リニューアルで多彩なイベントとともに進化する会場へ 東京流通センター(TRC)

京流通センター(TRC)は展示場オープンからおよそ50年、さまざまなイベントとともに、そして物流の重要拠点として街とともに時代を歩んできた。2020年、昨年の第一展示場に引き続き、第二展示場の内装をリニューアル。新しいTRCイベントホールの今後の展望について、同社イベント事業部の久保将裕氏と松永悠梨恵氏に聞いた。



■リニューアルにより利用者のメリットを創出

今回のリニューアルでは、2019年12月初旬から約1カ月の期間で、第二展示場の内装を一新。前回の第一展示場と同様に、展示場内主要構造部の全面塗装や、雑用室・搬出入口の更新に加え、コンセントプレートや防炎垂壁の交換など、細部に至るまでリニューアルを実施した。
また、展示場内一部に天井バトンを新設。これまで天井への装飾は、各主催社や出展社が必要に応じてアルミトラス等を持ち込んで設置していたが、リニューアル後は照明の増設やバナーの吊下げの一部が直接天井バトンに設置可能となり、利用者にとってコストダウンが見込まれる。
2020年度には第一、二展示場内の天井照明をLEDに切り替える工事を実施予定だ。


■あらゆるイベントに対応する柔軟な会場を目指す

現在、TRCを利用しているイベント種別は、展示会が約4割、販売会が約3割、その他種別として国家試験、同人誌即売会、握手会等多岐に渡る。展示会や販売会をはじめとしたイベント主催者のメリットを意識して、視覚的に見やすい空間づくりに留意したリニューアル工事となっている。

展示商品などを展示場でしっかり見せるためには照度を上げて、ホール内を明るくするのが望ましい。しかし、追加で照明を設置すれば、その分だけコストがかさんでしまう。今回、第二展示場もホワイトを基調としたカラーに塗装。シンプルかつ控えめなカラーリングでイベント内容を引き立てつつ、反射効果により以前に比べてホール内が明るくなった。

さらに、展示場内のコンセントプレートを、すべて新しいものに取り換えたこともホール全体の明るさに寄与している。第二展示場の利用者からは「明るくなった」「築年数を感じない」などの声が挙がっており、評判は上々だ。
「同じホール、そして同じ照明の数でも、以前に比べて商品などの見映えがぐっと良くなると思います。プライベートショーをはじめ様々な用途で開催が増えると嬉しいです」と久保氏は話す。
ホール内が明るくなったために展示会だけでなく、入社式や内定式後の懇親会といった社内向けのパーティーにも、より利用しやすくなったという。ホテルの宴会場を利用した場合よりもホールとケータリングを利用した場合の方がリーズナブルにイベントを開催できる。
近年では展示会・販売会以外の、同人誌即売会やアイドルの握手会といったイベントや、eスポーツなどゲーム関係のイベントなども増加していることから、今回のリニューアルによる新たなジャンルのイベント開催にも大きな期待がかかる。

■もっと幅広い層にポテンシャルを知ってもらうために
「TRCの展示場は、1フロア4,400㎡規模を持つ第一展示場やプライベートな空間を保ったままイベントが行える第二展示場など多様な機能を持ち、とても幅広い分野に利用できます」と話す松永氏。現在TRCはあらゆる層のユーザーに、会場としてのフレキシブルさを周知する活動に注力している。

その活動の一環として「TRCフレンズ」というキャラクターを製作した。TRCは展示場以外にもオフィスと倉庫の運営を行っているが倉庫の印象が強く、イベントホールを持つことが、あまり周知されていない。この状態を打開し認知を高めるため、キャラクターを使ってイベントホールの情報や魅力をユーザーに向けて発信していく。イベントホールのホームページも新たに作り換え、すでにキャラクターを使ったオウンドメディアのサイトを運用中。まだイベントを開催したことがない見込みユーザーに向けても、会場の探し方や展示会出展のコツなどの記事をキャラクターたちと一緒に公開している。

JR京葉線、埼京線、京浜東北線、根岸線のサイネージでもキャラクターを使ったイベントホールの紹介映像を放送し、一般へのPRを行った。TRCを利用するイベントのうち、一般向けのBtoCイベントが年々勢いを増しており、こうした一般のイベント参加者に向けても訴求が必要不可欠になりつつある。主催者の向こうには必ず来場者がいて、来場者がいなければイベントは成立しない。今までは直接的な利用者、主催者だけにPRを行ってきた同社だが、エンドユーザーにもTRCにイベントホールがあることを知ってもらうため、施設の魅力を継続して積極的に発信していく構えだ。

「まだ、私たちのイベントホールを使ったことがない企業、イベントを開催したことがない企業、イベント開催のために何から始めるべきか悩んでいる企業は数多くあると思います。都内で有数の歴史を持っている施設でもあり、イベント運営のノウハウ提供も含め、さまざまなサポートが可能です。今後リピーターはもちろん、まだTRCを使ったことがないユーザーに向けても、施設の利便性や新しくなったホールをPRしていきます。初めてイベントを開催する主催者の方とも二人三脚で1からイベントを創り上げていきたいです。イベントを開催する人たちの役に立てるよう会場をグレードアップしながら、いつも万全な準備を整えていきます」。(久保氏)