和歌山県がIR事業者の公募を開始 2025年春頃の開業目指す

和歌山県は3月30日、県が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)民間事業者の公募・選定手続きを開始した。選定は委員会を設けて行い、委員長は建設業技術者センターの谷口博昭理事長(芝浦工業大学客員教授)が務める。

和歌山IRのコンセプトは自然美や文化、精神性との共生を踏まえた「Sports & Wellness」。IR事業者には、施設の意匠に日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」との調和を図ること、巨大地震などに強靱かつ「津波による死者ゼロ」が可能な施設とその運営、さらにユニバーサルデザイン、多文化共生、フェアトレードなどの先進性が求められる。

運営面では、財務安定と長期的事業の継続、開業時の大規模雇用における高等教育機関との連携および要人・緊急時に対応できる人材の育成、反社会的勢力の排除を要件とした。

和歌山産品の利用など地域経済との連携や、カジノ利用額に応じて付与される特典をIR施設外の県内観光施設において利用可能とする仕組みも必要となる。

和歌山IRは和歌山市毛見字馬瀬(和歌山マリーナシティ)に23.61ha規模を想定しており、価格は86億6629万2859円。

心臓部であるカジノ以外に、世界的な旅行フォーラムなどの誘致を可能とするMICE施設(国際会議場施設および展示等施設)、日本や和歌山の伝統・文化・魅力を最先端技術で発信する魅力増進施設、地方部と世界をつなぐ観光ゲートウェイとなる送客施設、各国要人やVIPにも対応できる宿泊施設などで構成。来訪や滞在を促すため海上交通の運営や高速バスターミナルなどの整備・運営および、MICEの規模や頻度に応じた交通ネットワークの構築も条件となっており、カジノに関しては有害な影響を排除するための措置も求められる。

IR事業者の募集期間は8月31日までで、11月中旬までに優先権者を選定。2021年7月までに区域整備計画の認定申請をし、2021年の秋から冬にかけて国による区域認定、2025年春頃の開業を目指す。事業期間は区域整備計画認定日から40年間となっており、IR実施に要するすべての費用は原則IR事業者が負担する。