティ活動を推進している。

同社の担当者によると、出展企業の中にもSDGsに対する興味・課題を持っている会社は多く、出展者にも好評だったという。

今回収集したデータは、今後の『UCC Smile Festa』における環境負荷低減に対する継続的な取り組みに活かしていく。