生きている「プロジェクションマッピング」というメディア タケナカ

ロジェクションマッピング(以下PM)。東京駅の衝撃から瞬く間に巨大な市場ができあがり、大型のコンテンツが打ち出される度、派手に世間を賑わせた。現在、私たちにとって見慣れたメディアになってしまったせいなのか、当時ほどの勢いを感じられずにいる。
しかし、本当に「PMは衰退した」と言い切って良いものなのだろうか? 映像演出の全体像から、タケナカ・長崎英樹氏とともにPMの実態と行く末を見つめる。



■変容していくコンテンツ

―PMの現状について教えてください

大規模かつプロモーション的な役割を持ったPM は少なくなっています。その理由は明らかで、PM が流行した2014年くらいまでは、PMの注目度は高く、実施するだけである程度の露出が担保されている時代でした。そのためPM はメディアとしての力が強く、クライアントは高額な費用を惜しみなく費やしました。しかし世間でPM が見慣れたものとなった現在、以前ほど広告効果が見込めなくなり、クライアントのPM のみへの投資は大きく減っています。

ただしPM 自体の数は減っているのかというと、決してそんなことはありません。形を変えながら、今でも多くのプロジェクトが実施されています。どのように変化しているかというと、まず都会でしか見られなかったものが、地方でも頻繁に開催されるようになりました。また小型のものが台頭し始めており、大型イベントだけでなく店舗やオフィスの空間演出でも使われるようになった。特に常設のPM は増加しています。つまり大型から小型、都会から地方、仮設から常設へと身近なコンテンツとして活用されるシーンが増えてきた。

タケナカ・長崎英樹氏

当然、同じ映像演出でも仮設と常設のコンテンツでは作り方が異なるため、映像を制作する際に意識するポイントもシフトしています。今までは長くても3、4日と限られた期間でしか使われないコンテンツでした。こうしたコンテンツの場合、意識するポイントは「インパクトがあるか」、「目立つものであるか」ということです。逆に常設の場合は、できるだけインパクトをそぎ落とした映像を作ります。インパクトがあればあるほど、すぐに飽きてしまうからです。

例えば、レストランでインパクトのある映像演出を見たとします。最初は派手さに驚いても、2回目以降は展開が読める訳ですから「またこれやってるよ」という気持ちになりませんか? 要はインパクトがある映像を見ると、2か月後に同じものを見ても、インパクトが強いがために人は覚えているんです。
だからといってインパクトをなくし過ぎると、今度は面白みのないコンテンツになってしまう。実は飽きずに、ある程度心地よい印象強さを持った映像を作り出すというのは、相当難しい。これが今の私たちの課題となっています。

 

「JAPAN SHOP 2019」タケナカ 出展ブース

■PMを進化させるテクノロジー
―PMに携わる中で、注目しているテクノロジーはありますか

先程の課題のように、バランスをとって制作と向き合っていかなければならない中、「リアルタイム」が解決のヒントになるのではないかと考えています。……

記事全文は「EventBiz vol.16 映像×テクノロジー 最新イベント演出から探る」に掲載しています。書籍詳細情報はリンクまたは画像からチェック!
https://www.eventbiz.net/?p=62115