展示会の企画・設計・施工や、店舗・ショールーム・オフィスの内外装工事などを手掛ける展示構成。
同社は約30年前から、海外の展示会における出展サポートや、ブース装飾、施工などの業務を行っている。
今回は、近年の中国展示会の様子や日本との違いなどについて、代表取締役社長の田口周氏に話を聞いた。
(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2024年4月15日号 海外展示会特集)中に掲載された内容です)
―海外展示会への出展サポートを始められたきっかけは
昔、他社から業務を引き継ぐ形で始まりました。特に現会長の吉村が現地との関係性の構築に尽力し、現在は中国での展示会に重点を置いていまして、北京勝亜展覧有限公司などコーディネーターや協力会社といった現地とのルートも多数、保有しています。
―出展サポートの内容は
プランニングからデザイン、施工はもちろん、書類申請や輸送の手配、宿泊先や現地企業の接待先の手配まで、日本の代理店とも協力しながら海外への出展に関わる業務についてのトータルサポートをご提供しています。
また、逆に中国の企業が日本へ出展される際のサポートも行っています。
―展示構成の強みは
中国でことをうまく進めるためには人脈が重要です。その点、弊社には豊富な実績と経験があり、現地スタッフと現地の展示会関連企業らとのつながりも非常に強い。
そのため仕事もスムーズに進みやすく、トラブルの際にも対応が速やかに行えることは弊社の強みだと思います。
―近年の中国の展示会で感じたことは
会場の設備などが昔より良くなっていますね。窃盗も減りました。
また最近、北京が政治的な理由でイベント開催を控えていまして、上海、広州、深圳、大連などでの展示会がにぎわっていると聞いています。
コストも日本並みに近づいてきています。労働単価は比較的安いと思うのですが、それでも全体の相場は上がっています。しかし中国はまだまだ市場も広いため、日本から出展を検討される企業は多いです。
―初めて中国に出展する企業からの問い合わせもあるのですか
はい。現地のスタッフは日本語も堪能ですし、お客様の心配がなくなるようにサポートを行っています。新規のお客さまについてはホームページを見て問い合わせてこられる方も多いですね。
―日本と中国の施工現場の違いは
政治によって業務がやりにくくなることがあるのは、中国特有の傾向です。
たとえば、日本で地震があって原子力発電所に対する不安が高まったりすると、安全なものでも輸入にストップがかかってしまう。他にも政治的な問題で荷物の輸送が止まってしまうことはあります。
また、日本では電気やエアー(圧縮空気)が豊富に供給されるんですが、中国では電力問題などもあり、頼んだ通りの供給が行われないことがしばしばあります。
さらに現地の企業は安全面がルーズな傾向があります。ヘルメットをかぶっているのに上半身裸で作業している人もけっこう多い。高さの違反やふさいではいけない所をふさいでしまうような装飾違反も多いですね。
最近は減りましたが、作業時間の変更や料金の値上がりなど、急なルール変更が行われることも特徴です。マラソン大会のためにいきなり道路が閉鎖されたこともありました。
なお、歴史のある展示会ですと他業種の企業やスタッフも含め、わりと皆さん会場では「日本チーム」としてまとまって動いていまして、我々もその中で協力体制をしっかり築いています。
―会場で日本企業のブースは一か所に集められているのでしょうか?
割と固まっていることは多いです。会場を見回すと日本企業でないのに日本語風の会社名を名乗っている会社がけっこうあったりして、面白いですよ。
(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2024年4月15日号 海外展示会特集)中に掲載された内容です)