日本映像機材レンタル協会(JVRA)×ピーオーピー 座談会 子どもも会社も育てる! 映像業界で働くパワフルなママたち

二足のわらじで走るコツ
―育児をしながら働くコツはあるのでしょうか?

佐藤 属人的な業務を減らすことが大切だと思います。例えば、家族の誰かがインフルエンザにかかって、家の中で次々に広がってしまったら、一週間以上出勤できなくなる。こういう場合にチームの誰かが仕事を引き継げるよう、情報共有をできるだけ意識して仕事を進めています。チームメンバーの理解と協力があって成り立っていると日々感じています。

森田 実は同じ部署のもう1人は在宅ワークをしていて、月に1回しか出社をしません。完全に分業のようなイメージで、役割が違います。私は社内でできることをして、彼女はパソコンを使い、在宅で業務を行う形です。
とはいえチームで目指すところは同じですから、社内から問い合わせがあったときに、一人がいなくてももう一人がしっかり回答できるようチャットを利用し、こまめにコミュニケーションをとりながら相手と自分の状況を報告しあっています。

乙川 今まで技術的な業務は技術系の部署にいるスタッフに任せっきりでしたが、最近は所属部署で頻繁に使用する特定の機材は、ある程度自分で設定・設置ができるよう操作方法を教わったり、先輩や同僚の仕事を現場で見せてもらったり、後々に自分の仕事が効率よく進むよう意識しています。その場しのぎではなく先を見据えて、普段から自分のやるべきことを整理し考えるようにしています。

これまでに直面した悩み
―出産し育児をしていく中で、どんな悩みにぶつかりましたか?

乙川 周りが気遣ってくれる環境だったからこそ、育児を始めた当時は迷惑をかけたくない思いが強くなり過ぎてしまい、気遣いを素直に受け入れられずにいました。さらに焦る気持ちが膨らみ、家事も育児も仕事もすべて自分でこなさなければいけないと思い込んでいました。送り迎えをして、食事を作る。子どもを寝かしつけてから仕事の残りと明日の食事の準備をするといったような生活を続けていましたが、だんだんと体に限界を感じるようになってしまって。結局、解決するにはやっぱりどれかを切り捨てるしかなくて、割り切ってネットスーパーを使ったり、夫が飲みに行く日は子どもとファミレスに行ったりして、すべて完璧にしようとするのをやめました(笑)。ご飯を作る時間や後片付けの時間がなくなり余裕ができると、子どもと一緒に過ごせる時間にもなりますよね。

 会議を入れたり、クライアントと約束した日に限って子どもが体調を崩すなんてことはしょっちゅうで、自分が生んだ子どもではあるけれど、自分とは違う存在だということを痛感しました。さらに周りの人が良かれと思って「お客さんの担当を変えたら?」と声をかけてもらっても、逆に仕事を取られるような気分になり、ネガティブな考えばかりに振り回されてしまった時期があります。でも、自分の知識とキャリアで本当にやるべきこととやれることは何かもう一度考え直して、今までやってきた仕事とは違う方向に目を向けようと切り替えました。

それから、悩んでいたときは毎晩のように同じような境遇のママ友たちとご飯に行き、お互いに相談したり励ましあったりして、元気をもらっていました。今でも仲良しで、よく助けてもらっています。育児には地域の助け合いもとても大切だと感じています。