公益社団法人日本観光振興協会は、同協会が運営する観光DMP「日本観光振興協会デジタルプラットフォーム(デジプラ)」で、訪日外国人の流動データを分析・可視化できる新機能「訪日外国人流動分析」ダッシュボードを4月1日に公開した。国籍や交通機関、地域間の移動状況を多角的に把握できるようにし、自治体やDMOのインバウンド施策立案を支援する。
背景には、インバウンド需要の急回復がある。発表によると、2025年の訪日外客数は4,268万人と過去最高を記録した。一方で、地域ごとの観光施策を高度化するには、訪日客が「どこから来て、どこへ向かったのか」を把握する必要があるが、国籍別や移動経路別の分析には手間がかかることが課題だったという。こうした状況を受け、日本観光振興協会は、現場でデータを読み解きやすい新たな可視化ツールの提供に踏み切った。構築にあたっては、観光ビッグデータ分析を手がけるオープントーンの支援を受けた。
新ダッシュボードでは、訪日外国人の移動に関する統計を6つの分析ビューで表示する。韓国、中国、台湾、ASEAN、ヨーロッパなど8区分の国籍・地域別データと、空港、港、鉄道、バスといった交通機関別データを組み合わせることで、地域ごとのインバウンド動向を立体的に捉えられるのが特徴だ。搭載データには、国土交通省の「FF-Data(外国人流動データ)」と、法務省出入国在留管理庁の出入国管理統計という2つの公的統計が活用されている。
対応データは、FF-Dataが2022年と2023年の年次データ、出入国管理統計が2024年と2025年のデータで、いずれも2019年データを比較用に収録している。これにより、足元の訪日動向だけでなく、コロナ禍前との比較も可能になる。都道府県別の来訪者数や国籍別シェアを一覧できるほか、出発地と目的地の関係をフローマップで示す地域間流動分析にも対応し、訪日客の流れを直感的に把握できるとしている。
また、国籍別分析、交通機関分析、旅行者属性分析、時系列トレンド分析などを画面操作で切り替えながら確認できる点も強みだ。主要空港や海港ごとの入国者数ランキング、時系列推移も閲覧でき、プロモーションや受入体制整備の判断材料としての活用が見込まれる。さらに、各指標の定義や読み解き方、活用シーンを表示する「分析ガイド」機能を備え、データ分析に不慣れな担当者でも使いやすい設計にした。
想定する利用者は、自治体の観光担当者、広域連携DMOや地域DMO、観光協会、港湾担当部局など。たとえば自治体では、訪日客の国籍構成や交通機関別流動を把握し、次年度のプロモーション計画の根拠データとして活用できる。DMOでは近隣エリアからの流入経路分析を通じて広域連携施策や観光ルート整備の優先順位付けに役立てられ、港湾分野ではクルーズ船の入港動向と周辺地域への流動を組み合わせて受入方針の検討に生かせるという。
利用には、デジプラへの登録が必要で、登録後にダッシュボード機能として使える。観光分野でEBPM(証拠に基づく政策立案)の重要性が高まるなか、現場で扱いやすい分析基盤の整備が、インバウンド政策の実効性を左右する局面に入ってきた。今回の新機能は、その判断材料をより身近にする試みといえそうだ。















