東京観光財団(TCVB)は10月7日、AP品川(東京都港区)で島しょ地域のMICE誘致をテーマにしたセミナーと情報交換会を開催した。今回は伊豆大島の観光協会や町の担当課、交通事業者、宿泊施設、民間コンサルなど、島内外の関係者が一堂に会し、島が一丸となってMICEを受け入れる姿勢を示した。
伊豆大島は東京・竹芝から高速ジェット船で最短1時間45分。火山島ならではの雄大な自然を有し、富士箱根伊豆国立公園に属する。三原山や裏砂漠などの地形はトレッキングや体験型研修に適しており、都市から近い非日常の舞台として注目されている。大島観光協会の千葉氏は「自然や文化、食など魅力が多い。新しいアイデアや柔軟な発想を得たいときには島を巡ってほしい」と語った。
行政も受け皿整備を進める。大島町観光課は町有施設「開発総合センター」を中心に、会議からパーティーまで対応可能な複合空間として紹介。さらに旧火山博物館をリニューアルした「伊豆大島ミュージアム ジオノス」では、約300人収容のホールと多目的室を備え、学習や展示にも使える新拠点として整備が進んでいる。
一方、島内民間の動きも活発だ。フロンティアコンサルティングが運営するワーキングスペース「WELAGO(ウェラゴ)」は、通信設備を常設し、都心や他地域と同時接続するワーク・イベント拠点として展開。屋外芝生を生かした研修や展示にも対応し、環境省「自然共生サイト」*の認定を受けている。宿泊では波浮港エリアのホテルカイラニが、団体対応を強化するとともに、伊豆大島とハワイ島の姉妹島関係を軸に文化交流を展開する。ハワイ出身アーティストによる作品展示や音楽イベントなど、芸術を通じた交流にも取り組んでいる。
アクセスを担う東海汽船は、東京―大島間を結ぶ高速ジェット船や大型客船を運航し、グループの大島温泉ホテルを含めた受け入れ体制を紹介。交通・宿泊・会場を島内で完結できる点を強調した。
セミナーの後半では、JTBコミュニケーションデザインの平間氏が登壇した。コロナ禍以降のMICEがオンラインとリアルに二極化し、オンラインでは効率性が重視される一方で、現地を訪れて交流や体験を共有する場への価値が高まっていると述べた。島ならではの自然やアクティビティは参加者同士の関係を深め、対面ならではの誘致価値を生むと語った。
なおTCVBでは、島しょ地域でMICEを開催する主催者を対象にした助成制度を設けている。誘致段階では上限500万円、開催段階では上限1,500万円までの経費を支援し、視察費や会場費、悪天候時の延泊費なども対象。担当者は「主催者が安心して開催できるよう、行政や地域事業者と連携しながら支援を続けていきたい。開催を検討する際は気軽に相談してほしい」と呼びかけた。
*自然共生サイト=環境省が認定する、生物多様性を守る活動が行われている区域。企業や自治体の森、公園、MICE施設なども対象。
![[セミナーレポート]伊豆大島、島ぐるみでMICE誘致へ動く ―東京観光財団](https://www.eventbiz.net/wp-content/uploads/2025/10/PA073837-218x150.jpg)





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