近年、日本列島を襲う記録的な猛暑が、夏の風物詩である各地のイベントにも影響を及ぼしており、熱中症リスクに対応するため、主催者が開催時期を変更するケースが相次いでいる。
伝統行事も日程見直し
福島県の「相馬野馬追」や、三重県四日市の「鯨船祭」など、歴史ある夏祭りも暑さ回避のため開催時期を変更している。
相馬野馬追は熱による馬の死亡事例を受け、去年から7月から5月開催へと移行。鯨船祭も8月から9月の秋祭へと移された。
ロッキンジャパンも9月に移行
国内最大級の野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」(通称ロッキンジャパン)も、2025年から千葉市蘇我スポーツ公園で時期を9月13日から9月21日へ移して開催される。
Jフェス総合プロデューサーの海津 亮氏はHPで以下のようにコメントを発表している。
「近年の気候変動の中、8月に野外音楽フェスを開催することには運営上の様々な工夫を必要とします。
全国各地の夏フェスもそれぞれ救護体制を強化して熱中症対策にあたっていますが、蘇我スポーツ公園で行われるロック・イン・ジャパンは動員が6万人に迫る大規模なフェスで、且つ出演アーティスト構成が多様なため毎回フェスに慣れていない初参加者も多数含まれます。
そうした特性を考えた結果、8月での開催を継続することは困難だと判断するに至りました。」
これらの背景には、気候変動による夏の猛暑化、熱中症患者の増加と救護施設の限界があるだろう。
野外や広場でのイベントでは、水分補給ポイントやクールダウン設備の強化に加え、時期そのものの移動が新たな常態となりつつある。ロッキンジャパンの変革は象徴的だ。
今後も気候変動と観客・演者の安全配慮、快適性の潮流を背景に、イベント業界の動向から目が離せない。