東北大学 寺田 賢二郎教授に世界計算力学会議の誘致成功を聞く

2018年7月に米ニューヨークで開催されたWCCM2018の様子

■次世代人材育成のプログラムが高評価
―今回、どういった経緯でWCCMを誘致するに至ったのでしょうか
2年以上前にWCCMの主催団体であるIACMに深く関わってきた有志6人が集まり、誘致活動をスタートしました。前回の日本開催から20年以上が経ち、IACMの理事が25名中3名を占め、私がこの夏までIACMの副会長を務めたことからわかるように「日本のプレゼンスが世界で認められてきている今、再びWCCMを日本で開催する時期が好機なのではないか」という思いに駆られたからです。

―どのような誘致活動をしましたか
活動内容としてはまずレターオブインテント(意思表明)をIACMの会議運営事務局に送り、その後、視察が行われました。視察は昨年の12月に行われ、有志6人と日本政府観光局(JNTO)、開催地から横浜コンベンションビューローとパシフィコ横浜が立ち会いました。

―IACMの事務局に対して、どのような提案や視察ツアーを行ったのでしょうか
ビッドペーパー(提案書類)では新しい試みとして、地元の小中学生・高校生を対象とした計算力学やシミュレーションの体験企画を提案しました。今後の計算力学を担う人材を育成するとともに開催都市にもメリットがある内容で、非常に良い試みだと称賛をいただきました。

視察は2日間行われ、まずは会場を視察。新設のパシフィコ横浜ノースを会場として使用するので、パシフィコ横浜によるプレゼンも重要な要素でした。会場だけでなく横浜という街の魅力を伝えるため、船に乗ってクルーズを楽しんでいただいたり、既にあるホテルはもちろん、今後できるホテルの建設地なども見て回りました。

―小中学生・高校生向けの体験とはどのようなものでしょうか
具体的な内容はこれから協議していきますが、とにかく興味を持っていただくことが何よりだと考えています。若年層の理系離れが進んでいる昨今、難解な数学や力学を要する計算力学は敬遠されがちです。例えばシミュレーションを用いて、ものづくりの際にどのような力がどう働いて、結果として何が起きているのを目視できるようにすれば、子供たちにも面白いと思っていただけるのではないでしょうか。

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