横浜国際平和会議場 中山 こずゑ新社長の考えるパシフィコ横浜が目指す国際的施設・人材の在り方とは

 新施設ノースの可能性 

多目的ホールでは最大2430席の丸卓BANQUETが可能

―インバウンド増加に伴い、会場の利用形態の変化を感じることはありますか

会議などは規模の大きいものが増えていると感じます。そうすると会議の後、着席してご飯を食べたいというニーズも生じますよね。とはいえ国立大ホールの収容は5000人強なので、食事する時に着座したいとなると今は展示ホールしかありません。でも展示ホールだとカーペットがないし、できればもっと雰囲気のいいところで食べたいとなる。周辺のホテルでも5000人を収容できるバンケットルームがあるところはとても少ないのが実状で大きくても3000㎡弱だと思います。

ノースには6000㎡の多目的ホールができるので、大規模のパーティーなどにも対応できるため、新たなニーズを取り込めると考えています。

―ほかにもノースができることで期待していることがあれば教えてください

現在の施設の稼働率は約7割です。これは、ほぼフルで動いている状態で、多くの会議室から展示場まで、ありとあらゆるイベントと日程をパズルのように埋めてご提案しています。おかげさまで現在はリピーターの方が多く、新規案件がくると空いているスペースがなく残念ながらご提案できない場合もあります。ノースができることで会場面積が増えますから、今後はもっと新しいお客様をつかんでいかないといけません。新しいお客様にも気に入っていただきリピーターになっていただけるような、顧客満足度の高い施設にしたいですね。

―ノースは単独利用もしくは既存の施設との一体的利用どちらが多くなりそうですか

どちらの需要もありますから、今はわかりません。ノースのみで借りたいという方もいらっしゃいますし、出展者が多く小間数やひと小間面積を小さくすることで対応していた展示会からは、規模を大きくしてノースを含めた全体で利用したいという声もあります。例えば先日決定した大型国際会議開催の場合、ひとつは2000人規模でノースの一部を使って展開します。もうひとつは3500人規模でノースだけでなく隣のアネックスホールも使います。多くの会議室が必要となる学会でしたので、移動時間の少ないこの2施設を組み合わせた提案を気に入っていただけました。

―ほかにも今後に向けた取り組みを進めていますか

2020年に向け、文化観光局時代から都市整備局と、交通局と共同でパシフィコ周辺のアクセスについて話を進めていました。オリンピックやパラリンピックの競技会場ではないので直接関わることはないですが、回遊する観光客の方々がもっと足を運びやすいように整備する必要があると思っています。たとえば横浜駅方面から続く海上を利用できるような多様性があるといいですね。

また、さまざまな人に対応したユニバーサルな対応や展開も考えないといけません。施設までの経路はもちろん、施設自体もLGBTなど性的少数者の方を含めた配慮など、世の中の動きに合わせていく必要があります。ノースでは利用者の性別を問わない〝みんなのトイレ〞を設置する予定です。無料Wi-Fiの全館整備は、国内主要MICE施設で、初めて導入しておりますが、世界の施設ではすでに標準的な機能となっていました。海外のMICE施設で求められているニーズに、いち早く対応できる施設になっていかないと、日本は遅れてしまいます。日本で国際会議開催件数1位、参加者数も1位の施設として、率先して範を示すことを心がけていますし、一流であるためにはどうあるべきかを常に考えていくのが私の仕事だと思っています。

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