JASDAQ上場で事業を拡大グローバル展開も視野に

JASDAQ上場で事業を拡大 グローバル展開も視野に

ヒビノ(株) 代表取締役社長 日比野 晃久さん

――2月2日に、JASDAQに上場しました。

日比野 これまでの事業をさらに拡大し、将来的にはグローバル展開する--「世界のヒビノ」を目指すことを視野に入れています。そのためには大きな資金も必要ですし、パブリックカンパニーとなって、その役割や質を高めなければなりません。上場企業になるには、それに耐えられる経営体制や企業力を付けなければなりませんから、ヒビノとしては目指すべきところだったわけです。

――これから特に力を入れていく事業は。

日比野 音響・映像機器の販売、イベント映像に向けた機器レンタルとサポートサービス、これに関わる人材派遣、IT関連事業など、ヒビノにはいくつかの柱がありますが、どれもまだまだやるべきことがたくさんありますので、すべての柱を強化していきます。 ただ、どの分野に於いてもそうですが、価格競争に打ち勝つためには、付加価値の高い商品やサービスを提供しなければなりません。ヒビノの最近の事例としては”クロマッテック”のブランドでシリーズ展開しているLEDディスプレイとそのコントロール機器などです。こうした商品の研究開発はしっかりやっていきます。

――他社との提携やM&Aなどは考えていますか。

日比野 いま具体的に進めている案件はありませんが、事業拡大の有効な手法として、選択肢のひとつです。

――付加価値の話に戻しますが、これからはただの”レンタル屋”ではダメだと。

日比野 もちろん、レンタル事業も我々の大きな柱ですし、実際儲かる商売ですから否定はしません。割り切ってモノを貸すことに特化して、回転率を上げていけば価格競争力もつくでしょうし、ひとつのやり方だと思います。ただ私は、我々の業界は商品力とスタッフのスキルが両輪となってはじめて機能すると考えています。だからこそ、ヒビノにしかない商品、ヒビノにしかできないサービスを生み出すことにプライドをもって取り組みたいと思うんです。それは、ヒビノがいまもっているなからでも探し出せるかもしれない。要は、お客さまにこのレベルでいいと、現状に満足されていてはダメなわけで、新しいこと、質の高いことを提案してオーディオ&ビジュアルの世界のチカラを示そうということです。

――展示会業界全体で取り組まなければならない問題は。

日比野 皆が感じていると思いますが、現場の安全対策が第一だと思います。舞台づくりの分野では、安全管理を主眼とした協会もできていて、我々も参加していますが、展示会業界はまだまだ遅れているようですね。安全に対する意識や教育は一社ではいくらがんばっても解決できませんから、業界全体で共有すべきです。事故の話はライバル会社でも聞きたくないですよね。

――話は変わりますが、ご趣味といいますと。
日比野 ライブが好きでよく行くんです。洋の東西、ジャンルも幅広いですよ。音楽だけでなくスポーツやパフォーマンス系のイベントも観ます。仕事仲間と行くことが多いですが、一人でも行きますね。当然、チケットも自分で買って行きます。同じ場面が二度とないリアル感、多くの観客と一緒になって、全身で臨場感を味わえる、あの会場の雰囲気が大好きなんです。

――やはり仕事柄ということですか。

日比野 当然、ウチの会社がやらせていただいている会場もあるので、どうしても舞台装置や演出技術にも目が向いてしまいますが、それと関係なく本当に好きなんです。しばらく行かないと体がうずいちゃって(笑)。だから会場にいると、この仕事に携わっていることをすごく誇りに思いますし本当に嬉しいな、幸せだなと感じるんです。
でもこれからは、ますます忙しくなるから、これまでのようには行けなくなるでしょうね。

――それは残念ですね。ぜひタテノリの社長も拝見してみたいものです(笑)。ところで、日本のライブの演出技術についてどうお考えですか。

日比野 たしかにアメリカはスゴイですよ。ひとつの舞台やイベントにかける規模も装置も日本とはケタ違いです。でもそれはカネのかけ方の違いで、演出技術やセンスは日本人も高いレベルだと僕は思っています。だから、そういう環境が日本にも欲しいですね。ラスベガスみたいなエンターテインメント都市が日本にもあればいいなといつも考えています。そのためにも、微力ながらビジュアル世界の素晴らしさ、僕らのチカラをもっともっと多くの人に伝えたいですね。

――イベント業界にとっても誇らしい発言です。日比野社長の大きな夢を日本の関係者に広く伝えたいと思います。
(見本市展示会通信3月15日号)