令和5年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更される。
政府から感染対策について一律に求めることは基本的になくなり、個人や事業者は自主的な感染対策に取り組むこととなる。
各業界でも、業種別ガイドラインの廃止および位置づけの変更が予定されるなか、どのような対応が求められるのか以下にまとめた。
(参考:5月8日以前の「政府のイベント制限」の内容はこちら→https://www.eventbiz.net/?p=108812)
政府の基本的感染対策の考え方はこう変わる
令和5年5月8日(新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後)より、新型コロナの感染対策は現在の「法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組み」から、「個人の選択を尊重し、国民の皆様の自主的な取組をベースとしたもの」に変更される。
①マスク着用の取扱いと同様、主体的な選択を尊重し、個人や事業者の判断に委ねることを基本とする。
②政府として一律に求めることはなくなり、個人や事業者は自主的な感染対策に取り組む。
政府は、個人や事業者の判断に資するような情報の提供を行う。
以下、3月31日政府より各府省庁へ通知された内容について、概要をまとめた。
事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ変更に伴う業種別ガイドラインの廃止及び位置づけの変更に際しての事業者の取組への支援について(依頼)」の概要
政府は基本的対処方針に基づき、事業者及び業界団体による業種別ガイドラインの実践等を促進してきた。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更後は、同方針及び業種別ガイドラインは廃止となり、政府は、事業者等の自主的な感染対策の取組に対し、情報提供等の支援を行うこととなる。
業種別ガイドラインの廃止後においても、各業界等において新型コロナウイルス感染症対策として自主的な取組を検討する場合には、以下を参考とすること。
基本的感染対策 |
今後の考え方 |
マスクの着用 |
個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本。
一定の場合にはマスク着用を推奨 |
手洗いなどの手指衛生/換気 |
政府として一律に求めることはしないが、新型コロナの特徴を踏まえた基本的感染対策として、引き続き有効 |
「三つの密」の回避
「人と人との距離の確保」 |
政府として一律に求めることはしないが、流行期において、高齢者等重症化リスクの高い方は、換気の悪い場所や、不特定多数の人がいるような混雑した場所、近接した会話を避けることが感染防止対策として有効(避けられない場合はマスク着用が有効) |
なお、これまで業種別ガイドライン等に基づく新型コロナウイルス感染症対策として活用してきた、備品等および職場での取組みの取扱いについては、感染対策や業務効率化等の観点から、利用者・従業員の意向等も踏まえ、各事業者または業界ごとに適宜判断して問題ない。
【備品】
感染対策や業務効率化等の観点から、利用者・従業員の意向等も踏まえ、各事業者または業界ごとに適宜判断して問題ない
検温器、パーティション、二酸化炭素濃度測定器…これらの取扱いとしては、引き続き感染対策として活用・保管することや、感染対策上不要となったものにつき、再利用(リユース)・再資源化(リサイクル)すること等が考えられる。
また、補助金等により取得した(または効用の増加した)財産を処分する場合には、交付行政庁が定める一定の要件(補助対象財産の取得価格が単価 50万円未満 等)を満たす必要があるため、その取扱いについては交付要綱等を確認のうえ、必要に応じ交付行政庁に問い合わせること。
【職場での取組み】
テレワーク、時差出勤、テレビ会議など
→感染対策や業務効率化等の観点から、利用者・従業員の意向等も踏まえ、各事業者または業界ごとに適宜判断して問題ない
業種別ガイドラインの見直しのためのポイント
個人や事業者における基本的感染対策の実施に当たっては、感染対策上の必要性に加え、経済的・社会的合理性や、持続可能性の観点も考慮して、改めて感染対策を検討するよう政府から通知がなされている。
<考慮に当たっての観点>
・ウイルスの感染経路等を踏まえた期待される対策(※)の有効性
※飛沫感染対策か、エアロゾル感染対策か、接触感染対策かなど・実施の手間・コスト等を踏まえた費用対効果
・人付き合い・コミュニケーションとの兼ね合い
・他の感染対策との重複・代替可能性 など
↓ 政府より提示されている業種別ガイドラインの見直しのためのポイント(第7版:令和5年4月3日)


マスク着用の考え方の見直し
マスクの着用については、2月10日に新型コロナウイルス感染症対策本部から通知があり、3月13日からすでに基準の緩和は始まっている。
5月8日以降も、引き続き、以下の基準が政府の考え方となる。
以下、2月10日に通知された新型コロナウイルス感染症対策本部決定「マスク着用の考え方の見直し等について」より。
マスク着用の考え方の見直しの概要
行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とし、政府は各個人のマスクの着用の判断に資するよう、感染防止対策としてマスクの着用が効果的である場面などを示し、一定の場合にはマスクの着用を推奨する。
着用が効果的な場面の周知等
高齢者等重症化リスクの高い者への感染を防ぐため、マスク着用が効果的な下記の場面では、マスクの着用を推奨する。
医療機関受診時
高齢者等重症化リスクが高い者が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設等への訪問時
通勤ラッシュ時等混雑した電車やバス(※)に乗車する時(当面の取扱)
※概ね全員の着席が可能であるもの(新幹線、通勤ライナー、高速バス、貸切バス等)を除く。
そのほか、新型コロナウイルス感染症の流行期に重症化リスクの高い者が混雑した場所に行く時については、感染から自身を守るための対策としてマスクの着用が効果的であることを周知していく。
症状がある場合等の対応
症状がある者、新型コロナウイルス感染症の検査陽性の者、同居家族に陽性者がいる者は、周囲の者に感染を広げないため、外出を控える。通院等やむを得ず外出をする時には、人混みは避け、マスクを着用する。
事業者における対応
マスクの着用は個人の判断に委ねられるものであるが、事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容される。
学校における対応
学校教育活動の実施に当たっては、マスクの着用を求めないことを基本とする。
併せて、下記を教育委員会・学校等に対して周知していくとともに、適切な対応を求めることとする。
基礎疾患等の様々な事情により、感染不安を抱き、引き続きマスクの着用を希望する児童生徒に対して適切に配慮するとともに、換気の確保等の必要な対策を講じること。
地域や学校における新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの感染状況等に応じて、学校・教員が児童生徒に対して着用を促すことも考えられるが、そのような場合も含め、児童生徒や保護者等の主体的な判断が尊重されるよう、着脱を強いることがないようにすること。
医療機関や高齢者施設等における対応
高齢者等重症化リスクが高い者が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設等の従事者については、勤務中のマスクの着用を推奨する。
留意事項
マスクを着用するかどうかは、個人の判断に委ねることを基本とし、本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう周知していく。
子どもについては、すこやかな発育・発達の妨げとならないよう配慮することが重要であり、保育所等に対してもマスク着用の考え方を周知する。
なお、感染が大きく拡大している場合には、一時的に場面に応じた適切なマスクの着用を広く呼びかけるなど、より強い感染対策を求めることがあり得る。ただし、そのような場合においても、子どものマスク着用については、健康面等への影響も懸念されており、引き続き、保護者や周りの大人が個々の子どもの体調に十分注意する必要がある。
基本的な感染対策について
マスク着用の考え方の見直し後であっても、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針に基づく基本的な感染対策は重要であり、引き続き、「三つの密」の回避、「人と人との距離の確保」、「手洗い等の手指衛生」、「換気」等の励行をお願いする。
参考:各業界の業種別ガイドラインの現状
各業界でも、5月8日以降は業種別ガイドラインの廃止および位置づけの変更が予定されている場合が多い。
詳細は以下の各団体のホームページから確認できる。
(4月4日現在)