会場・展示会・地域 連携でエリア全体を盛り上げる
―FOOD STYLE Chubuの見どころを教えてください
倉石 主催者企画として愛知県の特色ある発酵文化を全国に発信する「発酵食品ワールド」を展開します。八丁味噌や白醤油といった地域の食の紹介と、これらの食文化が育まれた歴史を伝える企画です。愛知県と協力し、常滑市、半田市、知多半島の食べ物をPRする場も設置します。
新規で展示会を立ち上げる際、僕は必ずプライベートでも観光をします。愛知県や常滑市はもちろん巡りましたが、ブランド化が進んでいる「なごやめし」だけでなく、愛知と中部、常滑市にはまだ知られていない食材と料理がたくさんあることを改めて知りました。このことを皆に伝えたいですし、展示会の見どころともいえます。開催地・愛知の良いものを全国に発信していきます。
モルガン 常滑や地域のグルメを海外のユーザーにうまくマーケティングできれば、観光とビジネスの振興にもつながりますね。食だけでなく地域全体の魅力を訴求できます。また地域の活性化は、当会場の重要なミッションでもあります。現在、中部国際空港でも愛知の食を、巨大な掛け軸でPRしています。「良いものを全国に発信したい」という目標が地域と会場、展示会で一致している良い例といえるのではないでしょうか。
倉石 僕たちは展示会について、ただ商談をする場だとは思っておらず、地域の文化を世界中に発信する重要な機会だと捉えています。例えば九州展では九州エリアの観光と食のコーナーを設け、地域のPRを展示会内で行いました。
ビジネス展で通常のイベントに近い企画を行ったのは、出展者や来場者も帰ったら一般の人だから。BtoBとBtoCの垣根は、あってないようなものです。イベントが終わればどこかで宿泊をするし、彼らに観光のPRをすれば、休日に旅行でその地域に出かけるかもしれない。僕たちはこうした地域とのMICEにおける連携を通じた取組みを進めており、今後はAichi Sky Expoとも積極的に協力していきたいと思っています。展示会の話題から地域を盛り上げる話に発展してしまいましたが。
モルガン 大切な考え方だと思います。出展者や来場者はイベントの後、必ず食事をします。会食中に商談をまとめることもあり、食事の機会がなければ話せない相手もいる。食はビジネスでも欠かせない大事な要素。ですから地域で環境を整えること、つまりイベントと会場で地域のブランドを高めていくことは非常に重要ではないでしょうか。
当会場の運営主体であるGL eventsグループとしても日本が誇る食を含む、優れた商品やサービスを他国の展示場でも紹介したいです。グループが運営するフランスやブラジルの会場では、日々多くの展示会が開催されていますから。GL eventsグループは海外とのコネクションの強さも特徴で、積極的に各国の在日大使館や貿易の振興組織、グローバルな大手企業の出展者やバイヤーと定期的に連絡を取っています。彼らには会場の情報発信だけではなく、Aichi Sky Expoで行う催事の案内もしています。加えて私は在日フランス大使館の中部デスクアンバサダーでもあることから、イベント情報をフランスのバイヤーや各組織に周知できる強みも活かしていきたいです。ぜひ海外からのバイヤーを当社の会場で行われる展示会に招待したいです。
倉石 国内の出展者を海外に送り出し、海外の出展者を日本に誘致する流れを作ることについては、以前からモルガン社長とお話ししていましたね。実現させたいです。
モルガン 国際的なイベントを作り上げる素晴らしいベースになると思います。実現するイベントは、ほかのイベントとは差別化された、唯一の価値を持ったイベントになると期待しています。
次の5周年に向けたビジョン
―10周年に向け、今後の展望をお話しください
モルガン 私たちは愛知県と常滑市を中心とした地域に支えられている展示場として、企業に対してだけではなく、地域に対しても果たすべき責任があります。経済効果を最大にし、地域に向けたイベントを誘致し、県民の方に楽しんでいただきたい。展示会・イベント業界はあらゆる文化や産業のトレンドを地域の皆さんに発信します。
当会場では国際的なイベントとして、2025年には「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」、その翌年には「第20回アジア競技大会」の開催も予定されています。日本全国と海外の玄関口である中部国際空港と直結する展示会場として、空港や各国とも当会場の地域にかける思いを共有し、展示会業界を通じてエリアの経済と文化の発展を目指します。