海外のMICE誘致事例や組織体制から学ぶ「横浜グローバルMICEフォーラム」レポート

設立数年でICCAアジアパシフィックサミットの誘致に成功したペナンコンベンションビューローの組織づくりと誘致戦略

ビジネス・イベントを通じた連携の構築 ~ペナン編~

アシュウィン・グナセケラン氏

PCEBについて

アシュウィン・グナセケラン氏

PCEB(ペナン・コンベンション&エキシビジョン・ビューロー)は2016年に設立し、3年後の2019年ICCAアジアパシフィックサミットの誘致に成功した。組織立ち上げ当時はすでにペナンには観光ビューローが存在しており、新たにコンベンションビューローができることに対して、ホテルをはじめとする周辺産業の理解を得ることは難しかった。そこで組織として発展させるために「なぜコンベンションビジネスに参加するのか」を学び、ビューローに参加・協力することで生まれる長期・短期的なメリットを把握した。その後、産学官民にわたり関与するステークホルダーの想定・選定を行い、ホテル等の理解を得るために担当者と1対1でコミュニケーションを取る場を作った。

産学官を巻き込むために

ステークホルダーを巻き込むためには、それぞれの業界内外のインフルエンサーにオピニオンリーダーとなってもらうことが効果的だ。例えば我々はペナンの州長にMICE誘致の重要性を知ってもらうため、ICCAのNina Freysen-Pretorius前会長のセッションを聞いてもらったり、「IMEXフランクフルト」に州長自ら参加してもらい、政治関連のカンファレンスを聞いてもらうことで、地域に与えるMICE産業の影響力の大きさを把握してもらった。こうすることで政府や自治体からの支援につながり、MICEの重要性を広めてもらうことができる。

自主企画イベントとICCAアジアパシフィックサミットの併催

さらにビューローではBE@PenangというMICE関係者向けイベントを企画した。ペナン州政府の支援の下、ICCA主要メンバーやマレーシアのICCAメンバーに講演してもらうなど、ICCAと連携した企画を実施してMICEプレーヤーのディスカッションや交流を促した。そして2019年はそのBE@PenangとICCAアジアパシフィックサミットを同時開催するという戦略で誘致し、12月の開催を成功に収めることができた。開催後は知識のプラットフォームとして政府管理のデータ共有が促進され、会員企業は得意とする分野以外のMICEも視野に入れるようになったと聞く。

MICEの開催件数だが、2016年は1,200件ほどだったものが、2017年には2,000件ほどになり、2018年は2,700件にまで上昇した。

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