熱中症対策が義務化 違反には罰則も -厚労省が新たな安全衛生規則施行-

近年、猛暑に伴い労働現場での熱中症による事故が急増する中、政府は6月1日より事業者に対して職場での熱中症対策を義務化する改正労働安全衛生規則を施行した。これにより、対策を怠った事業者には罰則が科される可能性がある。

厚生労働省によると、2024年には休業4日以上の熱中症による死傷者が1,195人と過去最多を記録し、死亡者も3年連続で30人を超えるなど深刻な状況が続いていた。こうした背景を受け、労働者の健康を守るための制度整備が進められた。

改正内容では、気温31度以上または湿球黒球温度(WBGT)28度以上の「暑熱な場所」で1時間以上または1日4時間を超える作業を行う場合、事業者は以下の対策を講じる義務がある。

  • 熱中症の自覚症状や他者の異常を発見した際の報告体制の整備

  • 作業離脱、身体冷却、医師の診察などを含む応急措置の実施手順の策定と周知

  • 緊急連絡網や搬送先の医療機関情報の事前整備

また、違反した場合には、労働安全衛生法第22条に基づき罰則が適用されることもある。特に建設現場など、複数の事業者が関与する場合は、元請・下請すべての事業者に対して責任が問われる。

厚労省は、「初期対応の遅れが死亡に直結する熱中症において、迅速な報告と適切な対応手順の整備が不可欠」とし、現場への徹底した周知を求めている。