万国博覧会・国際博覧会を知ろう② 寄稿・桜井 悌司(元ジェトロ監事・展示事業部長)

国際博覧会を成功させるためは4つのタイプの人材が必要
国際博覧会を主催国として成功させるには、4つのタイプの人材が必要である。
最初のタイプは、国際博覧会の誘致を成功させるための人材である。この中には、国際博覧会の主管官庁である経済産業省、世界中にネットワークを巡らしている外務省、ジェトロ等の職員が含まれる。国際博覧会は外国を相手にするので、コミュニケーション能力に加え、国際博覧会についての知識、投票を勝ちうるための説得力が必要とされる。
第2のタイプは、国際博覧会が世界中の注目を集めるようなアイデア、経験を持った人材である。万博会場のグランド・デザインの設計、主催国のパビリオンや博覧会のテーマに彩を添えるテーマ・パビリオンを魅力あふれるものにし、多数の来場者を誘致できるようなアイデアを出すプロデューサー等専門家の集団である。
第3のタイプは、国際博覧会の主人公的な役割を担う公式参加国、国際機関やBIEとうまくコミュニケーションをとり、工程管理表に従って、彼らが遅滞なく準備を進めることができるように、アドバイスをし、ヘルプする人材である。このタイプの人材は、博覧会の知識、経験に加え、語学力、説得力が必要とされる。

第4のタイプは、会期が始まってからの博覧会協会、日本館、テーマ館、公式参加国、国際機関のパビリオンの運営に係る人材である。公式参加国のパビリオンでも、事務局員、アテンダント、映像等のメンテナンス、清掃、警備、レストラン・ショップの運営等人に係る業務が多数発生するし、通常のイベントに加え、ナショナル・デーの式典・パフォーマンスの組織・運営等がある。博覧会は会期中休みがなく、オープンの時間も長いので多くの従事者がいる。これらの業務をうまく回転させることができる組織運営の人材が必要となってくる。

これらの4つのタイプの人材は、すべて博覧会の成功に不可欠である。1つでも欠けるとうまく行かないのである。それゆえ、博覧会の組織と運営は難しく、大きなチャレンジを伴う事業と言えよう。

(次回の更新は2月14日予定です)