【詳細】政府が「観光白書」で2022年の分析と2023年の観光施策を公表

政府は13日、2023年版の「観光白書」を閣議決定し、公表した。

観光白書は以下の3部からなり、観光立国推進基本法に基づき毎年国会へ報告されている。

第I部:令和4年 観光の動向
 世界の観光の動向、日本の観光の動向
 持続可能な観光地域づくり – 観光地や観光産業における稼ぐ力の好循環の実現-について
第II部:令和4年度に講じた施策
第III部:令和5年度に講じようとする施策

<概要>

2021年の「外国人旅行者受入数ランキング」において、日本(25万人)はランク外。2020年(412万人)の21位(アジアで5位)から順位を下げた。

2022年の訪日外国人旅行者数は、6月の外国人観光客の受入再開後、10月の入国者数の上限撤廃、個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁等の水際措置の大幅緩和等により大きく増加。同年12月には2019年同月比で54.2%まで回復、年間では約383万人(2019年比88.0%減)となった。2023年4月は、2022年10月以降単月では最多の194.9万人となり、2019年同月比で66.6%まで回復。

2022年年間の訪日外国人旅行消費額(試算値)は8,987億円(2019年比81.3%減)。同年10月の水際措置の大幅緩和以降、10-12月期は2019年同期比で約5割に回復し、2023年1-3月期は約9割まで回復。

2022年年間の出国日本人数は、277万人(2019年比86.2%減)。同年12月には2019年月比で約25%、2023年4月には約34%まで回復。

2022年の日本人の国内宿泊旅行延べ人数は2億3,247万人(2019年比25.4%減)、日帰り旅行延べ人数は1億8,539万人(2019年比32.7%減)。

2022年の日本人国内旅行消費額は17.2兆円(2019年比21.6%減)。このうち宿泊旅行の国内旅行消費額は13.8兆円(2019年比19.8%減)、日帰り旅行の国内旅行消費額は3.4兆円(2019年比28.0%減)となった。日本国内における旅行消費額は18.7兆円(2019年比33.2%減)。

日本の観光の「稼ぐ力」を分析するため、観光消費額・収入額から外部支払費用(中間投入)を控除した儲けに相当し、雇用者所得、企業の利潤や投資など経済循環の源泉となる付加価値額(観光GDP)に着目し、日本と欧米主要国とを国際比較。

日本の観光GDP額は11.2兆円(2019年)となり、新型コロナウィルス感染拡大前まで着実に増加してきた。しかし、経済全体に占める観光GDP比率(観光GDP額/GDP額)は2.0%(2019年)で、先進7か国(G7)平均の4.0%と大きな差。

観光の付加価値を示す観光GDPの国際比較からは、日本は観光の付加価値額や経済全体に占める割合が低位であり、付加価値を高め「稼げる産業」への変革に向けては、売上高の増加(客単価×顧客数の増加)が取組課題になる。

観光庁では、観光地・観光産業の再生・高付加価値化やDX推進等の支援を講じている。採択事例では、宿泊単価の増加や、宿泊従事者の賃金上昇等の効果が現れつつある。

コロナ下でマイクロツーリズムに重点化し、DX化したマーケティングデータにより、近隣客ニーズが高い食体験観光の高付加価値に繋げ、早期回復した事例(次節地域事例)がみられた。特色ある「稼ぐ力」は、需要平準化への展開も期待される。

2023年度に講じようとする施策では、持続可能な観光地域づくり戦略、インバウンド回復戦略、国内交流拡大戦略の3つを柱に様々な取り組みを実施、計画している。
具体的な内容は官公庁のホームページの観光白書で確認できる。