愛知県が「上海モーターショー」の現地視察報告を公開

中国EV最前線に迫る現地調査、県内企業への示唆も

愛知県上海産業情報センターは5月9日、「2025年上海モーターショー現地視察報告書」を公表した。

報告書では、中国自動車産業の急速な電動化やソフトウェア化の実態、新興メーカーの台頭、さらには海外勢の巻き返し戦略など、多角的な視点から最新動向が整理されている。

報告書によれば、今年のモーターショーでは出展車両の約7割が新エネルギー車(NEV)で占められ、中国における電動化の勢いが顕著に表れた。

特に中国最大手のBYDは、自社開発の先進運転支援システム「神眼(God’s Eye)」を全車種に標準装備する方針を打ち出し、低価格モデルへの搭載も実現したことで注目を集めた。

また、NIOや小米(シャオミ)といった新興メーカーも独自のハイエンド技術で存在感を強めており、中国メーカー全体が「弯道超车(カーブで追い越す)」の勢いで世界市場への展開を加速させているという。

一方で、トヨタや日産、ホンダといった日本勢も中国市場向けの専用EVを発表。現地開発体制の強化やEV工場の新設などを通じて、巻き返しを図る動きが見られる。

報告書は、こうした世界的な産業構造の変革に対し、愛知県内の企業も柔軟な戦略再構築とスピード感ある対応が求められると指摘。

中国を“未来のモビリティが形作られる現場”と捉え、今後の競争力強化に向けた重要な視座を提供している。

県では今後も現地情報の収集と発信を続け、地域企業のグローバル展開を支援していく方針だ。