2.地域におけるMICEの取組み
―MICEの誘致にはMICE関連組織や地元企業の協力など多数の要素を組み合わせる必要があるかと思いますが、どのような取組みを進めていますか
大村 熊本市が主にインセンティブツアーを誘致し、コンベンション協会が主にコンベンションを担当するように、役割を分けて活動しています。もちろんMICE誘致のためには地元企業の協力が必要不可欠ですから70団体・企業が参画しているくまもとMICE誘致推進機構と一緒になってMICEを誘致していくことも検討しております。特に最近はより市民に活用していただける施設づくりという観点から、MICEの中でもEのイベント・コンサートの誘致に力を入れています。
髙橋 熊本国際観光コンベンション協会は熊本市内の全体の施設に関わる立場ですので熊本城ホール以外の施設もご紹介するわけですが、やはり熊本城ホールは新しい施設ということでコンベンションの引き合いが多いのも事実です。新しい施設の規模を考えると、3000人程度のコンベンションがターゲット層になりますので、いろいろなネットワークを活用して誘致に力を入れています。
大村 大規模学会の開催地の選定は2~3年前には始まっていますので、そこの予約に対応しつつ、空いたところにイベントを誘致しようと主催者の皆様に熊本城ホールの利用をお願いしています。
中野 幸い福岡国際会議場については、大規模な学術会議や大会等の利用により、先ほどお話ししたとおり主要な会議室の利用率が80%近くに及ぶなど、MICEの誘致には一定の成果が出ていると考えています。
ただ、若干話がずれますが、中小会議室については、MICEの誘致だけでは十分な稼働が見込めませんので、地場の利用者にDMなどで利用を取り組んだり、会議室検索サイトに掲示するとともに、3か月先の空き状況をホームページに掲載するなど、利用の促進に取り組んでいます。中小会議室をどのように埋めていくのかが、施設運営の難しいところです。熊本市さんは新しい施設ですからどんどん埋まっていくでしょうが、この問題はお互いに悩ましいですね。
髙橋 熊本市全体の施設の運営状況を見渡しても同じような傾向はあります。ですから民間の会議室登録サイトなどで会議室のPRや予約もできるようにして若干でも稼働率を上げる取組みを進めています。
中野 最近は居酒屋を昼間、会議室に有効利用するなどの取り組みも始まったようで、福岡市内では貸会議室のビジネスプランが多様化しています。
古賀 映画館もPRしはじめました。駅前の民間運営の会議室は本当に増えました。公共施設もさらなるサービス向上に努める必要があると感じています。
―北九州市の官民連携はいかがでしょう
古賀 地元四大学との連携協定の締結、ステークホルダーとのアライアンスを組んだ北九州市グローバルMICE推進協議会の設立、行政や北九州商工会議所と共同したアフターコンベンションの強化やユニークベニュー開発など、MICE関係者と連携をとりながら数々の施策で誘致を強化しています。最近は海外からのインセンティブ誘致を積極的に行っており、小倉城をパーティ会場に使えるように設定するなどユニークベニューの開発を進め、特にアジアからの誘致に力を入れています。
中野 われわれの場合は福岡市、福岡コンベンションビューローと共に、3者が一体となった協力態勢(MPF:Meetig Place Fukuoka)でMICE誘致に取り組んでいます。
MPFでは、月1回の三者会議でターゲット先の選定や営業・イベント報告を行っているほか、福岡市MICEアンバサダー制度の活用、九大伊都キャンパスに開設したMPFデスクにおける学内外の会議・イベント企画・運営のサポート、海外見本市への共同出展、ユニークベニューの開発など、さまざまな取り組みを行っております。
MICE誘致については、ビューロー主導のもと、コンベンションセンターとしては、MICEの受け入れをいかにスムーズかつ万全にできるかという点に気を配っています。