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【レポート】「Japan MICE EXPO 2024」日本 MICE の魅力を国内外に発信

(※本記事は雑誌「EventBiz」Winter(11月発売)からの転載記事です。)

JapanMICEEXPO2024実行委員会(大阪観光局、大阪国際会議場、大阪国際経済振興センター)は10月17日と18日の2日間、インテックス大阪で「JapanMICEEXPO2024」を開催した。「JapanMICEデスティネーションEXPO」「MICE開催支援EXPO」の2展で構成された同展の模様をレポートする。

オープニング

開会式では主催者を代表して、インテックス大阪の運営者でもある大阪国際経済振興センターの北岡均理事長が挨拶した。

北岡氏は同展について「MICEの重要性を改めて訴え、日本のMICEブランドを国内外に発信する場だ。今回、アジア・オセアニア10カ国から、30名のMICE主催者や関係者に来ていただいた。ピッチイベントやファムトリップ、交流会を通じ、ビジネスチャンスを提供させていただく。国内のMICE主催者とMICE関連サプライヤーとの商談会を実施することで、素晴らしいMICEになることを確信している」と語った。

さらに2020年からのコロナ禍にも言及し「IT化を促進したのは間違いないが、改めて人と人が交流する素晴らしさも認識された」として、MICEが経済効果だけでなく、人との出会いを創出し、情報や知見が公開され、未来に良い変化をもたらすものであるとした。

来賓からはまず、大阪府府民文化部都市魅力創造局の増田將雄局長が登壇。

「大阪府はこれまで、大阪市をはじめ関係機関とともに国内外のMICE誘致に積極的に取組んできた。中でも我が国がはじめて議長国を務めた2019年のG20大阪サミットや、世界最大級の旅行博ツーリズムEXPOジャパン2019および2023はインテックス大阪で開催され、国内外の多くのメディアに取り上げられ、経済効果のみならず大阪の魅力を広く発信した」と発言。

また、「2025年大阪・関西万博まで残すところ180日を切り、その後にはIR開業も控えている。大阪で開催されるMICEは今後ますます注目されるだろう」と語り、大阪府として大阪が持続的な成長をするためにもMICE誘致に力を入れる必要があると認識を示した。

続いて、大阪市経済戦略局の岩谷和代理事が登壇。

岩谷氏は「大阪市は大阪府と共にMICEの開催や誘致を推進している。中でもインテックス大阪は全国でも有数のMICE施設であり、これまで国内外の多彩な展示会やイベントが開催されてきた。

JapanMICEEXPO2024はMICEに関するさまざまな業種・立場の方々の交流や商談を通じ、大阪から国内外へ情報発信し、さらなるMICE開催につながる場だ」と述べた。

そして、「今回の展示会には出展者としても参加しており、大阪市が有するユニークベニューとして活用できる施設を紹介している。皆さまにとって魅力的なMICE都市であることを伝えられると思う」と語り、その一例として大阪迎賓館や大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂などを挙げた。

その後、テープカットが行われ、JapanMICEEXPO2024が盛大に幕を開けた。

展示

JapanMICEEXPO2024には全国のMICE関連企業・団体128社が133小間にわたって出展した。

構成展の1つであるJapanMICEデスティネーションEXPOには、全国の自治体やコンベンションビューロー、MICE施設が数多く出展。

2025年2月24日にオープン予定のあなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)は、中四国最大級の1万人収容が可能で、サブアリーナと武道施設を使い分けることでスポーツイベント、コンサート、ファッションショー、国際会議、武道大会、発表会などさまざまなシーンで利用可能な多目的アリーナ。既に一般利用受付を開始しており、ブースではアリーナのジオラマを展示することで、ブース来訪者に利用イメージを伝えた。

また、姫路観光コンベンションビューローでは2021年9月にオープンしたコンベンション施設アクリエひめじを中心に、学会や大会の誘致を呼びかけた。ブースには日本の重要文化財である姫路城の写真が大きく貼り出され、国内外からの来場者の興味を引きたてた。

もう1つの構成展であるMICE開催支援EXPOでは、さまざまなMICEサプライヤーがユニークな製品やサービスを出展し、新たなMICE開催の可能性を示した。

パナソニックグループでは「オールインワンMICEソリューション」として、9つの製品・サービスを展示。そのうち、「シルキーファインミスト」は何もない空間にミストでスクリーンを形成する技術で、物理的な仕切りがないため人が通過することが可能な上、ミストが細かいためほとんど濡れ感がないのが特徴だ。

また、アバター式リモート案内サービス「TAZUNE」はAIと有人オペレーターのハイブリッド対応で、定型的な問い合わせは高性能AIエンジンが自動で応答し、必要に応じて有人対応に切り替えることができるシステムとなっている。これにより、受付、案内、接客業務のDX化を実現する。

あなぶきアリーナ香川のジオラマ

 

アバター式リモート案内サービス「TAZUNE」

セミナー・イベント

会場内のイベントステージでは国内外のゲストによる、さまざまなセミナーやトークセッションが行われた。

最初のセッション「SustainableMICEの現在地-ぶっちゃけ、主催者はどこまで本気?-」では、シンガポールで活動するPCMA(ProfessionalConventionManagementAssociation)アジアパシフィックのマネージングディレクターFlorenceChua氏と、AONIA/MICECarbonマネージングディレクターのDanielChua氏が登壇。MICE産業における現在のアジア市場をどのように捉えているかなどを論じた。

「今なお成長中or成熟期?東南アジア市場のいま」ではAcclaimSAVOIRマネージングディレクターのAlvinValencia氏、EventsTravelAsiaマネージングディレクターのMaxBoontaweeJantasuwan氏が登壇。

東南アジア市場で台頭している主催者像などについて持論を展開した。JapanMICEEXPO2024の特別協力団体である日本コンベンション協会(JCMA)によるセミナー「繋がる、拡げようJapanサステナブルMICE」では、JCMAのSDGs委員会に加え、コングレ、マッシュ、大阪国際会議場からゲストが登壇。持続可能なMICE開催に向けて、どのようなことに気を付け、取組んでいくのか意見を交換した。

また、同協会も制作に関わっている「イベントMICE関係者のための使いやすいサステナビリティガイドブック」も紹介した。

さらに会場内のステージだけでなく、MICE関係者らが一堂に集うということもあり、インテックス大阪内ではさまざまなイベントが行われた。

日本展示会協会(日展協)と全国展示場連絡協議会(全展協)は会議室で意見交換会を実施。主催者とMICE施設運営者が屈託のない意見を交わしつつ、首都圏以外の地方開催実現に向けたアイデアや、安全管理問題などを話し合った。

また、JCMAはインテックスカフェで会員交流会を開催。同協会では2025年に設立以来初となる大阪での社員総会を予定しているほか、関西支部の設立に向けても動き出しており、関西での活動を強化していく方針だ。

セッション「Sustainable MICEの現在地」
セミナー「繋がる、拡げよう Japan サステナブルMICE」
日展協と全展協の意見交換会
JCMAの会員交流会

OsakaNight

初日の夜には出展者を対象にした、国内外バイヤーやセミナー講師と交流ができるネットワーキングイベント「OsakaNight」がインテックス大阪至近のグランドプリンスホテル大阪ベイで行われた。

開会の挨拶には、大阪観光局の溝畑宏理事長が登壇。溝畑氏はMICE市場規模が世界で約200兆円と言われており、去年8.5%の伸びを見せたことに言及。

一方で日本のMICE市場規模は約2兆円に過ぎず、日本のGDPや交通インフラ、受け入れ態勢を考えると成長の余地が多いことを指摘。

その上で、「いよいよ来年は2025年大阪・関西万博が開かれ、2030年には大阪で日本初のIRが開業する。これは大阪にとって重要な成長インフラであり、高品質なMICEを大阪全体で誘致していく体制が整備されつつある。例えば医療や食、ものづくり、スポーツなどさまざまな分野のMICE誘致に対し、官民挙げて取り組んでいく」と話し、大阪をMICEにおける西日本のハブと位置付けた。

また、MICEは点ではなく面で都市づくりや政策とコミットすることが重要だとして「皆さんの力を結集してハードとソフトを充実させ、2030年までに日本のMICEの市場規模を10兆円にしていく気持ちで一緒に頑張っていこうではないか」とMICE関係者らに檄を飛ばした。

来賓からはJCMAの近浪弘武代表理事が登壇。

近浪氏は「来年の大阪・関西万博と2030年の大阪IR開業を楽しみにしている。世界中の人々が大阪を見て、食べて、体験し、自国に帰って大阪という素晴らしい都市を宣伝してくれると思う。そしてまた、その評判を聞いた世界中の人が大阪に集まるだろう」と語った。

また、海外バイヤーを代表してベンチャーマーケティングCEOのNitinSachdevaが登壇。Sachdeva氏は「今回大阪に初めて来て、インフラ設備がとても素晴らしいと感じた。ただ新しいだけでなく昔からの伝統と融合している。今回招いていただきとても感謝している、これからもこのような関係が続いて欲しい」と述べた。

その後、日展協の堀正人会長が乾杯の発声を行った。堀氏はコロナ禍が明けてMICEの重要性は再認識されているとした上で、「MICEは開催地の経済を活性化する重要産業であるとともに、社会課題解決に資するソーシャルグッド産業だ」と語り、MICEを生業とする人々に次世代へ明るくバトンをつなげてほしいと展望を述べた。

大阪観光局 溝畑理事長

ちば国際コンベンションビューロー、「令和6年度千葉MICE Day」を2月7日に開催

ちば国際コンベンションビューロー(CCB-IC)は2月7日、創立35周年記念事業として「令和6年度千葉MICE Day」を開催する。

会員やMICE主催者(大学、研究機関、学会、協会関係者等)との交流とビジネスチャンスの拡大を図るとともに、MICE開催適地としての千葉をアピールすることにより、千葉県内へのMICE誘致を促進することが目的。

プログラムは2部構成となっており、第1部ではTIPSTAR DOME CHIBAを視察する。2021年10月に千葉競輪場跡地に完成した同施設は、国際規格に沿って建設された250m板張りバンクをもつドーム式競輪場。音響設備や映像設備が整っているため、ブランドプロモーションイベント、貸切企業パーティーやカンファレンス、チームビルディングといったMICEで活用することができる。

第2部では会場をオークラ千葉ホテルに移し、講演会、情報交換会を行う。講演会ではNHK千葉放送局アナウンサーの久保田祐佳氏が「千葉の魅力を発信~NHKだからできること、番組ができるまで」を講演する。

アトラクションでは千葉市文化振興財団の「アーティストバンクちば」に登録しているアーティストである元NHK交響楽団コンサートマスターの伊藤亮太郎氏によるバイオリン演奏や、マジシャン エンゼルによるマジックショーが行われる予定。

現在公式ウェブサイトで参加者を募集中。参加費は無料で、申込締切は1月24日。

 

あなぶきアリーナ香川(県立香川アリーナ)2月に開館記念式典を挙行

あなぶきアリーナ香川(県立香川アリーナ)は2月24日のオープンにあたり、同会場メインアリーナで開館記念式典を実施する。
 式典はオープニングライブや開館セレモニーなどで構成する。現在一般参加者を募集しており、締切りは1月25日まで。募集人数は2,500名で、応募多数の場合は抽選により参加者を決定する。応募は公式HP内の専用ページから。
 開館記念式典のほかにもプレオープンイベントなど、関連イベントを順次展開している。1月25日には「サンポート&商店街巡ろうデー」を開催予定。
 
あなぶきアリーナ香川は、中四国最大級の1万人(固定5024席+可動席)を収容するメインアリーナに加え、サブアリーナと武道施設を備える。プロスポーツやライブイベント、大規模展示会など幅広く活用可。
またアリーナは観客席上部には壁を設けず、交流エリア、競技フロア、観客席がひとつにつながっている点も特徴となっている。

「第938号 見本市展示会通信」発行しました

展示会やMICEなどに関する最新ニュースを伝えるタブロイド判の業界紙「第938号 見本市展示会通信」を発行しました。

「LIVeNT」特別企画
(ライブ・エンターテイメントEXPOとイベント総合EXPO)
主催者インタビュー/サービス・製品の見どころ

主な記事
一面のニュース:2025年展示会動向 過去最大の開催件数に、アジア太平洋地域の総会場面積初めて欧州を上回る UFIがレポートを発表
・〈インタビュー〉NEW ENERGY TOKYO
・特集 2025年、経営者の視点
・〈連載〉「ありえない」ブースデザインの工夫 竹村尚久 氏
・〈連載〉戦略的連携とM&Aを原動力に 寺澤義親 氏
・〈インタビュー〉ビッグサイトサービス代表取締役社長 木村信夫 氏

発行について:第938号 2025年(令和7年)1月15日

☞「見本市展示会通信」の詳細はこちら<

【JTBの2025年見通し】訪日外国人旅行者は4,020万人と推定

JTBが1月9日、2025年の旅行動向見通しを発表した。

同当調査は、1泊以上の日本人の旅行(ビジネス・帰省を含む)と訪日外国人旅行について、各種経済指標や消費者行動調査、運輸・観光関連データ、JTBグループが実施したアンケート調査などから推計したもので、1981年から継続的に調査を実施している。

<概要>

●2025年1年間の日本人の総旅行人数は3億1,910万人(対前年102.9%)

●国内旅行は、旅行人数が3億500万人(対前年102.7%)、一人あたり旅行費用は47,800円(同101.1%)、総旅行消費額が14兆5,900億円(同103.8%)

●海外旅行は、旅行人数が1,410万人(対前年108.5%)、一人あたり旅行費用は334,100円(同106.2%)、総旅行消費額が4兆7,100億円(同115.2%)

●訪日外国人旅行者数は4,020万人(同108.9%)

訪日外国人旅行者については、2025年は過去最高となった2024年をさらに上回る見込みだが、新型コロナウイルス感染症後の急激な需要回復が一巡するとみられ、前年と比べ伸び率がゆるやかになると分析している。

▼2025年 年間旅行動向推計数値

https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2025/01/09_jtb_2025-travel-trend-outlook.html
(株式会社JTB「2025年(1月~12月)の旅行動向見通し」より)

*国内旅行費用は、自宅を出発してから帰宅するまでの総費用。現地での買物代、食事代など現地消費分を含む。旅行前後の消費(衣類など携行品の購入費用など)は含まない。*海外旅行費用は、旅行費用(燃油サーチャージ含む)のほか、現地での買物代、食事代など現地消費分を含む。旅行前後の消費(衣類など携行品の購入費用など)は含まない。*国内旅行人数および海外旅行人数は、ビジネス・帰省を含む。*訪日旅行は、人数予測のみで消費額は算出していない。 *前年比および19年比は、小数点第二位以下を四捨五入している。
※調査結果の数字は四捨五入しているため、小計や前年公表の調査結果との差分が合わない箇所がある

万博跡地の活用に向けて民間から募集した2案を決定

大阪府、大阪市は、万博跡地となる夢洲第2期区域における 「夢洲第2期区域マスタープラン」の策定に向けて民間から提案募集を実施していたが、この度、2案の優秀提案を決定した。

今後はこれらの提案を踏まえ、大阪府、大阪市において3月に当該区域のまちづくりの方針となる「夢洲第2期区域マスタープラン」を策定し、令和7年度後半に、このマスタープランに沿った開発事業者募集を開始する予定だ。

<対象エリア>

所在地:大阪府大阪市此花区夢洲中1丁目1番20内外
土地面積:約50ヘクタール(概数)
(注)第2期区域から「大阪ヘルスケアパビリオンを利活用するエリア」を除いた範囲
土地所有者:大阪市(大阪港湾局所管)

<優秀提案者①:「夢洲第2期区域開発基本構想検討会」>

(構成員:株式会社大林組大阪本店(代表企業)(他、6社による応募グループによる応募))
(注)提案者の意向により、一部非公開

<優秀提案者②:「夢洲まちづくり提案グループ」>

(構成員:関電不動産開発株式会社(代表企業)、京阪ホールディングス株式会社、住友商事株式会社、株式会社竹中土木、南海電気鉄道株式会社、吉本興業ホールディングス株式会社)

札幌で200万ドルを争う「Apex」のeスポーツ世界大会が開催

今月、アメリカのゲーム販売会社であるElectronic Artsが主催する『Apex Legends Global Series Year 4 Championship』のファイナル大会が、札幌市(会場:大和ハウス プレミストドーム)で行われる。

賞金総額200万米ドルをめぐって40チームが争う。

札幌市もシティドレッシング(選手・スタッフ・ファンを歓迎する為、街をポスター・フラッグ等で装飾) などの取り組みで、 国内外からの観光客誘致や、 大会の機運醸成を目指すという。

<日程>
2025年(令和7年)1月29日(水曜日)~2月2日(日曜日)

※1月29日(水曜日)・1月30日(木曜日)予選大会、1月31日(金曜日)~2月2日(日曜日)決勝大会

<会場>
大和ハウス プレミストドーム

<主催・協力>
主催:Electronic Arts(エレクトロニック・アーツ)

特別協力:札幌市、一般社団法人北海道eスポーツ協会

【スポーツ競技人口に影響も?】神戸市が部活動を2026年に終了 地域移行へ

神戸市では、2026年度に部活動を終了し、生徒が地域の人々とともに活動する「神戸の地域クラブ活動」=「KOBE◆KATSU」(コベカツ)を開始する。

中学校部活動は2026年8月末で終了、それまでに、生徒保護者への情報発信や活動団体の募集を行う。

この動きが全国に広がれば、各スポーツの競技人口や、スポーツに関わるビジネス全体にも大きな影響を与える可能性がある。

なお、神戸市は2025年1月16日(木曜)からHPで活動団体を募集する。

<比較表>

校区に関わらず、新種目(これまでの学校部活動にはなかった種目)を含む活動内容、費用、距離など、各家庭で総合的に選択し、参加する形に変化する。

中学校部活動 「KOBE◆KATSU」
運営主体 学校 地域の様々な団体(登録制)
指導者 教員、部活動指導員 多様な人材、教員(兼職兼業)
参加者 当該校の生徒 生徒等(参加範囲を柔軟に設定)
活動場所 学校施設 学校施設、地域の諸施設
費用負担 部費(実費相当) 月会費等
保険 日本スポーツ振興センター災害共済 スポーツ安全保険

 

<「KOBE◆KATSU」(コベカツ)の特徴>
・地域のスポーツ団体をはじめとした幅広い団体が主体となり、中学校の施設を活用し、スポーツや文化活動など、子どもたちに活動の場を提供。
・活動団体は登録制とし、教育委員会が公募し、審査を行った上で登録。
・各クラブの運営に必要な最低限の費用は、原則として各家庭が負担する予定。(会費制)
・主に学校施設を利用することで費用をおさえ、可能な限り低い会費設定となるよう働きかけていく。

MICE アンバサダーの集い【レポート】

(※本記事は雑誌「EventBiz」Winter(11月発売)からの転載記事です。)

日本政府観光局(JNTO)は10月1日、東京大神宮マツヤサロンで「2024年度MICEアンバサダーの集い」を開催した。

MICEアンバサダーとは、国際会議などの開催地として日本の存在感や影響力を向上させるためにJNTOが任命している国際会議誘致に知見のある有識者のことで、「日本の顔」として国内外にMICE開催国・日本の広報活動や国際会議の誘致活動を行っている。「MICEアンバサダーの集い」はアンバサダー同士が交流を通じて誘致や開催の知見を深めることで、日本でのMICE開催を促進することを目的に2013年にスタートしたイベントで、12年目となる今回は、MICEアンバサダー35人が参加した。

はじめにJNTOの蒲生篤実理事長が、5月に発表されたICCAの統計から、2023年に世界で開催された国際会議件数がコロナ禍前の8割弱まで回復し、日本は昨年の12位から7位と順位を上げたことを伝え、「2030年までに世界5位という政府目標に着実に近づいている。アジア太平洋地域では韓国やオーストラリア、中国を引き離し、連続して1位で、都市別開催件数でも東京や京都を含む15都市が70位以内にランクインしている。この成果はアンバサダーの尽力のおかげ」と感謝の意を示した。

政府が昨年策定した「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」では、2030年までに国際会議の開催件数を世界5位以内にすることが掲げられた。観光庁の中野岳史国際観光部長はこの目標達成に向けて、予算を拡充してMICE誘致・開催の促進に取り組むとして、アンバサダーに対し「誘致の際に中心的な役割を担っていただくことになる。会議案件の更なる発掘、日本開催の意義についての普及啓発、日本の魅力を発信する広報活動にも力添えいただきたい」と呼びかけた。あわせて今年度から大学における国際会議誘致開催の促進事業を開始したことを報告。「これからの誘致・開催に不可欠な次世代の国際会議主催者の育成、ビューローとの連携強化など長期的な視点で取り組んでいく。大学や学会の若手研究者の育成、地域関係者との連携構築に向けて協力いただきたい」と続けた。

JNTOの巽麻里子MICEプロモーション部長は、昨年の国際会議の開催状況から日本の現状について報告した。2030年の目標である5位にいるドイツとは100件の開きがあること、都市別ランキングで東京は13位とTOP10ではないものの、アジア・太平洋地域でのランキングに富山、松江、奈良、新潟といった地方都市がランクインしていることから「国際会議は各地で開催できており、総合力として国がランクインしている状態。2019年に発表したJNTO統計に基づいた会場別開催ランキングでは神戸大学、パシフィコ横浜、京都大学、名古屋大学、九州大学と続く」と説明した。課題面では大都市で開催する国際会議を把握することを挙げ「特に大学で開催する会議の把握は難しいので、大学とのコミュニケーションについて知恵を借りたい」とアンバサダーへ協力をお願いした。

2023年のMICEアンバサダーの成果として、13件の誘致成功、21件の国際会議開催が挙げられた。JNTOは支援として、観光庁長官による組織委員会へのレター手配、海外参加者を増やすための前大会への参加とプロモーション、WEBサイトでの成功事例の共有、主催者向けセミナーの開催といったサポート活動を行っている。そのほか大きな取り組みとして、日本で国際会議を開催する意義の普及啓発に向けて番組を制作した。巽氏はBSテレビ東京で放映された「世界から日本へ日本を世界へ探索!国際会議の現場」を紹介し、「今後も国内への露出を高めていきたい」と述べ、開催予定の国際会議主催者セミナー、2025年2月13日に東京国際フォーラムで開催するIME2025の告知を行った。

現在のMICEアンバサダーは全国で64人。今年は新たに、2027年に浜松で開催予定の「第14回国際DOHaD学会」の誘致を行った浜松医科大学産婦人科の伊東宏晃主任教授、昨年広島で疲労に関する国際会議「Fatigue2022+1」の開催に貢献した岐阜大学工学部機械工学科の植松美彦教授、日本学術会議会長で、大学改革支援・学位授与機構の理事も務める光石衛氏の3人が加わった。光石氏は「国際会議の日本開催は、日本の若手研究者が数多く参加することができ、日本の研究成果・技術を世界へ発信し、研究者のグローバルなネットワーク構築という点で意義のあること。各種のオンライン会議が発達した現代でも、facetofaceの機会を持つ機会は貴重。学会での社交は研究発表と同等か、それ以上に大切だと思っている。MICEアンバサダーとして国際会議運営に携わった経験や参加した経験を活かし、日本への誘致促進にお手伝いしたい」と意気込みを語った。

家正則氏による講演「三度目の正直となった国際光工学会『天体望遠鏡と観測装置』横浜大会」では「SPIEASTRO」の誘致と2024年開催までエピソードが共有された。

SPIEASTROシリーズは、12の分科会からなるシンポジウムで参加者2000人を超える観測装置に関する唯一最大の国際会議で、1970年代から欧州と北米で隔年に交互開催されてきたという。家氏は「すばる望遠鏡(ハワイ)とアルマ望遠鏡(南米・チリ)によって、近年の日本の天文観測研究は欧米に並ぶ地位を確立した。それを背景に2008年のマルセイユ開催で組織委員長を務めた際に、欧米の開催地のサイクルにアジアを入れること、2012年の日本開催を提案し、満場一致で可決された」と誘致の過程を振り返る。ところが2012年開催は2009年のリーマンショックによる円高で、次に誘致した2020年はコロナ禍で中断。3度目の2024年は無事開催となった。家氏は「断念が続いたので本部も日本開催を望んでくれていた。2024年やっと初開催ができ、シリーズ最大の会議となった。結果として、これまで10%以下だったアジアからの参加者が20%まで伸びた。2度の失敗があっても開催できたので、誘致をあきらめないでほしい」と伝えた。

【新施設】丸の内の国際ビル・帝劇ビル建替え計画が始動【MICEでも活用】

三菱地所、東宝及び公益財団法人出光美術館は12月、3者が取り進める「(仮称)丸の内3-1プロジェクト(国際ビル・帝劇ビル建替計画)」について、計画概要を発表した。

工事期間は2025年度から20230年度を予定している。

≪計画の特徴≫
・帝国劇場・出光美術館の再整備と機能強化
・皇居外苑を眺める低層屋上テラスの整備
・東京メトロ有楽町線・都営三田線との駅まち接続
・JR有楽町駅東西を結ぶ地下通路の新設 等

歴史を継承しながら芸術文化の発信を象徴する、世界に誇れる風格ある新しい景観の創出を目指し、皇居からのパノラマ景観を意識したスカイラインを形成しつつ、街並みに調和しながらも特徴を持つデザインとなっている。

遠景
低層屋上テラス 眺望イメージ

皇居に面するお濠端の眺望を最大限活かし、交通アクセス性、環境性能にも優れたハイグレードオフィスを6階~29階に整備。

低層部には本計画の特徴である文化芸術機能(劇場・美術館)に加えて、食やショッピングを楽しめる施設を設ける。

出光美術館らしさを継承し、展示公開エリアを拡充。様々な文化発信プログラムの開催やアフターMICEメニューの提供等を通じて、美術館の整備・機能強化を図る。

皇居外苑を望む低層屋上テラスはMICEユニークべニューとしても活用することも想定している。