2度目の緊急事態宣言が発令 飲食店対策を中心とし、イベント入場制限も

政府は1月7日、新型コロナウイルスの感染拡大状況が悪化している状況を受け、国内で2度目となる緊急事態宣言を発令した。期間は1月8日から2月7日までで、対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県。飲食店での感染防止を集中的に行うほか、テレワークの推進やイベントの制限も行う。

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記者会見に臨む菅義偉首相(首相官邸HPより)

菅義偉首相は同日、記者会見を開き「先ほど新型コロナ対策本部を開き、緊急事態宣言を決定した」と発表した。

足元には首都圏を中心に新規感染者数が過去最多を記録し続け、医療体制がひっ迫している状況がある。東京では1月5日以降、新規感染者が連日1000人を超えており、7日には2447人を記録。同日の感染者数は神奈川679人、千葉450人、埼玉460人といずれも高い水準だった。

先だって今月2日、1都3県の知事は政府に緊急事態宣言を要請しており、政府はこれを重く受け止め緊急事態宣言の発令に踏み切った。菅首相は記者会見の場で「この2週間で全国の感染者数の約半分が1都3県に集中している」と指摘。感染拡大を食い止め、減少傾向に転じさせるため、1年近く対策に取り組む中で学んできた経験を基に徹底した対策を行うとした。

政府が対策として挙げるのは飲食店の時間短縮、テレワーク推進、20時以降の不要不急の外出自粛、イベント入場制限の4つ。特に最も感染リスクが高いとされる飲食店に対しては、20時までの時間短縮とともに、酒類の提供は19時までにするよう要請する。協力金として1カ月180万円を支援する。

テレワークの推進では、出勤者数の7割減を目標に掲げる。イベント入場制限では、上限を5000人か会場収容人数50%の少ない方とし、20時までの終了を呼びかけるとともに、会場内での飲食を控えるよう求める。

一斉休校は要請せず、保育所などについても開所するとした。16日から始まる大学入学共通テストについても、予定通り実施する方針だ。部活動については感染防止の徹底を求め、大学ではオンライン講義を推奨する。

2月7日までとされている緊急事態宣言だが、解除の目安となるのが専門家による分科会の定める4段階の感染状況のうち、最も深刻な「ステージ4」からの脱却だ。病床のひっ迫度、PCR検査の陽性率、1週間の感染者数など6つの項目が設けられており、脱却が叶わない場合には緊急事態宣言の延長もあり得る。分科会の尾身茂会長は「ステージ3に近づく条件は4つ。具体的かつ強い効果的な対策を打つこと、国と自治体が一体感を持ち明確なメッセージを国民に伝えること、なるべく早く法改正をして経済支援などとしっかりひも付けること、国民の更なる協力が得られること」と語った。

政府は緊急事態宣言と並行して特措法の改正、ワクチンの早期接種に取り組む。18日召集の通常国会に、要請に従わない事業者への罰則などを盛り込んだ改正案を提出する。ワクチンについては製薬会社の治験データ作業を前倒し、2月下旬までの接種開始を目指す。開催の可否が問われる今夏の東京五輪・パラリンピックについて、菅首相は「ワクチンの予防接種により、国民の雰囲気も変わってくるのではないか」と話した。

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