イベントの「サステナビリティ」を考える会議が横浜で開催 SB YOKOHAMA 2020

報告セッション
SB横浜サステナビリティ報告


 

 

 


白川 陽一
株式会社博展

制作本部 プロダクトマネジメント部 部長

 

 

 

 


犬塚 圭介
株式会社セレスポ

サステナブルイベント研究所
所長

白川
SB YOKOHAMA 2020におけるサステナビリティへの取り組みは、何をやっていいのか分からないところからのスタートだった。博展の中にはノウハウがなく、専門知識のあるセレスポと協力し、チャレンジを進めてきた。

今回、サステナビリティへの取り組みに当たっては東京観光財団の「TOKYO MICEサステナビリティガイドライン」をチェックリストとして使用した。具体的に取り組んだことは次の通り。

① 管理と教育
・関係者への啓発研修。協力会社を通じてSDGsに関する勉強会を開催。
・礼拝用マット・コンパスの貸し出しを実現。
・ベジタリアン・ハラルへの対応。
・持続可能性に配慮した取り組み内容の報告書を作成、国内外へ発信。
② 調達
・エコタイルカーペットを導入しているパシフィコ横浜を会場に選定。
・FSC認証紙をプログラムガイドに使用したほか、地産地消食材やMSC・ASC認証のシーフードを使用した。
・電気工事を担当した純光社はISO14001(環境マネジメントシステム)を取得。
・自社のUV印刷機はGreen Guard GOLD認証(環境配慮型製品)のインクを使用。
・木材の使用を最小限にとどめ、紙素材やアルミフレーム+ファブリックによる装飾デザインを採用(木工で使用した場合の約360kg分を削減)。
③ エネルギーと水
・装飾物の制作スタジオは100%再生可能エネルギーを使用。
・会場内に給水スポットを設置。マイボトル持参により紙コップの使用量を削減。
・日産リーフの電気自動車、燃料電池バスを導入。
・参加者に対してクールビズ・ウォームビズを呼びかけた。
④ 廃棄物
・飲食提供時のプラスチックを廃止しフィンガーフードを採用。
・「産業廃棄物」の100%リサイクルへの取り組み推進。
・ゴミ箱での分別表示。
・Re-boardの活用(100%リサイクル可能/輸送における環境負荷低減)。
・アルミ製リユースシステム+ファブリックで廃棄物発生を抑制。
・Re-boardに対しての出力はUV硬化インクジェットを採用。
⑤ 地域社会(コミュニティ)
・横浜市コンベンションビューローと連携し、市内MICE事業者の本イベント参加。
・配布するエコバッグ印刷時、カーボンオフセットを実施(横浜の事業者である(株)大川印刷との協業)。
・使用したスツールを終了後、横浜リビングラボに寄贈。
・次回参考値として、ボランティアスタッフの属性などを集計。

今回、課題として①パートナーシップの輪を広げること、②アイデアを計画に落とし込むノウハウ、③イベント・MICEにおけるトレーサビリティの確立、④企業TOPの強い意志が不可欠、ということを感じた。

犬塚
今回、セレスポではサステナビリティの観点から助言、度合いのチェック、改善の提案を行った。流れとしては①目的・方針共有、スケジューリング、現状確認、②行動・確認(進捗・改善確認、フィードバック、数値化・記録)、③実施・発信(実態調査、記録、発信・共有)、④改善・継続(追跡調査、報告書作成、次回の目標設定)というもの。

重要になった2つの要素として、①サステナビリティの観点:共通価値を確立し、モチベーション向上につなげ、実現度を向上②パートナーシップの観点:客観的な視点を持ち、相互にメリットがあることを認識し、連携の拡大・強化を図った、ことが挙げられる。

ガイドラインに沿った取り組みを行うことで、単なるチェック作業以上にイベント効果の向上につながった。主催者だけでなくパートナーやイベント自体が、有形・無形のレガシーを獲得できたことが今回の最大の効果だった。