震災後初のセミナー開催(6/6)

日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)は66日、東京・千代田区の日本政府観光局(JNTO)会議室で「JCCBコンベンション産業部会MICEセミナーを開催、全国のコンベンション・ビューローなどから会員約50人が参加した。

開会に先立ち、産業部会長を務める日本コンベンションサービス(株)の近浪弘武代表取締役社長は、「東日本大震災はMICE業界にたいへん大きな影響を与え、さらに原発事故により長期化する懸念もある。行政に頼るだけではなくJCCB会員が自ら立ち上がり、この危機を乗り越えるために一丸となることが必要。会員同士の交流を深め新たなパワーを生み出していきたい」と意気込みを語った。

会長の猪口邦子参議院議員は「大震災の影響やその対応など、世界中がかつてないほど、日本の一語一句に耳を傾けている。こういうときこそ発信することが大切。MICEは世界と日本をつなげるしごと。コンベンションの誘致にとどまらず、さまざまな交流を推進していきましょう」と開会の挨拶を述べた。

講義は「311東日本大震災~この難局にどう対処していくか」と題し、観光庁の岩本晃一参事官とJNTOの大野金幸コンベンション誘致部長がそれぞれの取組みと今後の方針について説明した。

岩本参事官は自らが参加したIMEX5/2426、独・フランクフルト)で日本パビリオンへの来場者や商談件数が例年より少なく、欧州ではMICE主催者の多くが、福島原発事故に関する風評により訪日を敬遠する傾向にあったことを報告。観光庁は案件のキャンセルを防止するため、JNTOや地方自治体、民間事業者と協力して、正確で科学的な最新情報をMICE関連の国際団体へ発信。国際会議主催者には、日本での会議開催にまったく支障がない旨を伝える長官レターを約100通発出し、国立京都国際会館で開催予定の国際血栓止血学会や、パシフィコ横浜の万国外科学会が予定通り開催することになったことを紹介した。

また、岩本氏は被災地におけるMICEの開催は、安全性と日本が復興した姿を海外にアピールするほか、地元への経済効果・住民への勇気を与えることなど意義が高いため、積極的に誘致へ取組むよう関係者に働きかけた。

大野コンベンション誘致部長は、震災後3月末までの訪日旅行者数が、昨年同期比727%減、4月が625%減と大幅に落ち込んだが、やや快方に向かっていることを、数字を交えて説明した。また、JNTOでは全国のMICE施設の現状把握と国際会議開催状況調査を行なったほか、日本滞在中の外国人旅行者向けに地図を含めた正確な情報を発信した。ツーリスト・インフォメーションセンター(TIC)では、自身も含めて24時間電話対応を行ない、時差のある欧米からの問合せを受けていたことなどを明らかにした。

セミナー修了後は意見交換会も行なわれ、全国から参加したMICE関係者たちが、震災からの復興へ向けて、一致団結することを誓いあった。